里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

干し柿づくり'24~順調にころ柿に仕上がる

2025年01月07日 | 干し柿づくり

干し柿は、干し始めてから間もなく50日と言ったところ。あんぽ柿として仕上がってから20日ほど経過しました。
大玉なので乾燥に時間が掛かると見込んでいましたが、想定より順調に仕上がりました。
いつまでも空気に晒し続けると硬くなるので12月20日頃からこのように紙袋で覆いをしました。


こちらは縦吊りにし早めに覆いをしたもの。


この時点で白粉が見え始めました。


さらに、1週間ほどで室内に取り込みました。白粉を吹かせころ柿に仕上げるためです。
昔は稲わらを敷きそこに「寝かせ」こもや布で覆いをし囲いました。温度や湿度を一定に保ち硬くなるのを抑えて白粉を吹かせるための管理です。
今はその簡易版と言ったところ。
できるだけ空気に晒されないよう段ポールの中に入れ、紙にくるんで保管します。


それなりに量があるので縄付きのまま寄せて入れています。。
10日ほど経ち白粉が大分吹いてきました。


今冬は空気が非常に乾燥しているためか水分の抜けが多い感じがします。
思いのほか皺が深い。これはどういう訳か今年の蜂屋柿は種がごく少ないことにも因るかもしれません。


これが小玉だと硬くなりやすい。今年は大玉なので大丈夫のようです。
概ねころ柿の仕上がりとして良さそうです。


白粉は小玉の方が早くから吹き出しやすい。大玉は全体に白粉が吹くまで時間が掛かります。
大玉を1個取ってみます。


割いてみると、ねっとりしています。


20日前のゼリー状だったあんぽ柿からは大きく変化し、ヨウカン状のころ柿になっています。
このくらいが小生の一番の好みです。これからさらに白粉が全体に回り、姿は変化していきます。
間もなくポリ袋に入れ密閉度を高めて硬くなるのを抑える予定です。
これは12月20日頃にタッパーに入れ冷蔵庫に入れておいた干し柿。


より密閉度が高いので硬くなりにくい。自然に白粉が吹いてきました。
よりあんぽ柿の柔らかさを保ちたいならラップに包んでおけばより確実。
さらに長期に同じ状態を保ちたいなら冷凍。これはやはり12月20日頃に冷凍したもの。


干し柿は水分量が少ないため冷凍してもカチカチにはならず弾力がある状態です。
各々保管の時期と方法を変えれば長く好みの状態が保たれます。
我が家ではいつもこのように茶菓子として出ています。


ころ柿の変化を愉しみながら食するのも良いものです。あんぽ柿だけというのは小生にはいささか物足りない。



干し柿づくり'24~贈答品を作る

2024年12月22日 | 干し柿づくり

干し柿の贈答品を作りました。
今年は殆どが大玉だったので遅れると思いましたが、想定以上に乾燥が順調に進みました。
したがって、贈答も思いのほか早くできることになりました。
本来なら白粉を吹かせたころ柿の方が良いのですが、今はあんぽ柿の段階で早めに贈るようにしています。
近くの親しい方には縄付きをそのまま届けます。
遠方の親戚、知人あてには箱に詰め宅配にします。
昔は数十個贈ることありましたが、今は20個程度で勘弁願っています。
お互い負担にもなってきたので、正直そろそろ止め時かと感じてもいます。
何はともあれ今年は例年のように姿の良いものを選別し、体裁を整えて箱詰めにします。
今年は横吊りにしているものどれを取っても大玉なので作りやすい。


いつまでも空気に晒し続けると硬くなってくるので、紙で覆いを始めました。


まず25個詰めにしてみましたが、若干重なるようになりました。


大玉揃いと言いながらも大小はあるので揃える必要はあります。今年としては標準的なサイズ。
といってもすべて大玉なので、十分ボリューム感はあります。


照明の関係か若干実物とは違う感じに写っています。実際はもう少しオレンジっぽい感じです。
2、3日置いただけで少し感じが変わっています。白粉が薄らと吹いてきました。


少し盛り上がるくらいになってしまいました。潰れるのが少々心配ですが、良しとしましょう。
もう一つ作ります。


こちらは特大玉主体に20個詰めにしました。ボリュームは申し分なし。


これで白粉が吹けばもっと見栄えがするはずです。
すでに白粉が吹き始めているので届いた後に何日か置いてもらえばころ柿風になってくるはずです。


もっとも、当地方では殆どあんぽ柿の状態で出回るので、白粉の回らないのが普通になっています。
我が家でこのくらいのサイズを揃えるのはなかなか大変。来年も期待されると困るのですが。
昔はもう少し白粉が回ってから贈っていました。それだと年末ギリギリになりやすい。
早めに送った方が気が楽です。
助っ人は1週間くらい置いて白粉が回ったところで送るそうです。
特大玉と思われる干し柿を取ってみました。


薄ら白粉が吹いてきたのが分かります。
ボリューム満点で、小生には一度では少々多すぎるくらいです。


今年は安心して贈答できる干し柿になりました。


干し柿づくり'24~大玉あんぽ柿の仕上がり

2024年12月18日 | 干し柿づくり

干し柿は、干し始めてから4週間ほど。あんぽ柿が仕上がりました。


今年は大玉揃いだったため遅れると思いましたが、想定以上に早く出来上がりました。
400g超えの特大玉も多く、昨年のような暖冬ならこのように早くは仕上がらなかったでしょう。
今年は冬らしい寒風吹きすさぶ日もあり昨年とは様相が違います。
大玉の柿を乾燥するのには恵まれた天候だったと言えそうです。
そして、今年は大部分を横吊りにしていることも、安定した乾燥につながっています。
やはり大玉では縦吊りより横吊りの方が満遍なく乾燥が進みます。
乾燥が進むと全体に皺が出てきます。


我が家ではあんぽ柿から白粉を吹かせるころ柿まで進めるので途中で揉みの一手間を加えます。
当地では昔から心切りと言っていますが、種の周りを柔らかくするものです。
そのため、より皺は出やすい。揉まなければ皺はあまり出ません。
すでに甘みは十分で数日前から食べているので、どの時点で完成かは微妙ではあります。


やはり見かけと味の問題です。
まず表面がブヨブヨでは具合が悪い。中身がトロトロで滴るようでも具合が悪い。
そして、甘いだけでなく干し柿らしい旨味が出ないと仕上がったとは言えません。
一方、今年のように想定以上に乾燥が進んだ時は乾燥しすぎにも注意する必要があります。


想定より乾きが進んだため、吊したまま空気に晒し続けると硬くなってしまう恐れがあるのです。
窓などの開閉部はすべて閉め切りました。
また、縦吊りに加え横吊りの一部を縦吊りに変え、このように紙袋で覆いをしました。


紙袋は30キロ入りの米袋を利用するのが便利。3層になっている内側の1枚を外すと綺麗な状態で使えます。
横吊りにしたもの大部分も間もなく直接空気に晒されないよう覆いをします。
色上がりもまずまず。急速に乾燥が進んだため、さしもの大玉もかなり縮みました。


早いものは僅かに白粉の気配が見えます。これであんぽ柿の出来上がりとします。


今年は殆どが大玉なのでボリューム十分の干し柿が味わえそうです。
我が家ではあんぽ柿からさらにころ柿へと進めていきます。
あんぽ柿、ころ柿と言っても別物ではなく連続しているので甚だ主観的なものです。
見た目上、白粉の吹かないものを「あんぽ柿」、白粉が吹いたものを「ころ柿」と区別するのが分りやすいと言うことだけです。
1週間くらい経てば薄らと白粉が見えてくるはずです。
当地方の干し柿は殆どが白粉を出さないあんぽ柿として出荷されます。大産地の福島県伊達地方も同様。
我が家では春先まで干し柿の姿や味の変化を愉しみながら長く食するのが恒例です。
今年としては中間くらいの干し柿を取ってみました。


中身はいわゆるゼリー状。ねっとりとしてトロトロと滴ることはありません。典型的なあんぽ柿になっています。


十分な甘味だけでなく干し柿らしい旨味も乗ってきました。
これから白粉を吹かせてころ柿まで進めますが、白粉や硬さの程度も次第に変化します。
人によって好みは様々です。
少量なら好みの時に冷蔵したり冷凍保存したりすれば、長く好みの状態が保たれます。

干し柿づくり'24~揉みも終え仕上がり順調

2024年12月10日 | 干し柿づくり

干し柿は、硫黄燻蒸し干し始めて今日で20日。


今年の蜂屋柿は我が家では10年に一度あるかどうかと言う大玉揃い。
400g超えの特大玉も多く、上手に干せれば中身も見栄えも上々のはずです。
しかし、大玉になるほど乾燥に時間が掛かり失敗するリスクも大きい。
今年は大部分を横吊りにしています。


今は生産者の多くが横吊り方式で主流になっています。
風の通りが良く満遍なく乾きやすいので、特に大玉では安心感があります。


気温が高くなるのが一番怖い。一時20℃近くになった日もありましたが、12月になり気温が下がり冬らしい気候に。
オレンジ色の良い色合いになってきました。


乾いた寒風の吹く日もあり、想定した以上に乾燥が進み仕上がってきました。


大玉のため遅れると思っていたので少々嬉しい誤算と言ったところ。
ここまで無事乗り切れればほぼ大丈夫と思いますが、湿気が戻ることもあり安心は出来ません。
想定外だったのは外部からの侵入者があったこと。
窓や入り口扉などは全て開放していましたが、10日目頃に一番下に吊していた柿10個ほどがやられました。
干し柿では初めての経験です。そのやり口からハクビシンかアライグマの仕業と思われます。
直ちに開放部をネットで覆いました。風通しにはマイナスながらやむを得ません。


思いのほか乾燥が進んだとはいえ湿気の残っているものもあるのでもう少しこの状態を保ちます。
硫黄燻蒸をしているものの温度湿度がぶり返すとまだカビの心配はあります。
一方、何時までも空気に晒し続けると固くなってきます。大玉の柿は乾燥の加減が難しい。
管理としては、干し始めて10日から2週間目くらいのところで干し柿の腹を揉む作業を行っています。


当地では「芯切り」と言う昔ながらのやり方。全て助っ人がやってくれました。
蜂屋柿には種があり、種の周りが芯状になるため揉んで軟らかくするものです。
そして、揉むことで干し柿に刺激が加えられるため自然に白粉が吹き出てきます。
しかし、いま当地方の生産者はこのような作業はしないようです。
白粉を吹かせない「あんぽ柿」として出荷するため刺激を与えるのはよくないのでしょう。
我が家では「あんぽ柿」から白粉を吹かせた「ころ柿」まで進めて愉しみます。
まだ従来からの縦吊り方式が少しあります。


昨年、一昨年は中玉、小玉を縦吊りにしていますが、今年はこれも殆ど大玉です。
こちらもいい色合いになっています。
縦吊りにすると、縄に当たっている部分が次第に食い込みます。今年は大玉だけになおさらです。
そのため縦吊りの場合は揉み以外に「玉回し」の作業が数回必要になります。


「玉回し」は干し柿を少し回転させ縄をずらし食い込みを和らげるのです。
手前の干し柿を玉回ししました。


横吊りの場合は縄に当たらないので玉回しは必要ありません。
すでに渋は抜け、甘味も増し十分に食べられます。
試食用に取ってみます。


しかし、まだ中身はトロトロ状の熟し柿から脱した状態で干し柿としては未完成。


大玉が多いことを考慮すると「あんぽ柿」が出来上がるまでにはあと1週間から10日必要です。
昨年は小玉が多く500個近くありましたが、今年は1個で小玉2個分ありそうなものが多数。


干し柿づくり'24~硫黄燻蒸(ロッカー式)し吊す(横吊り)

2024年11月21日 | 干し柿づくり

前日皮剥きした柿をひもに通し硫黄燻蒸、そして吊しました。
本来なら1日で終わらせるべき一連の作業ですが、我が家では難しくなり2日がかりで行っています。
今年は助っ人が二人と余裕。大玉揃いで数が少なく効率よく行えます。
昨年から硫黄燻蒸のやり方を変えました。
以前はパイプ枠をブルーシートで覆って密閉し硫黄燻蒸していました。
それを木箱を用いたロッカー式にしました。昔は専用の木箱を用いていたのでそれの小型版と言ったところ。
但し、木箱と言っても古い洋服ダンスを再利用したものです。
たまたま洋服ダンスを処分することにしたため硫黄燻蒸に利用するアイディアが浮かびました。
そのため都合よく柿を吊せるよう加工や調整を加えて塩ビパイプの枠をはめ込みました。


このパイプは出し入れが容易なので綺麗に掃除できます。
昨年、実際にやってみると想定以上にスムーズで密閉度も高く楽に出来ました。
これが前日剥いた柿。


作業場の2階に運びます。


竹を割って手作りした簡単な道具です


これに柿を並べてひもに通します。


今年は軒並み大玉なので出来るだけ横吊りを多くすることにしました。
昔は1本のひもに20個が標準でしたが、重く大変です。今、生産者の多くは10個になっています。
当初、特大玉は重いので12個にするつもりでしたが、横吊りはひもが少し長く効率が悪い。
そこで、今年は標準を14、5個にすることにしました。一部16個もあります。
ひもに通した後は硫黄燻蒸用ロッカーのパイプに吊します。かなり重い。


全部で27連になりました。
昨年は29連で18個や20個もあったのでほぼ500個ありました。
今年は380個くらいですが、重量では昨年以上は間違いありません。
ロッカーに吊し終えたところで硫黄燻蒸です。
これが使用する硫黄粉。目安は容積1㎥当たり15~30g。


我が家では、小さな鍋に炭火をおこし、硫黄粉を燻します。


炭火に硫黄粉を投入したら素早く扉を密閉します。
ブルーシートで覆いをしていた時と比べると、これが非常に楽です。
効果も確実なことが昨年で実証済み。
硫黄燻蒸はカビを防ぎ酸化を抑制して綺麗に仕上げる上で欠かせません。
硫黄燻蒸しないとカビるリスクもさることながら黒い干し柿になり贈答品になりません。
硫黄はすぐに空中に拡散し無害です。
硫黄燻蒸は密閉した中で硫黄粉を燻せばよいわけで、色んなやり方が考えられます。少量ならコンテナでも可能。
密閉時間は30分程度で十分とされますが、ゆっくり休憩し1時間弱放置しました。
密閉していた扉を解放すれば硫黄燻蒸は終了です。


炭火に投入した硫黄粉は完全に燃え切っていたので効果も確実です。
硫黄燻蒸する前は柿の表面が酸化し僅かに黒ずんでいましたが、綺麗になっており漂白効果が確認できます。
次に吊します。
今年は殆どが大玉だったので、仕掛けを施し23連は横吊りにしました。


特大玉を上手く干すのは容易でありません。横吊りの方がひもに当たることなく満遍なく乾燥できます。


今では生産者の多くは横吊りがメインになっています。
全部横吊りは出来ず、4連は縦吊りになりました。


縦吊りはひもの跡が付くので、後に玉回しを何度かする必要があります。
今年のような大玉揃いは我が家では10年に一度あるかと言ったところです。
大玉は上手に干せれば食べ応え十分、見栄えもしますが、乾燥に時間が掛かり失敗するリスクも大きくなります。
気温が大きく関係します。何年か前、連日気温が高くなり当地方一円でカビが発生し問題になったことがありました。
ここにきてようやく気温も下がってきたようです。乾いた寒風が吹いてくれることを期待。


これまで例年500個程度の干し柿を作ってきました。
そろそろ300個くらいに減らそうと思っていたところ、今年は380個ほどになりました。
今年は成りが少ない分軒並み大玉、重量では例年の500個相当以上でしょう。