KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

線で繋ぐ山歩き 源流の碑~山荘しらさ

2021年08月06日 | 四国の山



先週の寒風山から笹ヶ峰を歩いて、奥様たちも

昨年、吉野川源流の碑から伊予富士まで歩いているので、

三ツ森山から源流の碑までが繋がったことになる。ここからは私も所々は歩いているけれど、

その時のログが取れていないので、一応初めてのルートとなる。本来なら、源流の碑から

土小屋まで一気に歩けばいいのだが、その為にはデポが必要になる。

UFOラインを奥様の運転では少し不安があると言う事なので、今回は少し緩めで山荘しらさまでを

往復する事にした。ここの所の周回コースに比べると、奥様たちには満足いただけないかもしれないが、

今回のコースの途中には、以前からあっちゃんが渇望していた、子持ち権現がある。

そしてお昼は『山荘しらさのスープカレーでランチにしましょう~!』の呼びかけでルリちゃんも納得。


源流の碑の前の路肩に車を停めてまずは瓶ケ森の女山を目指してスタートする。

UFOラインからも源流の碑からの道は、笹原の中をジグザグに続いているのがよく判る。










夏真っ盛り、笹の勢いが一番ある時期だが、登山道はその笹が綺麗に刈り払われている。

ただ刈ったまま登山道に残る笹が乾いていて滑りやすい。







見ていた通り笹原道は右に左に折れながら徐々に高度を上げていく。

夏の勢いに溢れた笹原の緑と青い空が広がっている。














笹原が終わると樹林帯の中の道になる。道の脇にはあちらこちらに花が目立ち始めた。

先週の寒風山で見かけた赤紫色の花を見て『変わった花。何て云うんでしょう』と奥様たち。

帰ってから調べてみるとミヤマノダケという花らしく、絶滅危惧種の貴重な花だという。




皮がむけて中から花が飛び出してきているものも。なんだかエイリアンのように見える。




樹林帯を抜けると緩やかに広がる笹原尾根が目の前に広がって来た。




この女山山頂は360度の眺望。目の前の氷見二千石原の笹原の向こうには霊峰石鎚山

その反対には西黒森山から稜線が続いている。そして北側には雲海。

『これだと日本アルプスにも負けていないわね!』と奥様たちもご満悦。










以前、WOC登山部のゆうちゃんに頂いたお父様が作られた手ぬぐいには、

その氷見二千石原と石鎚山の絵が描かれている。

幼いころにお父様と登ったという思い出のこの瓶ケ森に、思い出の品も一緒に登頂を果たした。







今から向かう男山の向こうにも、高知の山々が幾重も重なり続いている。

東の稜線を眺めながら、今回線で繋いできた山々を同定している奥様たち。

この隙にと一服しようとしていると、あっちゃんから『なにしょんな、ハイ次行くよ!』激が入る。

『やれやれ、この景色の中で煙を燻らせようと楽しみにしていたのに・・・』 (T_T)














石土蔵王権現にお参りをして、笹原を男山へと歩いて行く。

西側に傾斜した笹原の平坦地で、藩政時代に、二千石の石高であった山麓の西条氷見のように

広いことから名付けられた氷見二千石と、石鎚山を眺めながら緩やかに下って行く。

















笹原から尾根の西側を回り込むように進んで行くとあっという間に男山に着いた。

男山は石土宗総本山石中寺がこの男山山頂を石土山頂上として、毎年7月1日から10日までを

「石土山入峰大会」と称して信者達がこの男山と子持権現山に登拝する行事を行い、

その10日間は頂上直下にある山小屋に泊まり込んでいる。

ここのところの線で繋ぐ山歩きで、どんどん線は繋がっていていたが、

新しく登った山が増えないと、贅沢な文句を言っていた奥様たちも、

今日は既に二つ目の山頂をゲットしてニコニコ顔。








男山からは瓶ケ森駐車場に向かって降りて行く。山頂直下の西側を巻いて行くと直ぐに稜線に出る。

今から登る今日のメインイベントの子持ち権現の頭が見え始める。




ここからはまた氷見二千石原と石鎚山を望む絶景が広がっている。

以前にWOC登山部で土小屋から石鎚山に登った時に、途中で何度もこの瓶ケ森を指さして

『あの山は何て云う山?』と聞いていたあっちゃん。『奥様、ここがあの瓶ケ森ですよ』














子持ち権現の奥には小さな笹原の伊吹山と、そのさらに奥には筒上山と手箱山

西黒森から笹ヶ峰に続く稜線を見ながら、『よく、ここまで歩いて来たね』と二人。








笹原にポツンとたつウラジロモミの白骨林が何とも言えず絵になるな~。




瓶ケ森駐車場の上のトイレでトイレ休憩。『ゆっくり一服したらいいわよ!』と

やっと奥様たちの許可が出たので、ベンチに腰を降ろして生き返る!

駐車場トイレから少しだけUFOラインを歩いて行く。いつもは車を停めて眺める

瓶ケ森の展望台で、今歩いて来た男山を振り返る。




その展望台の先にあるサイクルスタンドから右脇へと登山道へ入って行く。

目の前に子持ち権現がどんどん近づいて来た。







ただここから先は歩く人もいないのか、笹の勢いが強く、その笹を掻き分け搔き分け下って行く。

奥様達も最近続いている笹原の足元が見えない道も、随分と上達して苦も無く降りてくる。

今日は登りが少ないので、いつもは付いて行けないへっぽこリーダーも、何とか威厳が保たれる。











登山道とUFOラインが合流する地点が、子持ち権現の入り口。丁度、子持ち権現から下りて来た

おじさんが声を掛けてきた。『こっちから下りて来たん?笹がすごかっただろ』

『石鎚の鎖場よりすごいから、子持ち権現登っておいで!』と。

『岩肌は濡れてなかったですか?』と聞くと、『今日は濡れていない。足がかりもあるから

鎖をしっかり握って登れば大丈夫。その代わり鎖から手が離れたらおだぶつ!』と、

明るく答えてくれたが、随分とハードルを上げてくれた。







道標に従って進んで行くと小さな祠があり、ここから鎖場が始まる。

先ずはお賽銭を入れて無事をお祈りする。ここでルリちゃんは不安なので待機する事に。




最初の鎖はよくあるちょっとした岩場くらいで、先ずは問題なく登る。

その上の少しだけ広場になった場所に着くと、上から三人ほど降りてきている。

最後に下りて来たおばさんは、途中で引き返して来たという。

見ると三人とも年配で、しかも足元は運動靴だ。『大丈夫みたいね』と小さな声で、あっちゃん。










さぁここからが本番。三人が降りきるのを待って、先ずは先にあっちゃんが登って行く。

ここの鎖は石鎚山の鎖と比べて、ゆらゆらせず、ほぼ固定されているので、

足元を確認しながら、しっかり掴んで登ればどんどんと登って行ける。







ただ間隔をかなり開けないと、上のあっちゃんからの石が何度か帽子のつばに当たった。

帽子を被っていなかったら、そのまま顔面を直撃するところだった。

途中で一ヵ所立ち止まって先ほど降りてきた展望所辺りが見えた。







長い鎖を登りきると、最後の鎖。ここからは70~80度近くの傾斜。

ひょいとあっちゃんが鎖に飛びつき登って行く。鎖の横にはロープが垂れ、アブミが付いているが

ゆらゆらするロープよりは、そのまま鎖で登った方が早い。











最後の鎖は急だが距離が短いのであっという間に登りきれた。

狭い山頂で奥様念願の子持ち権現制覇の記念撮影。







南には今日のランチの山荘しらさの赤い屋根が見える。

反対側には瓶ケ森と西黒森山の雄姿。










基部ではルリちゃんが待っているので、さっそく鎖を下って行く。

鎖を股の間にして下って行くと、足元もよく見えるので意外とスムーズに降りられる。

下からヘルメットを被り、ハーネスを付けた男性が二人登ってきているので、

途中の足元のいい場所で離合待ちをする。それにしても重装備だ!思ったが、

安全第一、準備を怠らないのは大切だと戒め。










登りも下りもすれ違いの時間待ちがあったので、実際には30分強で昇り降りしたことになる。

祠の横でルリちゃんと合流。その横であっちゃんの顔が少し曇っている。

以前からWOC登山部のメンバーに、一度是非連れて行ってほしいと熱望していたが、

どうやらこの子持ち権現の鎖場は、思っていたよりも大したことが無かったようだ。

子持ち権現からは先ずは東側の岩壁の下を進み、どんどん下って行く。




下りきるとアップダウンを繰り返しながら、樹林帯の中を少しづつ高度を下げて行く。

時々草が生い茂る場所はあるが、踏み跡はしっかりしている。

ただ全く風が無く、樹林帯の中で日差しは遮られているとはいえ暑さが堪えてくる。







すると松ノ木の間から赤い屋根が見えた。『待ってろよ、スープカレー!』







樹林帯から笹原に出ると、スープカレーまではあと少し。

お腹の減り具合はピークに差し掛かったが、少しづつ足取りも軽やかになってくる。














1974年にオープンした山荘しらさは、2017年から休業し5億4千万かけて改修し、

4月に新たにオープンした。外装も新しく塗り替えられ、中も素敵な空間になっていた。











待ちに待ったスープカレーはチキンと野菜の具に、ニンニクとスパイスがとても効いていて、

たっぷりと汗を掻いた身体に染みていく。

運転手の悲しさ。目の前で嬉しそうに乾杯をする奥様たち。チキショー!!










冷房は利いていないが窓から涼しい風が吹き抜けていく中で、ゆったりまったりと過ごす。

1時間ほど過ごしただろうか。山荘を出ると正面に石鎚山。

お腹と喉を満たした後は奥様達と折り返していく。







子持ち権現からけっこうここまで風のない樹林帯の中を下って来たので、帰りは多少は風が吹くだろう

登山道ではなくUFOラインを歩いて行くことにする。

道路に沿って日陰を選びながら、くねくねと曲がって続く道を歩いて行く。







単調な林道歩きに思わぬ出来事が。道の脇に咲くヒヨドリバナに飛来する沢山のアサギマダラ。

ひらひらと飛んでは大好きなヒヨドリバナの密に飛びついている。

こんなかわいい蝶が、一日に200km、遠くは1500kmも飛んだ記録があると云うのが

とても信じられない。奥様たちも度々、立ち止まっては写真を撮っている。











優雅に舞うアサギマダラを鑑賞した後は、ただひたすらに駐車場へと登って行く。




山荘しらさを出て50分ほど経っただろうか、先ほど登った子持ち権現が見えてきた。

やはり登山道を戻るよりも早かった。ここまで来ると源流の碑までもう少し・・・・。







瓶ケ森の駐車場まで来ると、男山の稜線のお陰で日陰の道になる。

道の脇からはUFOライン越しの山々が眺められる。







瓶ケ森展望所からおおよそ25分ほどで、源流の碑に到着した。

今日はスーパー地形図のGPSでは沿面距離が10kmだが、最大標高差は496mとここ最近としては

のんびりできた一日だった。登りさえなければトップを歩いて行けるリーダーだが、

登りのない登山なんてないので、また次からへっぽこリーダーに逆戻りだろう。

寒風茶屋まで戻り女性陣はトイレで、私は展望所で着替えを済ませて帰路についた。







帰りに見えた高速からの伽藍山が子持ち権現に見えた。




今日の花たち













今回で繋がった三ツ森山~山荘シラサ