KAZASHI TREKKING CLUB

四国の山を中心に毎週楽しく歩いています。

里山に遊ぶ 屋島

2021年08月19日 | 香川の里山
先週、伊吹山から岩黒山まで歩いて、線で繋ぐ山歩きも

全行程の1/5程度が繋がってひと段落した。今後は四国中央部を予定しているが

今週は雨の予報。取りあえず線で繋ぐ山歩きはお休みして、県内の里山でトレーニングする事に。

事前に奥様たちに三つほどコースを提案した。いずれも10km近くのコースで取りあえず

長めの距離を歩け、かつ雨が降っても昼食時に困らないように、山頂近くに雨をしのげる場所がある山。

するとあっちゃんから『屋島に登った事がないので、屋島がいいです!』と返事が返って来た。

YAMAPを見てみると、屋島には『冠ケ嶽』『屋島南嶺』『屋島北嶺』と三つのポイントがあるのが判った。

YAMAPではこのポイントを通過すると、登頂した山の数にカウントされる事になっている。

提案した残る二つのコースでは、奥様たちは既に登頂しているので、

『さては、登頂した山の数を増やそうという魂胆か?』と思い、

『良かったですね、三つも登った山が増えますね!』と返信すると、

『実は屋島寺に車で参拝した時に、屋島南嶺はゲットしているので、二つです!』あっちゃんから返ってきた。

『なぬ!それはYAMAPの利用者としては、あるまじき行為ですぞ!』

『それでは懺悔の意味で、美味しいコーヒー豆を持って来なさい!』と

いつになく強気の態度に出たへっぽこリーダーだった。


前日に最終確認で二人にメッセージを送ると、そのあっちゃんから

『日曜日にギックリ腰になってしまいました。整体に行って回復はしてきたのですが、

歩けるでしょうか?ギックリ腰常連のアドバイスをお願いします!』と返事が来た。

ガラスの腰のへっぽこリーダーは、今まで何度もギックリ腰になって、その度リハビリと

称して歩いてきた。時にはコルセットを巻いてでも歩いたりしたので、

『状態によるけれど、じっとしているよりは歩いた方が回復が早くなります』と返し、

結局予定していた長距離を少し短縮して決行する事となった。

WOC登山部では痛みを堪えてでも無理やり動けば治るという、結構無茶な事をする

セニョさんがいて、個人的にそれを『セニョ理論』と呼んでいるのだが、

セニョ理論は誰にでも通用するわけではないので、基本的に痛みが無ければ、体を動かして

歩いた方が楽になるというのが私の持論だ。




集合場所の屋島神社に時間通りにルリちゃんの車に乗って二人が現れた。

ルリちゃんとは、ここから冠ケ嶽に直接登った事があるが、今日は雨だと言う事で、

ここからスタートしてへんろ道から登って行く予定。そしてあっちゃんの状態からして、

『今日はWOC登山部亀さんチームの70~90%で歩きましょう!』と声を掛ける。

駐車場から屋島神社の石段を下り、元のケーブルカーの横を通る。ケーブルカーの車体も

通るたびに朽ちていっていて、子供の頃に何度も乗った事のある私としては少し寂しく感じる。




大宮八幡神社を通り、墓地の脇を抜けると登山道の入り口になる。

道に沿って里に猪が降りてこないように猪避けの柵が続いていて、ゲートを開けて中に入る。










しばらくして遍路道に合流すると、弘法大師が、仏天を供養し誦呪加寺

(呪文を読み仏の加護保持を祈とうすること)をして、

干ばつで各地の池や井戸水が枯れても、湧水は絶えることがないという加持水がある。




へんろ道の頭上は木々に覆われているので、少々の雨でも傘をささずに歩いていたが、

畳岩の辺りでは木々が途切れてしまい、傘を取り出し歩いて行く。

雨にもかかわらず、上から下りて来る人、後ろから追い抜いていく人など、結構な人が歩いている。







いつになくゆっくりとしたペースで登って行くと、山門の奥に屋島寺

しっとりと静かに佇んでいた。




西尾根端に着くころには雨が一旦やみ、眼下には高松の市街地が広がっていた。

遠くはやはり霞んでいるが、近くは雨の降った後で意外とはっきりと見える。




港湾地区の向こうに五色台と瀬戸大橋



クレーター五座と由良山



堂山と六つ目山と鷲ノ山










獅子の霊巌では屋島山上拠点施設整備の工事が進んでいた。

三度の入札不調で大幅に工事が遅れていたが、屋島観光の目玉になるこの施設の完成が待ち遠しい。







新屋島水族館、山上駐車場を通り、北嶺への遊歩道を進んで行く。

このまま遊歩道を歩いても芸がないので、あっちゃんの様子を見ながら脇道へ入る。

屋島山頂部特有の安山岩の露出した道を歩いて行くと、右側に壇ノ浦を挟んで、

庵治石の砕石場と五剣山が見える。










安山岩の痩せ尾根歩きで、少しはワイルド感がでて良かったかなと思ったが、

後ろから下りて来るあっちゃんは、やはり腰の様子を見ながら恐々降りてきている。




千間堂跡には、ここでも整備事業の一環で立派なトイレと休憩所ができている。

当初の予定では長崎の鼻まで歩いて、ここまで折り返してきて昼食にするつもりだったが、

やはりギックリ奥様の様子では北端の遊鶴亭までが無難な感じなので、

そのまま千間堂跡を通過して、今日の目的のYAMAPのポイントを探しに行く。

そのポイントは千間堂の少し先の森の中にあった。北端の遊鶴亭でもなく、特徴のない森の中にあるため、

目印となる様に誰かが手作りの可愛らしい石で作った標が置いてあった。

既に残りの二つのポイントをゲットしているルリちゃんも、残りの一つをゲットできてご満足な様子だ。







遊歩道へ戻り、東側の道を歩くと、ここにも新展望台ができていた。

ひな壇上になったテラスからは、東側と瀬戸内の島々が眺められる。







庵治の町と小豆島



大島




遊鶴亭では腰を降ろして一息つく。奥様二人はいつものように朝ドラの話が弾んでいる。

その時間には会社にいる私にとっては、いつも話にはついていけない。




女木島と小豆島フェリー



シンボルタワーと県庁







展望台の横にある『長崎の鼻まで800m』の道標を見て、あっちゃんが『それくらいの距離なら』と

行きたそうにしたが、ルリちゃんが『なによんな!ここから急な下りやのにさっきの様子では無理!』と。

遊鶴亭で休憩した後、折り返して遊歩道を歩いて行く。

歩きながら夕食が原因で家では日曜から冷戦状態になっている話を私がすると、

その開戦時の内容を聞いた二人が口を揃えて『最低!』と集中砲火を浴びせてきた。










談古嶺や廃墟となったホテルの横を通り、二つ目のポイントの冠ケ嶽へと歩く。

ケーブルカー山上駅の横を通り山道に入ると、『ブヒッ!』と鳴いて猪が3匹逃げて行った。

周りでは雨が止んだのを喜んでいるかのように、そこらじゅうでセミが鳴いている。







冠ケ嶽でもまた今までと違う眺望が広がっている。

『本当にどこからも素敵な景色が見えるわね』とあっちゃん。

立石山の辺りには低く雲が立ち込めて、その向こうに少し青空も見える。














二つ目のポイントをゲットした後は、三角点のある三つ目のポイントへ。

ここは二人とも既にゲットしているが、YAMAPを最近始めた私にとっては最後のポイント。




今日の目的を完了した後、近くの東屋で昼食にする。今日は昨日買った、ご当地ラーメンだ。




食後はあっちゃんが持ってきたIRIBITOさんのお店のコーヒーを頂く。

大雑把にお湯を注ぐ私に、見かねたあっちゃんが交代してと言ってきた。

ルリちゃんの蓋だけの水筒にお湯お入れ、飲み口のある自分の水筒の蓋を付けて淹れようとすると、

ネジ山があっていないのか、間からポトポト零れている。ルリちゃんと二人で大笑いするが、

これが意外と適度にゆっくりと注ぐことができて、結果オーライ!







やはりお店の豆で淹れたコーヒーは別格だ。深いコクのあるマンデリンコーヒーを味わいながら

東屋の屋根から落ちる雨音を聞きながら、優雅な時間を過ごす。


のんびりとお昼時間を過ごした後は、へんろ道を下って行く。下り坂ではあっちゃんが滑らないように

注意して降りて行くのだが、それ以上に私の買ったばかりのシリオの登山靴が、濡れた石の上では滑る。

腰が引けながら下る私を見て『どっちがギックリ腰か分からないわね!』と揶揄される。










12.7km、5時間45分の里山歩き。リハビリにしては少し距離が長すぎたが、

それでも90~110%のペース。帰った後にあっちゃんからお礼のメッセージが届いたので、

『後は養生をしながらの日にち薬で、来週までには良くなってください』と送ると、

『ハイ!次は150%を目指します』と。・・・・・・・勘弁してください!