里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

水墨画「蔵王の御釜」

2023年09月17日 | 水墨画:風景他
画仙紙 半切1/3  

7月山形を訪れた帰路、絶好の条件で「蔵王の御釜」を見ることができました。
当地方では蔵王は蔵王山(ざおうざん)と呼ばれることが多いのですが、蔵王山と言う単独峰はありません。
北東の山形県側から南西の宮城県側に多くの峰々が連なる連峰です。
最高峰の熊野岳は山形県側、蔵王のシンボル的存在の「御釜」は宮城県側にあります。
「御釜」一帯はカルデラで、外輪山の東側が崩壊しているため馬蹄形になっています。
この外輪山の内側に五色岳があり、西側中腹の爆裂火口の底に水が溜まってできたのが「御釜」です。
この独特の釜の形状とエメラルドグリーンの湖面が神秘的な雰囲気を醸し出しているのでしょう。
湖面の色は火山活動や水中の化学反応、太陽光線の当たり具合などで微妙に変化します。
そのため別名「五色湖」あるいは「五色沼」と呼ばれることもあります。
「御釜」の姿は見る位置により変わりますが、これは展望台から少し刈田岳に登った辺りから見たものです。


水墨画「那智の滝」

2023年07月30日 | 水墨画:風景他
画仙紙 半切1/3   

数年前、南紀を旅し、熊野三山をお参りしました。その一つが那智大社です。
すぐ側に落差が日本一とされる那智の滝があります。
滝は豪快と言うより優雅といった表現が合いそうです。
50年ほど前に訪ねた時は水量が少なくなっていましたが、その時よりは大分多くなったと感じました。
特徴的なのが周囲が杉の立木に囲まれていることです。
滝を描いても、何処の滝かは分からないものですが、滝のすぐ側まで杉の木が立っているのは他ではあまり見ません。
南紀を旅した折り、印象に残る風景の一つです。
過日、山形の最上から庄内まで足を伸ばしました。
通常、このルートを行くなら殆ど外さないのが羽黒山です。特に五重塔は素晴らしい。
これまで何度か訪ねているので敢えて今回は外しましたが、当地方で印象に残る第一は羽黒山五重塔です。
京都や奈良などでも五重塔は結構な数を見ていますが、小生はここが一番と思っています。
杉木立の中に佇む姿は孤高の塔と言うべきでしょうか。
これは、数年前に所属する社中の墨画展に出品したもの。題名は「羽黒山五重塔」
画仙紙 全紙2/5   

すでに投稿済みですが、このたび山形を訪ねたので再掲してみました。

水墨画「潮岬」

2023年07月02日 | 水墨画:風景他
画仙紙 半切1/3  

数年前、南紀を旅した折りに訪ねた潮岬を水墨画で描いてみました。
潮岬には過日投稿した「天空の千枚田」のモチーフ丸山千枚田の前日に訪れました。
この時の旅の一番の目的は水墨の題材をストックすることでした。
JRで三重の松坂まで行きレンタカーで串本に直行。橋杭岩の奇岩を鑑賞し、大島に渡り夕日を堪能したことをよく憶えています。
当日は串本に宿泊し、翌日潮岬に。
ほぼ半世紀ぶりでしたが、昔の記憶は殆どありません。しかし、やはり潮岬は外せないでしょう。
本州最南端の地で、眼前に広がる雄大な風景は見事。
観光タワーから360度見渡せる風景は、なるほど地球が丸いことを実感できました。
ところで、潮岬が串本町に属していることを、それまで知らずにいました。
この串本町は小生がよく元気を頂いているハゲボウシさんのご実家があるところ。
ハゲボウシさんは千葉と串本の二刀流をこなすスーパーマンですが、しばらく投稿が途絶えているのは寂しい。エールを送ります。


水墨画「天空の千枚田」

2023年06月25日 | 水墨画:風景他
画仙紙 半切1/3  

数年前に南紀を旅した折り、丸山千枚田を訪ねました。
今改めて顧みて、現地での性能の悪いスマホからの投稿だったため、その時の感動を十分に記していないようです。
過日、拓さんのブログを拝見し、当時の感動を呼び起こして頂きました。
拓さんは当地を度々訪ねられており、絶景を伝えて下さいます。
それでもご本人は未だ満足できる写真をものにしていないと仰います。
小生、この画は当地をモチーフに暫く前に描いたものですが、満足できず放置していました。
しかし、満足できなくても記録に留めるべきと思い直し、この度裏打ちしてみました。
実は、当時は当初から旅のコースに入れていたわけではありません。
事前の予備知識は多少あったものの、先ずは瀞峡でジェット船に乗るつもりでした。
半世紀ほども前、瀞峡でジェット船(当時はプロペラ船?)に乗った時のことが忘れ難く、画の題材に格好と思っていたからです。
ところが、台風災害の影響でジェット船の運行が休止になっていました。
そこで、急遽近くの丸山千枚田を訪ねることにしたのでした。
瀞峡に行っていれば丸山千枚田を見ることはなく、これほどの感動を得ることもなかったでしょう。
たまたま往路はメインの道路ではなく苦労してたどり着いた記憶があります。
そして、偶然集落の方々とお話しする機会に恵まれ、ご苦労話しを窺い、互いにエールを交換し感動に拍車をかけたのでした。



水墨画「犬吠埼」

2023年02月26日 | 水墨画:風景他
画仙紙 半切1/3  

怒濤の波しぶきを上げる犬吠埼を描いてみました。
激しい波しぶきを表現するため、ドーサ液を利用しました。
ドーサ液は膠(にかわ)の薄い溶液に少量の明礬を溶かしたもので、白抜きするために用います。
前もって波しぶきの上がる部分にドーサ液を吹き飛ばしておきます。
これまでも何度かドーサ液を用いて描いていますが、加減が難しい。今回は少ししつこ過ぎたかもしれません。
犬吠埼は、関東最東端に位置する銚子の太平洋に突出した岬です。
犬吠埼を訪れたのは7、8年前になるでしょうか。6月だったと思います。
怒濤打ち寄せる波を想像していましたが、当日は穏やかな海でした。
白亜の灯台が印象的で、思った通りの画になる風景です。
ただ、イメージにあるのは穏やかな海ではありません。何分、犬が吠えるような激しい海から犬吠の名がついたのだろうと思い込んでいましたから。
実は、当地には義経伝説が有り、義経が奥州に逃れるとき愛犬が主人を慕って鳴き続けたという言い伝えからきていると言います。
しかし、一度頭に刷り込まれたイメージはなかなか払拭できないものです。
寒風吹きすさぶ厳寒期ならこんな風景が見られるのではないでしょうか。