線で繋ぐ山歩きも今回で三ツ森山から石鎚山が繋がる。
先週ランチをした山荘しらさから、伊吹山を通って土小屋まで往復で4時間。
土小屋のモンベルで名物の鉄板ナポリタンでランチをして、
今日はいつになく楽勝のコースだと思っていた。ただ奥様たちがその途中にある
岩黒山に登った事が無いので登りたいな~と言っていたので、
単純にしらさから土小屋を往復する以外に色々ルートがないかと考えてみた。
山荘しらさから土小屋を往復すると約4時間。時間的には土小屋から岩黒山を往復すると
+2時間だが、単純に往復するのは面白味が無くイマイチだな~と思っていたら、
エントツ山さんが石鎚山~剣山の縦走の時に、岩黒山からそのまま
町境を名野川越まで下っていたのを思い出した。そこでもう一度読み返してみると、
山頂近くからの笹原はとても急な斜面、そこを下ってもけっこうな笹薮だと
あの藪漕ぎ大臣のエントツ山さんが書いていたので、これは素人には難しいだろうと思い、
他にルートをないかと調べてみたが、山頂からダイレクトに歩いている人がほとんどいない。
そこでGoogleEarthを見てみると、山頂から白く続く涸沢の様なのが見えた。
水が流れていなければ登れないこともない?、急な笹薮よりはマシかな?などと考えてみたが、
そこは軟派なへっぽこリーダー。『まあ無理に岩黒山に登らなくても、一応線は繋がる
からいいかな』と、思いながら・・・・朝をむかえた。
山荘しらさには宿泊客か、朝から結構な台数の車が停まっていた。
山荘前の道路の脇に車を停めてスタートする。
スタートして直ぐに左足に打撲の様な痛みが走った。しばらく歩いても痛みが取れない。
今日はやっぱり岩黒山へは無理だな~と考えながら、早くも弱気になって二人の後を付いて行く。
ここから登山道はUFOラインに沿う形で土小屋まで続いて行くが、スタートからは直ぐに車道に飛び出した。
道標の横に『マムシ注意』の看板を見て奥様たちがビビり始めたが、
リーダーの権限で先頭を二人に任せて後ろから付いて行くへっぽこリーダー。
最初は樹林帯の中の道で歩きやすかったが、樹林帯を抜けると笹道になる。
このところの尾根歩きでは、平家平から冠山の辺りが、
足元が見えない笹道歩きで一番苦労したけれど、それに比べるとノープロブレム。
進歩した前の二人は苦も無く歩いて行く。正面には頭が雲に隠れた石鎚山が見える。
伊吹山へは緩やかな道が続いて行く。『今日は楽勝ね!』と頼もしいお言葉の奥様たち。
振り返ると先週登った子持ち権現と西黒森山からの稜線が続いている。
その子持ち権現から見えた伊吹山は、猫の額ほどの笹原に見えたけど、
けっこう広々とした平らな笹原になっていた。『あれが子持ち権現ですよ!』と奥様たち。
相変わらず瓶ケ森も石鎚山も山頂近くが雲に覆われている。
ルリちゃんが笹の露で濡れないようにと、ウインドブレーカーを腰に巻いているけれど
もうすでにズボンはビショビショ。あまり効果は無いと思うのですが・・・・。
ここで一服しようと考えていたのに、『さぁ~鉄板ナポリタンを食べに行くわよ!』と急かされ、
渋々ザックから取り出そうとしていた物をしまい込む。伊吹山からもしばらく笹原が続いて行く。
その景色を撮ろうをポーチに手を入れると、先ほど伊吹山で仕舞った動画のカメラが無い!
慌てて前の二人に『ちょっと待ってて!』と声をかけるが、聞こえないのかどんどん歩いて行ってしまった。
仕方がないので走って戻って、山頂の辺りを探し回るが見つからない。数分探しただろうか、
諦めかけていたら足元の笹の中に!『良かった~』と肩を撫で下ろし、先を行く二人の下へと走る。
二人に追いつくと、『いつまでも来ないので、また下痢でもしてたんかなと思っていた』とあっちゃん。
山頂付近の笹原が終わるとよさこい峠に近づくにつれ、笹の勢いが強くなってきた。
それでも二人のスピードは全く落ちない。このところの笹道歩きで分かった事だが、
特にルリちゃんが笹道でも全く苦にせずどんどん歩いて行く。
『やっぱりルリちゃんは、笹道に強いね~!』これから『笹の女王』と呼ぶことに
しましょうと、あっちゃんと二人で話をする。
笹道から正面に岩黒山が見え始めたが、ここでは二人には黙っておこう。出来るだけ
ランチに気を逸らして岩黒山の事は頭に浮かばないようにと・・・・。
伊吹山からはけっこう下って行くとよさこい峠に着いた。
よさこい峠からは更に車道の脇に登山道が続いて行く。少し分かりづらいが、道の脇に
短いロープが掛った場所から取り付く。『今日は最初で最後のロープね!』と。
一旦車道に出て朽ちかけた道標からまた登山道に入って行く。ここからが今日の問題のヶ所。
しばらく距離を置いて歩いていると、何やら二人がスマホを覗き始めた。
ヤバい、ヤバいぞと思っていたら案の定GPSを見ながら、『この町境の線に沿って登れば、
岩黒山まで最短距離で登れるわね~』と二人が言い始めた。 ( ゚Д゚)
そして山側を眺め、GPSの町境の線を確認しながら『この辺りね!』と。
すると梯子の掛った場所に赤テープを見つけた二人。『ここよ、ここから登れるわよ!』
『はい、はい分かりました』『言い出しっぺはお二人ですからあとで文句を言わないように』と
二人に責任転換をして、渋々ついて行くへっぽこリーダー。
物好きはいるもので、このルートを歩いた人がいたのだろう。所々で赤テープが見える。
ただ途中から見えた岩黒山までは結構な高度差がある。しかも道なき道。
尾根ぽい所を木々の枝を掴んで登ると、今度は笹の生い茂る場所に出た。
赤テープも見失い、とにかく町境の線から外れないようにGPSで確認しながら進んで行く。
途中で大岩が点在する場所では、普段ならそれらを見ながら感心するところだが、
今日はそんな余裕はない。とにかく上に上にと登って行く。
次々と現れる大岩を右に左にと巻いたり、また真ん中をよじ登ったりしながら進んで行く。
大岩斜面を抜けると前方の少し上が明るく見え始めた。『あの明るい方向へ進んでください!』と
声をかけると『ハ~イ!』と返事が返って来た。それにしても二人は全く歩みを止めることなく
登って行っている。元気なのはいいけれど、元気すぎるのもな~・・・・・。
やっとのことで樹林帯を抜けると前方に笹の斜面が見え始めた。そしてエントツ山さんの
レポートで見た岩壁が右手に見えると、見上げるほどの角度で広い笹の斜面が続いていた。
ここからは笹に埋もれながらの行軍となっていく。背丈を越える笹の中を両手で笹を掴んで、
一歩一歩踏み出していくのだが、斜度が高すぎて踏み出した足が笹に押されて返ってくる。
立ち止まってもしっかり笹を握っていないと、後ろにひっくり返りそうになる。
さながら雪山ならラッセルといったところだろうか。先頭はとにかく体力の消耗が激しい。
数十メートル登っては、何度も先頭を交代しながら登って行く。
ハアハアと息を切らせ、目の前の笹を両手でしっかり掴んで、グイッと体を押し上げる。
段差のある場所では足が上がらず何度も足を滑らせ、体が元の位置に押し戻される。
笹の埃と小さな虫が飛び回り、時々口の中に入る。あっちゃんが『耳が痒い!』と言い始めた。
すると私も虫に噛まれたのか耳たぶが痒くなってきた。そうだ忘れていた。こんな笹薮の中を
うろついていたら、マダニが心配になってきた。といっても今更遅い。
尾根が近づいてくると、やっと一度だけ腰を降ろせる場所があった。
三人とも疲労はピークに差し掛かっている。正面を見ると写真ではよく判らないが、
横を見るといかにこの笹の正面が急なのかがよく判る。
名野川越の登山道の取り付きから1時間20分。笹斜面の取付きから40分。
道は無く最初から笹を掻き分け続けたので、握力もなくなってきたところで、
やっとのことで岩黒山の稜線に出た。最後に尾根に飛び出したあっちゃんがひと言。
『あ~楽しかったわね!』と。『ハイ、ハイ楽しゅうございましたね奥様』
苦労して登った岩黒山だったが、いつも見える石鎚山や筒上山は雲の中。
それでもここまでのダイレクトルートを登れた事にご満悦の奥様たち。
それでは楽しみにしていたランチへと参りましょうかと、下山を開始する。
昨年の夏に登った時は笹の葉の露でびしょ濡れになった記憶があったが、
笹はそれほどでもなく登山道も何の問題もなくスイスイと降りて行く二人。
二人もお腹が空いたのか、超特急で直ぐに姿が見えなくなり、コースタイムを15分も縮めて土小屋に着いた。
こんな天気だが観光客やバイクの人たちで、モンベルの中では注文が出来上がるのを待つ人が数組。
では2階に上がって鉄板ナポリタンと思い、階段を上がろうとすると、階段の正面に『臨時休業』の張り紙。
モンベルの人に聞いてみると、『石鎚スカイラインが通行止めで、料理人の人が来れない』と。
『それでは鉄板ナポリタンとかジビエカレーとかの食事はできないの?』と聞くと、
『すみません、今お出したもので売り切れで無くなりました』と返事が返って来た。 (T_T)
仕方がないのモンベルの軽食のメニューで我慢する事になるのだが、
お二人は新しくできたクラフトビールが飲めてニコニコ顔。
レンジで温めるだけの軽食メニューだったが、意外と出てくるのに時間がかかり、
外のテラスでのんびりし過ぎたせいで、空の様子が怪しくなってきた。
岩黒山山頂で落ちていた五円玉をあっちゃんが石鎚神社に持っていく。
神社前の石段横の鎖を登って?自分のお賽銭と一緒に入れて丁寧に低頭。
さぁ~それでは先を急ぎましょう。土小屋からUFOラインに沿った登山道を戻って行く。
時々藪いている場所もあるが、今日の笹斜面と比べると屁でもない。倒木もなんのその。
自然林の中を続いて行く道はとてもいい雰囲気で、2ヶ所ほど沢を跨いでいく。
当初『登れるかも?』と思っていた沢も、一昨日の雨のせいか涸沢ではなく水が流れていた。
やはり沢を登るよりは笹が酷かったが、今日のルートが正解だった。
よさこい峠からは車道を戻って行くことにする。次第に雨が降り始め、
今日は三人とも雨具を持ってきていなかったので、急ぎ足で歩いて行く。
山荘しらさに着くころにはガスがかかり、雨脚も強くなってきた。
今日は食事は出来なかったけれど、山荘のトイレをお借りして着替えを済ませる。
元々登りでは二人に置いてきぼりになっていたが、悪路では意外と強みを発揮できていた。
だが悪路ももろともせず、増々パワーアップしてつけ入る隙が無くなってきた奥様たち。
これからどこに活路を見出したらいいか。へっぽこリーダーの苦難は続いていく。
先週ランチをした山荘しらさから、伊吹山を通って土小屋まで往復で4時間。
土小屋のモンベルで名物の鉄板ナポリタンでランチをして、
今日はいつになく楽勝のコースだと思っていた。ただ奥様たちがその途中にある
岩黒山に登った事が無いので登りたいな~と言っていたので、
単純にしらさから土小屋を往復する以外に色々ルートがないかと考えてみた。
山荘しらさから土小屋を往復すると約4時間。時間的には土小屋から岩黒山を往復すると
+2時間だが、単純に往復するのは面白味が無くイマイチだな~と思っていたら、
エントツ山さんが石鎚山~剣山の縦走の時に、岩黒山からそのまま
町境を名野川越まで下っていたのを思い出した。そこでもう一度読み返してみると、
山頂近くからの笹原はとても急な斜面、そこを下ってもけっこうな笹薮だと
あの藪漕ぎ大臣のエントツ山さんが書いていたので、これは素人には難しいだろうと思い、
他にルートをないかと調べてみたが、山頂からダイレクトに歩いている人がほとんどいない。
そこでGoogleEarthを見てみると、山頂から白く続く涸沢の様なのが見えた。
水が流れていなければ登れないこともない?、急な笹薮よりはマシかな?などと考えてみたが、
そこは軟派なへっぽこリーダー。『まあ無理に岩黒山に登らなくても、一応線は繋がる
からいいかな』と、思いながら・・・・朝をむかえた。
山荘しらさには宿泊客か、朝から結構な台数の車が停まっていた。
山荘前の道路の脇に車を停めてスタートする。
スタートして直ぐに左足に打撲の様な痛みが走った。しばらく歩いても痛みが取れない。
今日はやっぱり岩黒山へは無理だな~と考えながら、早くも弱気になって二人の後を付いて行く。
ここから登山道はUFOラインに沿う形で土小屋まで続いて行くが、スタートからは直ぐに車道に飛び出した。
道標の横に『マムシ注意』の看板を見て奥様たちがビビり始めたが、
リーダーの権限で先頭を二人に任せて後ろから付いて行くへっぽこリーダー。
最初は樹林帯の中の道で歩きやすかったが、樹林帯を抜けると笹道になる。
このところの尾根歩きでは、平家平から冠山の辺りが、
足元が見えない笹道歩きで一番苦労したけれど、それに比べるとノープロブレム。
進歩した前の二人は苦も無く歩いて行く。正面には頭が雲に隠れた石鎚山が見える。
伊吹山へは緩やかな道が続いて行く。『今日は楽勝ね!』と頼もしいお言葉の奥様たち。
振り返ると先週登った子持ち権現と西黒森山からの稜線が続いている。
その子持ち権現から見えた伊吹山は、猫の額ほどの笹原に見えたけど、
けっこう広々とした平らな笹原になっていた。『あれが子持ち権現ですよ!』と奥様たち。
相変わらず瓶ケ森も石鎚山も山頂近くが雲に覆われている。
ルリちゃんが笹の露で濡れないようにと、ウインドブレーカーを腰に巻いているけれど
もうすでにズボンはビショビショ。あまり効果は無いと思うのですが・・・・。
ここで一服しようと考えていたのに、『さぁ~鉄板ナポリタンを食べに行くわよ!』と急かされ、
渋々ザックから取り出そうとしていた物をしまい込む。伊吹山からもしばらく笹原が続いて行く。
その景色を撮ろうをポーチに手を入れると、先ほど伊吹山で仕舞った動画のカメラが無い!
慌てて前の二人に『ちょっと待ってて!』と声をかけるが、聞こえないのかどんどん歩いて行ってしまった。
仕方がないので走って戻って、山頂の辺りを探し回るが見つからない。数分探しただろうか、
諦めかけていたら足元の笹の中に!『良かった~』と肩を撫で下ろし、先を行く二人の下へと走る。
二人に追いつくと、『いつまでも来ないので、また下痢でもしてたんかなと思っていた』とあっちゃん。
山頂付近の笹原が終わるとよさこい峠に近づくにつれ、笹の勢いが強くなってきた。
それでも二人のスピードは全く落ちない。このところの笹道歩きで分かった事だが、
特にルリちゃんが笹道でも全く苦にせずどんどん歩いて行く。
『やっぱりルリちゃんは、笹道に強いね~!』これから『笹の女王』と呼ぶことに
しましょうと、あっちゃんと二人で話をする。
笹道から正面に岩黒山が見え始めたが、ここでは二人には黙っておこう。出来るだけ
ランチに気を逸らして岩黒山の事は頭に浮かばないようにと・・・・。
伊吹山からはけっこう下って行くとよさこい峠に着いた。
よさこい峠からは更に車道の脇に登山道が続いて行く。少し分かりづらいが、道の脇に
短いロープが掛った場所から取り付く。『今日は最初で最後のロープね!』と。
一旦車道に出て朽ちかけた道標からまた登山道に入って行く。ここからが今日の問題のヶ所。
しばらく距離を置いて歩いていると、何やら二人がスマホを覗き始めた。
ヤバい、ヤバいぞと思っていたら案の定GPSを見ながら、『この町境の線に沿って登れば、
岩黒山まで最短距離で登れるわね~』と二人が言い始めた。 ( ゚Д゚)
そして山側を眺め、GPSの町境の線を確認しながら『この辺りね!』と。
すると梯子の掛った場所に赤テープを見つけた二人。『ここよ、ここから登れるわよ!』
『はい、はい分かりました』『言い出しっぺはお二人ですからあとで文句を言わないように』と
二人に責任転換をして、渋々ついて行くへっぽこリーダー。
物好きはいるもので、このルートを歩いた人がいたのだろう。所々で赤テープが見える。
ただ途中から見えた岩黒山までは結構な高度差がある。しかも道なき道。
尾根ぽい所を木々の枝を掴んで登ると、今度は笹の生い茂る場所に出た。
赤テープも見失い、とにかく町境の線から外れないようにGPSで確認しながら進んで行く。
途中で大岩が点在する場所では、普段ならそれらを見ながら感心するところだが、
今日はそんな余裕はない。とにかく上に上にと登って行く。
次々と現れる大岩を右に左にと巻いたり、また真ん中をよじ登ったりしながら進んで行く。
大岩斜面を抜けると前方の少し上が明るく見え始めた。『あの明るい方向へ進んでください!』と
声をかけると『ハ~イ!』と返事が返って来た。それにしても二人は全く歩みを止めることなく
登って行っている。元気なのはいいけれど、元気すぎるのもな~・・・・・。
やっとのことで樹林帯を抜けると前方に笹の斜面が見え始めた。そしてエントツ山さんの
レポートで見た岩壁が右手に見えると、見上げるほどの角度で広い笹の斜面が続いていた。
ここからは笹に埋もれながらの行軍となっていく。背丈を越える笹の中を両手で笹を掴んで、
一歩一歩踏み出していくのだが、斜度が高すぎて踏み出した足が笹に押されて返ってくる。
立ち止まってもしっかり笹を握っていないと、後ろにひっくり返りそうになる。
さながら雪山ならラッセルといったところだろうか。先頭はとにかく体力の消耗が激しい。
数十メートル登っては、何度も先頭を交代しながら登って行く。
ハアハアと息を切らせ、目の前の笹を両手でしっかり掴んで、グイッと体を押し上げる。
段差のある場所では足が上がらず何度も足を滑らせ、体が元の位置に押し戻される。
笹の埃と小さな虫が飛び回り、時々口の中に入る。あっちゃんが『耳が痒い!』と言い始めた。
すると私も虫に噛まれたのか耳たぶが痒くなってきた。そうだ忘れていた。こんな笹薮の中を
うろついていたら、マダニが心配になってきた。といっても今更遅い。
尾根が近づいてくると、やっと一度だけ腰を降ろせる場所があった。
三人とも疲労はピークに差し掛かっている。正面を見ると写真ではよく判らないが、
横を見るといかにこの笹の正面が急なのかがよく判る。
名野川越の登山道の取り付きから1時間20分。笹斜面の取付きから40分。
道は無く最初から笹を掻き分け続けたので、握力もなくなってきたところで、
やっとのことで岩黒山の稜線に出た。最後に尾根に飛び出したあっちゃんがひと言。
『あ~楽しかったわね!』と。『ハイ、ハイ楽しゅうございましたね奥様』
苦労して登った岩黒山だったが、いつも見える石鎚山や筒上山は雲の中。
それでもここまでのダイレクトルートを登れた事にご満悦の奥様たち。
それでは楽しみにしていたランチへと参りましょうかと、下山を開始する。
昨年の夏に登った時は笹の葉の露でびしょ濡れになった記憶があったが、
笹はそれほどでもなく登山道も何の問題もなくスイスイと降りて行く二人。
二人もお腹が空いたのか、超特急で直ぐに姿が見えなくなり、コースタイムを15分も縮めて土小屋に着いた。
こんな天気だが観光客やバイクの人たちで、モンベルの中では注文が出来上がるのを待つ人が数組。
では2階に上がって鉄板ナポリタンと思い、階段を上がろうとすると、階段の正面に『臨時休業』の張り紙。
モンベルの人に聞いてみると、『石鎚スカイラインが通行止めで、料理人の人が来れない』と。
『それでは鉄板ナポリタンとかジビエカレーとかの食事はできないの?』と聞くと、
『すみません、今お出したもので売り切れで無くなりました』と返事が返って来た。 (T_T)
仕方がないのモンベルの軽食のメニューで我慢する事になるのだが、
お二人は新しくできたクラフトビールが飲めてニコニコ顔。
レンジで温めるだけの軽食メニューだったが、意外と出てくるのに時間がかかり、
外のテラスでのんびりし過ぎたせいで、空の様子が怪しくなってきた。
岩黒山山頂で落ちていた五円玉をあっちゃんが石鎚神社に持っていく。
神社前の石段横の鎖を登って?自分のお賽銭と一緒に入れて丁寧に低頭。
さぁ~それでは先を急ぎましょう。土小屋からUFOラインに沿った登山道を戻って行く。
時々藪いている場所もあるが、今日の笹斜面と比べると屁でもない。倒木もなんのその。
自然林の中を続いて行く道はとてもいい雰囲気で、2ヶ所ほど沢を跨いでいく。
当初『登れるかも?』と思っていた沢も、一昨日の雨のせいか涸沢ではなく水が流れていた。
やはり沢を登るよりは笹が酷かったが、今日のルートが正解だった。
よさこい峠からは車道を戻って行くことにする。次第に雨が降り始め、
今日は三人とも雨具を持ってきていなかったので、急ぎ足で歩いて行く。
山荘しらさに着くころにはガスがかかり、雨脚も強くなってきた。
今日は食事は出来なかったけれど、山荘のトイレをお借りして着替えを済ませる。
元々登りでは二人に置いてきぼりになっていたが、悪路では意外と強みを発揮できていた。
だが悪路ももろともせず、増々パワーアップしてつけ入る隙が無くなってきた奥様たち。
これからどこに活路を見出したらいいか。へっぽこリーダーの苦難は続いていく。