いやいや今更のコロナに感染。ずっと寝ていたせいで腰の調子が思わしくない。ただ2週
お山を休んで、その間奥様たちは地元の里山を歩いていた。そろそろ復帰しないと何を言
われるか分からない。そう思って先週の土曜日に足慣らしをしたのだけれど、歩いている
うちは何ともなかったのに、一晩経つとさらに腰の痛みが酷くなった。
でもそんなことは言ってられない、奥様たちの視線が刺さらないうちに、前回と同じよう
に6時30分に集合して一路神戸に向かって GO!!
前回は須磨から9座登ったことになるが、今日は菊水山・鍋蓋山・再度山の
3座の予定。スタート地点となる鵯越駅周辺には駐車場が見当たらないので、南に下がっ
た湊川公園駐車場に車を停めて、そこから神戸電鉄湊町線の電車で三つめの鵯越駅まで移
動することにした。
電車を降りると同じようにザックを担いだ数組の人たちが降りて来た。さすが都会の裏山
六甲山。公共交通機関で登山口まで移動なんて、今や四国ではほぼ見かけない。
下りのホームに降り立ち、反対側の上りのホームの横から駅舎に沿って歩き始める。
駅舎の横から鵯越市民公園の広場に出る。先にスタートした3人の女性が広場で準備体操
をしていた。駅でその女性たちの会話を聞いていると、どこかの山の会に所属している様
子だったが、さすがだな~と感心しながらその横を通り過ぎ、しばらくはイヤガ谷沿いを
歩いて行く。
すると川沿いの道から舗装路に飛び出した。カーブになった場所に道標が立っていたが、
道標の矢印の向きが微妙で、舗装路の横に登山道ポイ道があったので、少し迷ったがそち
らに進んでしまった。しばらく登って行くとダウンロードしたルートから離れていってい
るのに気づき、慌てて引き返した。
舗装路まで戻って今度は島原川に沿って道なりに歩いて行くと、フェンスで囲まれた中央
水環境センター鈴蘭台処理場の大きな施設の前に出た。その施設の正面から左に回り込む
ようにして歩いて行くと、施設の裏側になった。そこにも菊水山への道標が立っていたが
それより大きな『ガードレール側』と書かれた案内板。その方向を見やると門扉とフェン
ス、その脇に細い道が続いていた。門扉は個人宅のものらしく、間違って入らないように
した注意書きの案内板だった。
案内板に書かれている通りガードレール横の道を歩いて行くと、広場になった場所に出る。
そこから左手に登って行くと今は廃駅となった菊水山駅が左上に見えた。周りに民家もなく
こんな山中にどうして駅を?と思ったが、帰って調べて見ると処理場施設に通勤する職員
が利用していたようだが、業務が省人化されて乗降客もほとんどいなくなった為に廃駅に
なったらしい。
駅からは菊水山方面へのハイキングコースがあり、行楽期の休日には多くのハイカーが下
車したようだが、2004の平日の調査では乗車人員は18人だったそうだ。
その菊水山駅跡の横を通り過ぎると、正面に菊水山の電波塔の頭が見えた。
石井ダムの下流に架かる橋を渡り、島原川の支流の右岸に沿って登って行く。この辺りま
ではまだ綺麗な紅葉が残っていた。すると対岸の奥から『メエ~!』と鳴く声が聞こえて
きた。『山羊かな?』と奥様たちに言うと、『まさかこんな所に』と馬鹿にされたが、確
かに山羊の鳴く声が聞こえてきた。ベンチの置かれた広場はモミジの落ち葉で赤色に染ま
っていた。ピーク時だったらそれはそれは見事な紅葉が見られただろう。
この広場から左手にいよいよ菊水山への登りが始まる。最初は擬木の階段。不規則な段差
が直ぐに足に堪えてくる。階段の両側のスズタケが、葉が落ちて色のない周りの景色にま
だ若い緑の色を保っている。擬木の階段の次は、蹴込と踏面が樹脂でできた階段になった。
こちらは段差が割と低くさっきの階段よりは登りやすい。それにしても山頂までほぼ階段
が続いている。前回の栂尾山の手前の階段も『地獄の階段』だったが、こちらもそれに引
けを取らない階段だ。
すると道の折返しの場所が展望所になった場所にでた。正面から少し東を見るとポートア
イランドとその沖に神戸空港。西を見ると明石大橋がクッキリと見える。昨日の雨のあと
空気が澄んでいるのだろう、今日はけっこう遠くまで見渡せる。
その展望所から15分ほど登っただろうか、今日の一つ目のピークの菊水山に着いた。
二つある巨大な電波塔のうちの一つは足場で囲われて改修工事中、もう一つの電波塔の下
は展望台になっていた。今日はここが一つ目のピークだが、前回の須磨から数えると、丁
度10座目のピークとなる。三人で10本の指を立てる。
展望台からは先ほどと同じように須磨から神戸の街並みが見渡せた。そしてさらに北東に
は広大な住宅地が広がっているのが見えた。三角点は 三等三角点 下谷上 458.83m
菊水山からは城ケ越をへて天王谷川まで200mほど下って行く。登った山を下ってまた
登るなんてと思うけれど、自然の地形は人間様の都合よくは出来てはいない。
途中のダム湖では、明るい日差しの中を仲良くカモの夫婦が、付かず離れず気持ちよさそ
うに泳いでいた。自分たちもああなりたいもんだと三人で。
国道428号線の上に架かる天王吊り橋を渡ると、今日二つ目のピークの鍋蓋山への登り
がすぐに始まる。
しかも直ぐに急登になった。地表を辺り一面に木の根が這って菊水山とは全く違った雰囲
気になる。単調な菊水山の階段登りに比べると、右に左にと自分で歩く方向を変えながら
登って行けるので、意外と苦しくはなかった。
すると年配の男性が一人立ち止まって道を譲ってくれた。すれ違いざまに『前にあと11人
登っているから』と教えてくれた。『どこかの山の会ですか?』と尋ねると、『正式なもの
ではなく、好きな人が集まって登っている』と答えてくれた。
するとその先にまた三人ほどの組。その中の男性が『鍋蓋山のこの坂が一番キツイよね』と
仰った。自分的には菊水山の階段の方がキツイかったのにと思ったが、ひょっとするとこの
グループは菊水山には鈴蘭台側から登って来たのかもしれない。
その三人を追い越して登って行くと今度は男女の組。その男性が立ち止まって『ガソリン補
給するわ!』と言っている。男性を追い抜き一緒にいた女性に『水分補給ですか?』と尋ね
たら『タバコよ、タバコ』と笑って答えてくれた。
急登を登りきった所で一ヵ所見晴らしの良い場所があった。先ほどからの団体さんの先頭の
人が、『ずっと沖には関西国際空港が見える』と教えてくれる。奥様たちがその景色に見入
っている間に、次から次と団体さんのメンバーが登ってきた。鍋蓋山の山頂にはもう休憩し
ている人がいるだろうし、この人数が到着するとお昼ご飯で座る場所がなくなるかもしれ
ないと思い、奥様たちを置いて先に山頂へと向かう。
鍋蓋山は広々とした山頂だったが、予想した通り広場ではさらに大勢の団体さんが休んで
いた。その脇にひとつだけ空いていたテーブルとベンチを陣取る。しばらくして奥様たち
が到着。すぐにお弁当を広げてお昼にする。この山頂からの眺望も申し分ない。ポートア
イランドも随分と近づいてきた。そして反対に前回スタートした須磨からの鉢伏山や旗振
山が遠ざかっている。
奥様たちも山名が書かれた案内板を眺めながら山座の同定をしている。ここでは三人で須
磨から11座目の指を立てる。
鍋蓋山山頂で30分ほど休憩した後は、今日最後のピークの再度山へと下って行く。道は
里山らしい花崗岩が風化した道、植生もどこにでもある木々。この六甲山には所々でその
場所が特定できるナンバーが書かれた黄色いプレートが設置されている。プレートに書か
れたナンバーを119番に連絡すると、すぐに居場所が分かるようになっているようだ。
ここでも途中で見晴らしの良い場所があった。眼下にはポートタワーがはっきりと目視で
きる距離まで近づいて来た。
再度越では道は四差路になっていた。一番北の道は再度公園への道、南の道は大竜寺へ直
接下って行く道。そして真ん中が再度山への上りの道になる。再度山への道は、距離は短
いが急登。でも今日最後の登りだと思うとあまり苦にもならない。再度山山頂は今日の二
つの山頂に比べると猫の額ほどの広さだった。須磨からは12座目のピーク。
四等三角点 鍋蓋山 486.15m
写真を撮ったあとは南側に下って行くと直ぐに『天狗』と書かれた大杉天狗。ここからは
また一段と急な坂になる。
急坂が終わると四国88カ所のミニ霊場の石仏が並んでいた。ただ四国でもよく見かける
ミニ霊場とは違って、石仏だけでなく立派な石の建屋がひとつひとつに造られていた。
奥の院にお参りして大竜寺の境内に入る。本殿にはお参りせずにそのまま表参道を下って
行くと、大きな山門のある駐車場に着いた。
駐車場から車道の反対側へ渡り、再度東谷の川沿いを20分ほど歩いて行くと市ケ原の広
い河原に出た。河原ではベンチに腰掛けテーブルの上にアルコール類を並べて談笑する年
配の男性グループや。木陰でチェアに腰掛けのんびりとしている女性の姿があった。
河原から布引大竜寺線に出て道の脇にあるトイレで用を済ませる。トイレの近くにある桜
茶屋のシャッターは下りていたが、少し南に下がった場所にある紅葉の茶屋は店の前に可
愛らしいぬいぐるみを置いて営業していた。
ここからの道は同級生3人で以前に歩いた事のある道。フェンスで囲われた川沿いを歩い
て行く。生田川になるこの川は布引貯水池を経て神戸港へと流れていく。夏からこの季節
の間、あまり雨が降らなかったせいか貯水池の水位も随分低いように見えた。
突堤の向こうにはハーブ園のロープウェイが結構短い間隔で動いている。
貯水池の突堤の下まで降り、大正時代に造られたという谷川橋を渡りしばらく歩くと今日
最後の景勝地の布引の滝。落差43mの布引の滝は『日本の滝百選』に選ばれ、さらには
那智の滝と華厳の滝とともに日本三大神滝の一つと呼ばれる名瀑。滝は花崗閃緑岩と云わ
れる白色と緑色の鉱物が混じった岩石で、全体的には白っぽく見える岩を流れ落ちている。
滝壺の上にはここでも営業している茶屋があった。紅葉の頃はもちろん、夏には涼し気な
この場所は新神戸からもほど近く、滝を眺めながら一服するにはもってこいの場所だ。
布引の滝は上流部の雄滝から鼓滝、雌滝へと続いている。その脇を通りながら最後の展望
所に着いた。ここでもベンチに腰掛けて大勢の人が休んでいた。
すぐ手前には谷を流れ落ちる雄大な滝があったばかりなのに、目の前には新神戸駅の高層
ビル。大自然と都会がこんな近くに接している場所はなかなかないだろう。
展望所で一息入れて下って行くとすぐに明治時代に水道管を通す為に造られたレンガ造り
の砂子橋。その橋を渡ると程なく新神戸駅の裏手に着いた。
これで全山縦走の1/2を終えた事になる。ここからが本来の六甲山となる。残り2/4と
はいえ、麓から都度登り下りをしていたのでは時間が足りない。登り下りのいずれかで、
ケーブルカーを利用し、さらには駐車場を確保しスタートもしくはゴール地点まではバス
移動と、課題が満載。どうやって歩くかどうやって交通機関で移動するか、頭の悩ませ処。
できれば年内に残りの2区間を完歩したいと思っている。
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