線で繋ぐ山歩き。先週予定していた玉取山~兵庫山は現地が雨だったので
予定を変更して三辻山と工石山を歩いた。
今週は天気予報を睨みながら、晴れの日の今日再チャレンジしてきた。
事前にルリちゃんが送ってくれた白髪隧道のトンネル工事の
時間通行止めの情報には、通行できる時間帯が15:00~15:10。16:00~と
なっていて、YAMAPのコースタイムは往復で7時間10分なので、8時にスタートして
コースタイム通りでも15時の通行可能な時間には間に合わない。
でもここのところ平均タイムの110%くらいでは歩けているので
『取りあえず15時前に降りてくるのを目標に!』と返信したが、自信過剰!
これが後々大きな誤算となるとは思わなかった。
白髪隧道の高知県側に着くと工事の車両とは別に、軽トラックが2台停まっていて、
男性一人と女性二人がもうすでに準備を終えて歩き始めていた。
白髪隧道の横から沢沿いの作業道を東に歩いて行くと、途中から左に登る道があり、
脇には佐々連尾山の小さな道標。ここをグイッと登り
今度は西に向かって杉林の中の道が続いて行く。
杉林を抜けて周りが自然林になると頭上が明るくなり、ほどなく猿田峠に着いた。
コースタイムでは35分のところ25分。ここまではいいペースで登って来れている。
峠では先ほどの駐車場で先行していた3人が休憩していて、少し話をすると
地元の方で今日は大森山へ登る予定だと言う。こちらは兵庫山まで予定していると言うと、
『玉取山から兵庫山まではけっこう道が険しいよ』と教えてくれ、更には登岐山の辺りの
様子も教えてくれた。せっかくのアドバイスだったが、話を聞きながらこの時にはまだ、
ここまでの時間を考えてもコースタイムを短縮できるくらいの軽い気持ちでいたのだった。
峠からは鉄塔の奥に赤星山から二ツ岳に続く稜線、そして南には奥工石山、白髪山が見える。
猿田峠からはすっかり葉を落とした尾根道を、まずは1274mのピークに向かって歩いて行く。
『今日は兵庫山まで10回ほどのアップダウンになります!』と奥様たちに言うと
あっちゃんが『これも数に入る?』と言いながら小さなピークを過ぎる。
小ピークを下ると少し広くなった鞍部。鞍部からは1274mの標高点へ登りが続いて行く。
尾根の一段下に窪地になったような場所を時々見かけるが、この季節は疎らな自然林で
明るい広場の様な感じで雰囲気がとてもいい。
標高点からは葉が落ちてはいるが、木々の枝でまだ先の様子は伺えない。
一旦下ってまた登り返すと途中で痩せ尾根になり、露岩の尾根道になる。
痩せ尾根を過ぎると道は尾根の少し北側に続き、その内に苔の岩の日本庭園が現れた。
岩には微細な割れ目が無数あり、水分がしみ込んで表面がしっとりと湿っているので、
山の北側で日が当たりにくく岩が乾きにくい環境では、湿気を好む苔が生育するようだ。
苔庭を過ぎブナの尾根を通りひと登りすると玉取山に着いた。
猿田峠で話をした男性が『玉取山までは1時間40分ほどかかる』と話してくれたが、
1時間強で来られた。YAMAPのコースタイムでも白髪隧道から1時間45分のところを
1時間30分。ここまではまずまずのペースだった。三等三角点『玉取』。
玉取山では周りの木々も疎らになり南西に向いて眺望が開けていた。
あっちゃんの視線のある先に見えるのが兵庫山と思っていたが、
後になって大登岐山だと判った。山頂から少し下るとしばらくは広い尾根が続き、
安易に下ってしまうと道を間違えやすい。
ここは県境のポールを目印に少し左に振りながら下って行く。
玉取山から下った鞍部は痩せ尾根になっている。ここからは1334mの標高点の肩に向かって
また急登が続いて行く。途中でルリちゃんが北西に白く雪を被った山が見えると教えてくれたが、
木々の枝に遮られ、山容や周りの稜線が判りづらく、ましてや近眼の私には同定ができない。
1334mの肩までくると道は少し西に向かって続いて行く。
先ほどまで木々の間からしか見えなかった眺望が開けた。
雪を抱いた山は山容からしてちち山と笹ケ峰の様だ。
奥様たちにはちち山から右に続く稜線が大田尾越への尾根だと思うと伝えたが、
その稜線の右側に大きなピラミダルな山があるのが、どうにも腑に落ちない。
帰って写真を見てみると、直ぐに沓掛山だと判った。
大田尾への稜線は、雪を抱いた笹ヶ峰の下に、右下に白く雪を被った稜線が
ちち山の分れから大田尾越への稜線だった。
しばらくの間快適な尾根道が続いたのち、今度は露岩が現れ始めた。
そして今度は東側の景色が見えた。さめうら湖から立ち上った霧で雲海ができ、
先週工石山から見えた奥工石山が見える。
さらにそこから登って行くっと大岩が現れ、小さなピークの手前は岩塊になっていた。
白い石灰岩の塊にまわりに白骨林。まさに白い尾根。
岩塊からは先ほどより更に視界が開けて東側が見渡せる。
少し先に見える小さなピークまでシャクナゲの尾根を進むと、尾根道は大岩で分断され、
YAMAPでもよく見かけた岩の大きな割れ目となっていた。尾根から少し北側に回り込み、
その割れ目を通って南側に出る。
その岩の割れ目で少し遊んでみる。テレビ番組の"サスケ"のステージの様だ。
そこから岩の突端の手前で一旦下っていくと、あっちゃんがビニール袋に入れたストックが
残されているのに気づいた。ビニール袋に入ったストックは、ザックの脇にでも入れていたのだろうか、
木の枝に引掛けて落としてしまったのかもしれない。あまり歩かれていない山域なので、
取りあえずあっちゃんが拾って登山口まで持ち帰ることにした。
道は露岩や木々の間の道であまりスピードが上がらない。玉取山では11時位が兵庫山かな?と
余裕を言っていたが、まだかなり時間がかかりそうだ。(まだこの時点では遠くに見えるピークが
兵庫山だと思っていたので)
1226mの標高点の手前で、この冬次に予定している『線で繋ぐ山歩き』の阿讃縦走路の
話を三人でし始めた。あ~だ、こ~だと話をしているに、どうも今まであった県境のポールが見当たらない。
『スト~ップ』と声をかけてスマホで確認すると、南東に続く支尾根を降りている。
慌てて引き返して県境の尾根へと戻って行く。
1226mのピークも大岩を回り込み進んで行く。ピークから少し下った所で前から男性が一人。
すれ違いざまに話をすると『ストックが落ちていませんでしたか?』と聞かれる。
あっちゃんが拾ったストックを差し出し、少し男性と話し込む。
男性は兵庫山までの途中で、ストックを落としたのに気が付き引き返して来たという。
兵庫山には2回は登った事があると言うので、前方に見える山頂が兵庫山ですかと聞くと、
『あれは大登岐山です』と教えてくれた。(取りあえずほっとする)
思っていた山頂より手前が兵庫山だと判ったが、ここまでで既に時間は11時30分。
確かに境界ポールを追っていけば迷う事はないが、ここまで十回近くのアップダウン。
そして痩せ尾根の岩場や大岩を巻く場面も何度もあった。
猿田峠で会った人たちに『玉取山から兵庫山は厳しいですよ』と言われた意味が分かった。
兵庫山の手前の小ピークを過ぎると道は大きく様変わりした。
そしてやっと今日の目的地の兵庫山が確認できた。
『あと20分です!』と二人に声をかけて進んで行く。
尾根の南側が下草だけでの斜面が広がっている。伐採跡でも崩壊ヶ所でもなさそうだが、
その斜面には十本近くもの白骨林が同じように尾根に向かって倒れていた。
よほど風が強いのか、尾根の真ん中にも大きな木が倒れている。
荒涼とした雰囲気の尾根を過ぎ、ブナの尾根を抜けるといよいよ最後の兵庫山への取付き。
ここまでスタートから4時間近く。足の疲れも空腹もそろそろピークに差し掛かっていた。
最後の急登を登りきると、そこは山頂と言うより尾根道のピークといった感じの兵庫山。
木の枝に掛けられた山名札と三角点が無ければ、いままで何回も同じようなピークを踏んできたので
ここが山頂だとは分からないかもしれない。山名の札とは別に『高松一高山岳部OB・OGの会』の
石鎚・剣山縦走記念のプレートが掛けられていた。16日間かけたと書かれたこのプレート見て、
エントツ山さんが単独無支援での縦走を決意したプレートだった。
三角点の先の岩からは東に奥工石山が見え、北西には先ほどからのちち山が見える。
時間は12時05分。YAMAPのコースタイムからすると、1時間近くオーバーしている。
いつもより早めに昼食の時間を切り上げ折り返すことにする。
ところがここから今日の道間違いが始まる。あとで地形図を見ると山頂からは
二又に支尾根が続いていて、降り始めて直ぐに左の尾根へと進んでしまった。
山頂から続く急な下り坂に、『こんな急坂だったかな?』と言いながら先を歩く奥様たち。
暫く降りるとシャクナゲの尾根になった。少し疑問に思い始めたところで、
往路で道を塞いでいた木を跨ぐ場所があった。(これは勘違いだった)
ここで一度疑問点が薄まり、そのまま下って行っていたが、どうにも境界のポールが見当たらない。
『お~い、止まって!』と声をかけて、スマホのGPSを見てみると
既に遅かりし、兵庫山から天堤山の方向に随分と下ってしまっていた。
ここまで山頂からは30分近く下って来た。時間は13時10分を過ぎてしまっている。
ここから兵庫山へと引き返すのに恐らく40分以上はかかり、そこから登山口までは
往路と同じくらい時間がかかるとすれば、18時近くになる。
どうしたもんかと考えながら地形図を見えみると、ここから南東に下った所に沢があり、
そこから等高線の間隔は狭いが、尾根を辿って登れれば、その上には
猿田峠まで続く林道の線があるのが判った。
下るのに1時間、登りに1時間、林道歩きを1時間としても16時くらいには
猿田峠に着ける計算になる。独り歩きの時には直ぐにでもルートを選んだが、
今日は奥様たちがいる。スマホのGPSを奥様に見せながら説明をして、
今日までの奥様たちのパワーなら、何とかなるだろうと思って同意を得て下り始める。
問題は下りのルートが籔いていないかと、沢からの極端に等高線の狭い支尾根の
両側には崖の地形が見える。幸い尾根は崖にはなっていないので、
実際が地形図通りになっているかどうかだ。
先ずはこの手前から派生する尾根へトラバースしながら下って行く。
支尾根に出るとしばらくはその尾根に沿って下って行くが、途中からは目標とする
二又になった沢へは一旦尾根から外れて下らなければならない。
ここからはGPS頼み。幸いルートは藪いていなく、適当な間隔で立つ木々に
掴まりながら落ち葉で柔らかい斜面を時々足を滑らせながらも下って行く。
地形図の933mの西側まで降りてくると、地形図には載っていない小さな沢に出た。
沢の両側を見ると、歩きやすそうなのは対岸の様なので、流れの小さな沢の右岸へと渡る。
右岸を進み更に進んで行くと、潰れてしまった小屋の屋根の波トタンや、小さな石標。
少なからずこの辺りまで人が入っていた気配を感じ始めた。
道を間違えたのに気づいて下り始めて1時間。最初に目標にしていた二又の沢に着いた。
周りは深い谷あいだが、目標とする次の対岸の尾根もはっきりと確認できる。
ここまで来れば次は激急登と言えども後は登るだけ。目途がついて一服させてもらう。
一息入れた後、沢の対岸の尾根に取り付くが、尾根に出るまでが大苦戦。
細い木に掴まり右に左にと登りやすそうな場所を狙って、
登ると言うよりは体を持ち上げて行く感じだ。
支尾根に出てからも里山の支尾根のように藪ではなく、木々を避けながら登って行けた。
地形図では岩崖と岩崖の間を抜ける尾根のはずだが、途中では何度も真ん中に大岩が現れる。
登れそうな岩は中央を突破し、無理な感じの岩は足元から巻きながら登って行く。
いくら急登でも、登山道だったり踏み跡が有ったりすれば楽だが、
やはり道なき道を登って行くのは疲れる。
最初は木々に囲まれ見通しも悪かったが、次第に前方の木々の間から青い空が見え始めた。
周りの紅葉にも目をやる余裕も少し出てきた。
沢から取り付いて約1時間。最後の大岩の間を抜けると自然林から杉林に変わり、
木々の間からは先程までより大きく空の色が広がり、何とか地形図にある林道に出た。
ここにきてやっと奥様たちも安堵した様子。ほぼ平坦な林道歩きに、いつもの様に世間話が始まった。
玉取山の北側からの登山口を過ぎると、以前から気になっていた大カツラが目の前に現れた。
白髪隧道の北側から県道の脇道を入ると、ここまで道は続いているが、
未舗装なので私の車で来られるかどうか判らず、この大カツラは見ることはないだろうと
思っていただけに、道迷いが逆に巡り合わしてくれるという、副産物だった。
『登山口には16時30分を目途に!』と奥様に告げ、林道を歩いて行く。
大カツラから猿田峠までの道では、もうすでに陽の色が変わり始めていた。
振り返るとその陽が当たって玉取山も輝き、目の前に大森山が見えると程なく猿田峠に着いた。
尾根の日陰になった峠は、急に気温が下がった感じがした。ルリちゃんが上着を着こんだ。
林道を歩き始めて約1時間。時間は16時13分。ルート変更を考えた時のほぼ時間通りだった。
白髪隧道の車を置いた場所には16時30分を少し過ぎたが、三人とも無事に到着できた。
行動時間8時間42分、歩行距離はYAMAPでは12.2kmだが、カシミールの
沿面距離は13.5kmとなっている。どちらにしても今日はよく歩いた。
ルート変更になれない奥様たちは最初は不安だったようだが、何とか辿り着けて満足気だ。
何といっても日暮れまでに付けた事は良かった。ただ今日は道外れが2回。
それも境界杭を辿れば何でもなかっただけに、大いに反省すべき点を残す一日だった。
予定を変更して三辻山と工石山を歩いた。
今週は天気予報を睨みながら、晴れの日の今日再チャレンジしてきた。
事前にルリちゃんが送ってくれた白髪隧道のトンネル工事の
時間通行止めの情報には、通行できる時間帯が15:00~15:10。16:00~と
なっていて、YAMAPのコースタイムは往復で7時間10分なので、8時にスタートして
コースタイム通りでも15時の通行可能な時間には間に合わない。
でもここのところ平均タイムの110%くらいでは歩けているので
『取りあえず15時前に降りてくるのを目標に!』と返信したが、自信過剰!
これが後々大きな誤算となるとは思わなかった。
白髪隧道の高知県側に着くと工事の車両とは別に、軽トラックが2台停まっていて、
男性一人と女性二人がもうすでに準備を終えて歩き始めていた。
白髪隧道の横から沢沿いの作業道を東に歩いて行くと、途中から左に登る道があり、
脇には佐々連尾山の小さな道標。ここをグイッと登り
今度は西に向かって杉林の中の道が続いて行く。
杉林を抜けて周りが自然林になると頭上が明るくなり、ほどなく猿田峠に着いた。
コースタイムでは35分のところ25分。ここまではいいペースで登って来れている。
峠では先ほどの駐車場で先行していた3人が休憩していて、少し話をすると
地元の方で今日は大森山へ登る予定だと言う。こちらは兵庫山まで予定していると言うと、
『玉取山から兵庫山まではけっこう道が険しいよ』と教えてくれ、更には登岐山の辺りの
様子も教えてくれた。せっかくのアドバイスだったが、話を聞きながらこの時にはまだ、
ここまでの時間を考えてもコースタイムを短縮できるくらいの軽い気持ちでいたのだった。
峠からは鉄塔の奥に赤星山から二ツ岳に続く稜線、そして南には奥工石山、白髪山が見える。
猿田峠からはすっかり葉を落とした尾根道を、まずは1274mのピークに向かって歩いて行く。
『今日は兵庫山まで10回ほどのアップダウンになります!』と奥様たちに言うと
あっちゃんが『これも数に入る?』と言いながら小さなピークを過ぎる。
小ピークを下ると少し広くなった鞍部。鞍部からは1274mの標高点へ登りが続いて行く。
尾根の一段下に窪地になったような場所を時々見かけるが、この季節は疎らな自然林で
明るい広場の様な感じで雰囲気がとてもいい。
標高点からは葉が落ちてはいるが、木々の枝でまだ先の様子は伺えない。
一旦下ってまた登り返すと途中で痩せ尾根になり、露岩の尾根道になる。
痩せ尾根を過ぎると道は尾根の少し北側に続き、その内に苔の岩の日本庭園が現れた。
岩には微細な割れ目が無数あり、水分がしみ込んで表面がしっとりと湿っているので、
山の北側で日が当たりにくく岩が乾きにくい環境では、湿気を好む苔が生育するようだ。
苔庭を過ぎブナの尾根を通りひと登りすると玉取山に着いた。
猿田峠で話をした男性が『玉取山までは1時間40分ほどかかる』と話してくれたが、
1時間強で来られた。YAMAPのコースタイムでも白髪隧道から1時間45分のところを
1時間30分。ここまではまずまずのペースだった。三等三角点『玉取』。
玉取山では周りの木々も疎らになり南西に向いて眺望が開けていた。
あっちゃんの視線のある先に見えるのが兵庫山と思っていたが、
後になって大登岐山だと判った。山頂から少し下るとしばらくは広い尾根が続き、
安易に下ってしまうと道を間違えやすい。
ここは県境のポールを目印に少し左に振りながら下って行く。
玉取山から下った鞍部は痩せ尾根になっている。ここからは1334mの標高点の肩に向かって
また急登が続いて行く。途中でルリちゃんが北西に白く雪を被った山が見えると教えてくれたが、
木々の枝に遮られ、山容や周りの稜線が判りづらく、ましてや近眼の私には同定ができない。
1334mの肩までくると道は少し西に向かって続いて行く。
先ほどまで木々の間からしか見えなかった眺望が開けた。
雪を抱いた山は山容からしてちち山と笹ケ峰の様だ。
奥様たちにはちち山から右に続く稜線が大田尾越への尾根だと思うと伝えたが、
その稜線の右側に大きなピラミダルな山があるのが、どうにも腑に落ちない。
帰って写真を見てみると、直ぐに沓掛山だと判った。
大田尾への稜線は、雪を抱いた笹ヶ峰の下に、右下に白く雪を被った稜線が
ちち山の分れから大田尾越への稜線だった。
しばらくの間快適な尾根道が続いたのち、今度は露岩が現れ始めた。
そして今度は東側の景色が見えた。さめうら湖から立ち上った霧で雲海ができ、
先週工石山から見えた奥工石山が見える。
さらにそこから登って行くっと大岩が現れ、小さなピークの手前は岩塊になっていた。
白い石灰岩の塊にまわりに白骨林。まさに白い尾根。
岩塊からは先ほどより更に視界が開けて東側が見渡せる。
少し先に見える小さなピークまでシャクナゲの尾根を進むと、尾根道は大岩で分断され、
YAMAPでもよく見かけた岩の大きな割れ目となっていた。尾根から少し北側に回り込み、
その割れ目を通って南側に出る。
その岩の割れ目で少し遊んでみる。テレビ番組の"サスケ"のステージの様だ。
そこから岩の突端の手前で一旦下っていくと、あっちゃんがビニール袋に入れたストックが
残されているのに気づいた。ビニール袋に入ったストックは、ザックの脇にでも入れていたのだろうか、
木の枝に引掛けて落としてしまったのかもしれない。あまり歩かれていない山域なので、
取りあえずあっちゃんが拾って登山口まで持ち帰ることにした。
道は露岩や木々の間の道であまりスピードが上がらない。玉取山では11時位が兵庫山かな?と
余裕を言っていたが、まだかなり時間がかかりそうだ。(まだこの時点では遠くに見えるピークが
兵庫山だと思っていたので)
1226mの標高点の手前で、この冬次に予定している『線で繋ぐ山歩き』の阿讃縦走路の
話を三人でし始めた。あ~だ、こ~だと話をしているに、どうも今まであった県境のポールが見当たらない。
『スト~ップ』と声をかけてスマホで確認すると、南東に続く支尾根を降りている。
慌てて引き返して県境の尾根へと戻って行く。
1226mのピークも大岩を回り込み進んで行く。ピークから少し下った所で前から男性が一人。
すれ違いざまに話をすると『ストックが落ちていませんでしたか?』と聞かれる。
あっちゃんが拾ったストックを差し出し、少し男性と話し込む。
男性は兵庫山までの途中で、ストックを落としたのに気が付き引き返して来たという。
兵庫山には2回は登った事があると言うので、前方に見える山頂が兵庫山ですかと聞くと、
『あれは大登岐山です』と教えてくれた。(取りあえずほっとする)
思っていた山頂より手前が兵庫山だと判ったが、ここまでで既に時間は11時30分。
確かに境界ポールを追っていけば迷う事はないが、ここまで十回近くのアップダウン。
そして痩せ尾根の岩場や大岩を巻く場面も何度もあった。
猿田峠で会った人たちに『玉取山から兵庫山は厳しいですよ』と言われた意味が分かった。
兵庫山の手前の小ピークを過ぎると道は大きく様変わりした。
そしてやっと今日の目的地の兵庫山が確認できた。
『あと20分です!』と二人に声をかけて進んで行く。
尾根の南側が下草だけでの斜面が広がっている。伐採跡でも崩壊ヶ所でもなさそうだが、
その斜面には十本近くもの白骨林が同じように尾根に向かって倒れていた。
よほど風が強いのか、尾根の真ん中にも大きな木が倒れている。
荒涼とした雰囲気の尾根を過ぎ、ブナの尾根を抜けるといよいよ最後の兵庫山への取付き。
ここまでスタートから4時間近く。足の疲れも空腹もそろそろピークに差し掛かっていた。
最後の急登を登りきると、そこは山頂と言うより尾根道のピークといった感じの兵庫山。
木の枝に掛けられた山名札と三角点が無ければ、いままで何回も同じようなピークを踏んできたので
ここが山頂だとは分からないかもしれない。山名の札とは別に『高松一高山岳部OB・OGの会』の
石鎚・剣山縦走記念のプレートが掛けられていた。16日間かけたと書かれたこのプレート見て、
エントツ山さんが単独無支援での縦走を決意したプレートだった。
三角点の先の岩からは東に奥工石山が見え、北西には先ほどからのちち山が見える。
時間は12時05分。YAMAPのコースタイムからすると、1時間近くオーバーしている。
いつもより早めに昼食の時間を切り上げ折り返すことにする。
ところがここから今日の道間違いが始まる。あとで地形図を見ると山頂からは
二又に支尾根が続いていて、降り始めて直ぐに左の尾根へと進んでしまった。
山頂から続く急な下り坂に、『こんな急坂だったかな?』と言いながら先を歩く奥様たち。
暫く降りるとシャクナゲの尾根になった。少し疑問に思い始めたところで、
往路で道を塞いでいた木を跨ぐ場所があった。(これは勘違いだった)
ここで一度疑問点が薄まり、そのまま下って行っていたが、どうにも境界のポールが見当たらない。
『お~い、止まって!』と声をかけて、スマホのGPSを見てみると
既に遅かりし、兵庫山から天堤山の方向に随分と下ってしまっていた。
ここまで山頂からは30分近く下って来た。時間は13時10分を過ぎてしまっている。
ここから兵庫山へと引き返すのに恐らく40分以上はかかり、そこから登山口までは
往路と同じくらい時間がかかるとすれば、18時近くになる。
どうしたもんかと考えながら地形図を見えみると、ここから南東に下った所に沢があり、
そこから等高線の間隔は狭いが、尾根を辿って登れれば、その上には
猿田峠まで続く林道の線があるのが判った。
下るのに1時間、登りに1時間、林道歩きを1時間としても16時くらいには
猿田峠に着ける計算になる。独り歩きの時には直ぐにでもルートを選んだが、
今日は奥様たちがいる。スマホのGPSを奥様に見せながら説明をして、
今日までの奥様たちのパワーなら、何とかなるだろうと思って同意を得て下り始める。
問題は下りのルートが籔いていないかと、沢からの極端に等高線の狭い支尾根の
両側には崖の地形が見える。幸い尾根は崖にはなっていないので、
実際が地形図通りになっているかどうかだ。
先ずはこの手前から派生する尾根へトラバースしながら下って行く。
支尾根に出るとしばらくはその尾根に沿って下って行くが、途中からは目標とする
二又になった沢へは一旦尾根から外れて下らなければならない。
ここからはGPS頼み。幸いルートは藪いていなく、適当な間隔で立つ木々に
掴まりながら落ち葉で柔らかい斜面を時々足を滑らせながらも下って行く。
地形図の933mの西側まで降りてくると、地形図には載っていない小さな沢に出た。
沢の両側を見ると、歩きやすそうなのは対岸の様なので、流れの小さな沢の右岸へと渡る。
右岸を進み更に進んで行くと、潰れてしまった小屋の屋根の波トタンや、小さな石標。
少なからずこの辺りまで人が入っていた気配を感じ始めた。
道を間違えたのに気づいて下り始めて1時間。最初に目標にしていた二又の沢に着いた。
周りは深い谷あいだが、目標とする次の対岸の尾根もはっきりと確認できる。
ここまで来れば次は激急登と言えども後は登るだけ。目途がついて一服させてもらう。
一息入れた後、沢の対岸の尾根に取り付くが、尾根に出るまでが大苦戦。
細い木に掴まり右に左にと登りやすそうな場所を狙って、
登ると言うよりは体を持ち上げて行く感じだ。
支尾根に出てからも里山の支尾根のように藪ではなく、木々を避けながら登って行けた。
地形図では岩崖と岩崖の間を抜ける尾根のはずだが、途中では何度も真ん中に大岩が現れる。
登れそうな岩は中央を突破し、無理な感じの岩は足元から巻きながら登って行く。
いくら急登でも、登山道だったり踏み跡が有ったりすれば楽だが、
やはり道なき道を登って行くのは疲れる。
最初は木々に囲まれ見通しも悪かったが、次第に前方の木々の間から青い空が見え始めた。
周りの紅葉にも目をやる余裕も少し出てきた。
沢から取り付いて約1時間。最後の大岩の間を抜けると自然林から杉林に変わり、
木々の間からは先程までより大きく空の色が広がり、何とか地形図にある林道に出た。
ここにきてやっと奥様たちも安堵した様子。ほぼ平坦な林道歩きに、いつもの様に世間話が始まった。
玉取山の北側からの登山口を過ぎると、以前から気になっていた大カツラが目の前に現れた。
白髪隧道の北側から県道の脇道を入ると、ここまで道は続いているが、
未舗装なので私の車で来られるかどうか判らず、この大カツラは見ることはないだろうと
思っていただけに、道迷いが逆に巡り合わしてくれるという、副産物だった。
『登山口には16時30分を目途に!』と奥様に告げ、林道を歩いて行く。
大カツラから猿田峠までの道では、もうすでに陽の色が変わり始めていた。
振り返るとその陽が当たって玉取山も輝き、目の前に大森山が見えると程なく猿田峠に着いた。
尾根の日陰になった峠は、急に気温が下がった感じがした。ルリちゃんが上着を着こんだ。
林道を歩き始めて約1時間。時間は16時13分。ルート変更を考えた時のほぼ時間通りだった。
白髪隧道の車を置いた場所には16時30分を少し過ぎたが、三人とも無事に到着できた。
行動時間8時間42分、歩行距離はYAMAPでは12.2kmだが、カシミールの
沿面距離は13.5kmとなっている。どちらにしても今日はよく歩いた。
ルート変更になれない奥様たちは最初は不安だったようだが、何とか辿り着けて満足気だ。
何といっても日暮れまでに付けた事は良かった。ただ今日は道外れが2回。
それも境界杭を辿れば何でもなかっただけに、大いに反省すべき点を残す一日だった。
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