里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

「寒玉キャベツ」1ヶ月後の変化は

2025年02月28日 | 畑:葉菜類

冬キャベツを穫り始めて1ヶ月ほど経ちます。
それ以前に殆どが完全結球しており、いつでも穫れる状態でしたが、秋キャベツがまだ残っていました。
品種はトーホク種苗の分かりやすい名称の「寒玉キャベツ」。
種播きは8月13日、9月3日に植付け、10月7日に追肥土寄せ。
収穫開始後は、大寒時よりむしろ立春後のほうが再三の寒波襲来で寒さが厳しくなりました。
また、積雪もあり形だけとは言え雪中甘藍の状態でも穫ってみました。
さすが通称「寒玉」だけあって気象変化にも特段変わりなく穫れています。


多少寒波の影響でアントシアニンの発色が多くなった程度でしょうか。
若干あった8、9分結球だったものもすでに殆どが完全結球になっています。


穫り始めたときの投稿で、例年と姿が違うと記しました。1ヶ月経過後の姿を記しておきたいと思います。
基本的には大きく変わっていません。


多くはこの姿です。


そして、一部にこの姿の寒玉キャベツが混じっています。この辺りに少し纏まってあります。


これがこれまで作ってきた寒玉キャベツです。


冬キャベツはこれまで何品種か作っていますが、この品種は非常に特徴的です。
外葉が大きくやや垂れ生育旺盛で大玉、低温に晒されるとアントシアニンの色素が強く出てきます。
過去に真冬日が連続するような酷寒の年には紫キャベツと見間違うくらいになったことがあります。
しかし、今年の多くの株はそうなっていません。アントシアニンの色素がそれほど強く出ず、葉の縁が僅かに紫っぽくなる程度。
隣同士になっている株を比べると1ヶ月前と同様明らかに違うことが分かります。説明は不要でしょう。


これは間の1株は収獲済みです。アントシアニンの発色だけでなく葉の形や葉脈などもはっきり違います。


一体どうしたことなのか。
そこで、前投稿時に種苗会社に照会してみたところ「昨年までの品種と変わらない」との回答を記しました。
もしかして育種技術者の回答が聞けるかもと期待したのですが所詮無理としたものでした。
失念してしまったので断定できないのは残念ですが、多分従来通りの寒玉キャベツは前年の残り種だった可能性が高い。
それにしてもこれほど見事に外観が違うのは初めての経験かもしれません。


種苗会社で品種名を変えずに改良を加えることは結構あることと聞いています。
アントシアニンの発色が強すぎると消費者から敬遠される可能性もあるので改良を加えるのは十分理解できます。
通常の品種は種苗法に基づく品種登録をしていないため特段の問題はないはずです。
2月の気温は酷寒とまでは言わないまでもかなり厳しいので品種特性に変化があったことは間違いないと思われます。
品種そのものが改変されたか採種の過程で何かが生じた可能性が考えられそうです。
アントシアニンの発色が少ないということは耐寒性が増している可能性もあります。
何れ次回作ればはっきりするでしょう。今季の寒玉キャベツで特に悪いと感じることはありません。
少し小ぶりのものを穫って比べてみます。右が従来からの寒玉キャベツ、左が今季の主たる寒玉キャベツ。


全体の形にも違いがあります。右がやや扁平、左がやや腰高。
食味ではあまり違いがなさそうですが、助っ人は左の方が少し柔らかいと言っています。
こちらは春キャベツ。


品種は「金系201」。1ヶ月前はやや進んでいる印象でした。
しかし、その後の寒波襲来で生育は停滞、例年並みか多少遅れ気味の可能性もあります。
キャベツは10月から6月に入るまでの長期収穫を目指していますが、どうなるでしょう。

ところで、過日たまたまテレビを見ていたらキャベツが依然高いというので生産者にインタビューしていました。
インタビュアーが寒さが厳しいので生育が悪く葉も変色していると盛んに回答を誘導していました。
しかし、畑のキャベツはしっかりしていて少しアントシアニンが発色している程度。生産者の方は戸惑いながら同調していました。
確かに今冬の葉物は高値になっています。キャベツの小売り価格は昨年の3倍になっていると報じていました。
しかし、前年は安かった。安いときは話題になりません。安値と高値の比較ですから差はより大きくなります。
もっとも生産者価格が下がったとしても流通過程の人件費、資材、運賃、手数料は変わらないかむしろ上がっているので末端価格はそれほど下がらないのが現実です。
それにしても最近はありとあらゆる場面でデマが横行、騙すより騙される方が悪い、目立った方が勝ち、勝ったものが正義といった風潮がまかりと通っているように見えます。


畑に冬囲いしたハクサイを取り込む

2025年02月27日 | 畑:葉菜類

畑に置いたままで冬囲いしたハクサイを取り込みました。
冬囲いしたのは12月19日。2ヵ月余り経ちました。
品種は、トーホク種苗の中晩生種「郷秋80日」。
冬囲いは畑に置いたままの方法と室内に取り込む方法の二つの方法で行っています。
これが作業場の中に取り込んで冬囲いしたハクサイ。


外葉を数枚残して新聞紙で包み、逆さまにして寄せています。
天候の影響を受けないので確実な方法ですが、手間がかかりスペースが必要です。
今冬はこちらを少なく囲ったこともあって、大分少なくなりました。順調に消費しています。
こちらが畑に置いたまま冬囲いしたハクサイ。


当地でも一般的に行われている外葉を縛っただけの簡易な方法で、不織布で覆いをしています。
今冬はこの方法で多めに囲っており、残っているのもこちらが多い。それでもすでに過半は穫っています。
この辺りは3㎏超級の大玉ばかりですが、外葉でしっかり守られているようです。


この方法は酷寒になるとやはり凍害を受けるリスクが高まります。
暖冬だった前年と違い今冬は平年並の寒さ。立春後はむしろ気温の低い日が多い。
但し、最低気温-5℃以下が連続するような酷寒になっていないのは幸い。外葉の傷みの程度は例年並みです。
この品種は外葉が大きくしっかりしているので、結球を十分覆うことが出来ます。


しかし、結球内では次第に花芽が生長し、放置すれば何れ割れてきます。
過去には3月まで置いてみたこともありますが、多くが割れてきました。
先週は寒波襲来で気温がかなり下がったものの今週は上がってきました。やはり2月中には取り込む必要があります。
これまで穫ったものは結球に目立った傷みはありません。


これは4㎏越えと思われる超大玉。


ハクサイのトウは美味しいので、構わず放置しとう立ち菜として利用することも可能ですが、後の作業に支障があるので全て取り込みます。
傷んだ外葉は畑で剥いてしまいます。それでも余分な外葉が2、3枚残っています。


傷みのある株も若干あり、それらは改めて囲わずそのまますぐ消費することにします。
取り込み再度囲い直すのは10個余り。


年内に取り込んだ時と同様新聞紙に包んで囲い直します。


本来は外葉をもっと付けて囲うべきですが、この時期になればやむを得ないでしょう。


2月末になりましたが、気温も低く割れた株は一つもありませんでした。
巨大玉は包むのには新聞紙3枚必要でした。


このくらい大きいのは滅多にないので目方を量ってみました。
5㎏ありました。通常の2個分です。市場出荷では規格外として取り扱われないかもしれません。


助っ人が当初から中に取り込んだハクサイと区別し、囲い直してくれました。
右が初めから取り込んだもの。左が今回取り込んだもの。


覆いをしておきました。


今冬は結構他にも配ったようでほぼ想定した残量になっています。
気温が上がってくれば結球中で何れ花芽が生長してくるので助っ人にできるだけ無駄にならないよう処理してもらいます。



仮伏せ中の原木シイタケをチェックし軽く散水

2025年02月26日 | 山菜

シイタケの稙菌をし、仮伏せしてから20数日経ちました。
これが仮伏せ中のシイタケ原木。


仮伏せは温度と湿度を保ちシイタケ菌を繁殖させるために行います。
2、3週間後に菌の繁殖具合をチェックし水分が不足と判断すれば散水する必要があります。
少し日数が経ちましたが、ビニールを開けてみます。直射が当たらないようコモで覆いをしています。


仮伏せする時に散水したのでコモはまだ結構湿気っています。
コモを剥いでみると、原木もそれなりに湿気っているようです。


打ち込んだ種駒の状態を確認します。


一見して打ち込んだ種駒が白くなっているのが分かります。これがほっとする瞬間です。
近づいてよく観察すると種駒の表面が白く浮き上がっているように見えます。


確かに種駒から菌が吹き出ているようです。これなら大丈夫そうに見えます。


辺りに白く菌糸のように見えるのはシイタケ菌なのかその他の雑菌なのかはよく分かりません。
さらに全体を観察してみると、種駒があまり白くなっていないところがあります。


種駒が白くなっていないところは、水分が足りず原木が乾いているように見えます。


原木の切り口に近い部分や南側の直射が当たりやすいところが乾いているようです。
コモでしっかり覆ったつもりでしたが、やはり散水むらが出ていました。
水分が不足していると思われるところを中心に軽く散水することにしました。


小生はシイタケのことはよく分からないため、冬場に散水するのは温度を下げるのであまり良くないと考えていました。
しかし、何度か経験するうちに水分不足が一番良くないと感じるようになりました。
再びこもで覆いをします。


さらにビニールを掛け作業は終了です。


暫くこの状態を保ち、またチェックすることにします。

ナバナ「寒咲花菜」は大きく遅れてこれから最盛期

2025年02月25日 | 畑:花菜類

ナバナ類の「寒咲花菜」は想定よりも大きく遅れてこれからが最盛期となります。


12月10日頃から主枝を穫り始めましたが、進度が遅くなりました。
1月末からは予想より半月ほど遅れてわき芽(1次側枝)を穫り始めたもののこちらの進度も遅い。
わき芽(側枝)が盛んに穫れるようになれば最盛期ですが、例年に比べると1ヶ月くらいも遅いと言った印象です。


但し、この時期の姿としては旺盛。
この時期になれば、何株かは凍害で枯死していてもおかしくありません。
今冬はそのような株は一つもなく、着実に穫れています。ばらつきも少ない。


最低気温が連日-5℃を下回るような酷寒の年なら無傷では済まず凍害を受けます。
幸い今冬はそれほどになっていないものの先週来再び寒波襲来でかなり厳しい寒さでした。
さすがに全体に葉が垂れ強い寒さに当たった姿ですが大丈夫。十分に耐寒性が付いているものと思われます。


主枝の収穫は全て終わりましたが、側枝(わき芽)はまだ多数残っています。
低温のためか主枝の下位節間が例年にもまして詰まっており側枝(わき芽)の数が多くなっています。
一株で多数の花芽が確認できます。


側枝(わき芽)の数が多いことから競合して伸びが遅くなっているようです。1株から10本以上が一斉に伸びている株が多数。
例年なら早いものは孫茎に当たるわき芽(2次側枝)が生長し穫れていてもおかしくありません。
遅れている株のわき芽の数も凄い。気温が上がればこれらが次々に穫れるようになるでしょう。
花菜は多少花が咲いても大丈夫ですが、花の咲く直前が一番美味しい。


少しかき分けるとこのようにしっかりしたわき芽が伸びています。


2芽くらい残して切ります。ここからさらにわき芽(2次側枝)が伸びてきます。
穫りました。


数株穫れば十分な量です。


立てて見れば新葉に囲まれて蕾が見えます。


今冬の「寒咲花菜」はこれまででも最も進度が遅く最盛期がずれ込んでいる印象です。
ただこれに続く茎立ち菜も遅れそうなので悪いと言う訳ではありません。
これから気温が上がれば沢山の蕾が見えるようになり、最盛期らしい姿になるでしょう。
花菜は皆からの人気が高い。蕾、茎、新葉と軟らかく風味があり余すところなく食べられます。


「曲がりネギ」を穫ってみる

2025年02月24日 | 畑:葉菜類

曲がりネギを穫ってみました。
当地方伝統の曲がりネギ風に仕上げてみようと12月に植え替えをしたもの。
当地方で言うところのいわゆる「ヤトイ」の作業を行ってから2ヵ月余り経過しました。


今作の長ネギは出だしは若干遅れたものの概ね想定通りに仕上がりほぼ満足していました。
但し、土寄せは限界に達しており、さらに軟白を完全にするのは難しくなっていました。
そこでより軟白を完全にするため、一部を昨年に引き続き曲がりネギ風にしてみようとした訳です。
本来の曲がりネギは軟白を始める時に「ヤトイ」の作業をするので、時期が遅くあくまでも曲がりネギ風です。
「ヤトイ」とは一度掘り上げてから斜めに寝かせて植え替える作業のことです。
2ヶ月余りの経過を見るために「ヤトイ」の作業時と現在の姿を比較してみました。
これが「ヤトイ」時のもの。手前が寝かせた側になります。


多少の角度のずれがありますが、これが現在。


寝かして植え替えたネギは生長するにつれて葉が垂直に立ち伸びてきます。
角度を変えて、これが「ヤトイ」時のもの。


これが現在。


さらに見る位置を変えてこれが「ヤトイ」時のもの。


これが現在。


ほぼ真横から見ると、これが「ヤトイ」時のもの。


これが現在。但し、見る位置が全く逆で寝かせたのが左側です。


このように生長するにしたがい次第に曲がりが付いてきます。
斜めに植えられているため土寄せは分岐部まで容易にでき軟白がやりやすい。
もっとも時期が遅く冬期間のためあまり伸びず、「ヤトイ」後の土寄せは一度で少ししただけです。
穫ってみました。


抜き取りは非常に簡単。長ネギよりも楽にできます。
本来の曲がりネギより曲がりの程度が少ない。やはり曲がりネギ風です。
「ヤトイ」によって根が切られ、しかも時期が遅いため生長は停滞してしまうようです。
太さも「ヤトイ」時と殆ど変わらず、場合によっては痩せたものもあるかもしれません。
しかし、土は分岐部までしっかり掛かっているため軟白だけは確実に進んでいるはずです。
こちらは長ネギ。


厳寒期でも成り行きに任せ特段の管理はしていません。
さすがに枯れ葉も目立っていますが、こちらは僅かずつながら茎は太っています。軟白は多少進むものの限界があります。
穫った曲がりネギの泥皮を剥いて調製してみます。


本来の曲がりネギから見ると曲がりが少なく綺麗とは言えませんが、それなりの仕上がりです。
軟白は確実で、長さも十分に確保されています。
但し、「ヤトイ」で生長が停止するためボリュームでは長ネギには劣ります。


当地方では曲がりネギは旨いネギとして評価されており、価格も長ネギよりやや高値で取引されることが多い。
「ヤトイ」で植え替えられた後、生長しながら曲がるときにストレスが掛かり、軟らかく甘味も増すと言われています。