里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

我が家必須のわら集めを終え秋起こし

2024年11月22日 | 田んぼ

我が家では必須の作業となっているのが稲刈り終了後のわら集めです。
しばらく経ってしまいましたが、秋起こしと併せここに記します。
今年は稲刈り後もしばしば雨が降り乾かず全ての作業が遅れました。
ヒコバエがすっかり伸びてしまいました。


西南暖地ではごく普通に見られる風景ですが、これでは秋起こしにも支障を来します。
わら集めと言っているのはコンバインで刈られ刻まれたわらを収集することです。
かなり遅れたものの10月下旬に田んぼも落ち着いて来たのでようやく取りかかりました。
地味な仕事で手間暇が掛かるためなかなか大変な作業ではあります。
今の時代、わら集めをするならヘイベーラーで一気に行うのがごく普通になっています。
近隣でも手作業でわら集めをするような姿はまず見かけません。
しかし、我が家ではこれをやらないと後々困ります。
集めたわらは堆肥にするだけでなく畑へのすき込み、敷きわら、植え溝など様々に用います。
運搬に使用するのはこの年代物の運搬機。40年にはなるでしょう。


一昨年中古のエンジンに交換し、その後もエンジン不調で修理。その後はまずまずの調子です。
しかし、キャタピラには多数の亀裂があり何時切れてもおかしくない状態。
慎重に扱うしかありません。
今年は大型コンバインのキャタピラ跡があまり酷くないことは幸い。
コンバイン作業の後にはわらがまとまって落とされる所が多数出るので、その周辺を中心に集めます。
稲刈り間もなく助っ人が所々に纏めてくれたので大いに助かります。
今年のように長い間放置すると何度も雨に当たり嵩がぐんと少なくなるのはメリットか。
それでもそのままだとこのように嵩張り、効率が悪い。


そこで荷台に上がりわらを踏み固めます。


何度も荷台に上がり降りして繰り返します。これがなかなかの重労働。筋力運動と思ってやっています。
これを繰り返せばがっちり積み込むことができます。


近くの畑の端に運びます。


ぎっしり3台運びました。


昨年より1台少なくなりましたが、わらがペシャンコになったので実質は昨年と同量はあるようです。
運搬機のスピードが遅く、手作業のため時間が掛かります。飽きもくるのでここで1日目は終了。
2日目は別の田んぼ。


こちらも殆ど同じペースで作業しました。


がっちりと積み込み別の畑の端にも3台。こちらも実質昨年とほぼ同量のわらが集まったと思います。


この外に、助っ人が大きな袋にも集めてくれています。それは種播きの時などに使っています。
我が家の大事な年中行事は今年も無事終了。
わら集めが終われば、次は秋起こしに取りかかります。
コンバインで刈り取られた田んぼでは、刻まれたわらをすき込むのは不可欠の作業です。
これほどにヒコバエが伸びてしまったのはこれまでで一番かもしれません。2番穂が出始めてしまいました。


わらのすき込みは早いのに越したことはないと思います。早い年は10月早々に終えたこともあります。
大型コンバインのキャタピラ跡が酷く雨が降ると水が抜けず年々遅くなってきたような気がします。
作業開始。


ヒコバエが伸び過ぎ、我が家の機械の能力では土の反転が不十分です。


最後に田んぼ周囲の枕地を耕耘。


今年は刈り跡のわだちがそれほどでなく、ロータリーへの泥やわらの絡みつきも少なかったので助かりました。
周囲も作業が遅れています。気温が高いのでどこもヒコバエが伸び放題の田んぼが目立ちます。
ただ耕耘作業はわら集めと違って楽勝。田んぼの中では鼻歌交じりでも出来ます。
他の用事もこなしながらだったので2日がかりにはなりましたが、取り敢えずは終了。
これで田んぼの作業は一区切りつきました。




新米が美味い〜今年のコメは品質良好で収量はほぼ平年並

2024年09月23日 | 田んぼ

今年のコメは高温障害が心配でしたが品質良好でした。
収量はまずまず。ほぼ平年並と言ったところ。
穂の数は確保できたもののはじめの頃は小振りの印象。その後次第によく見えてきました。
そもそも肥料を多くして多収を狙うような作り方はしていないので平年並範疇なら良しです。
今年は秋雨前線の影響もあり多肥で倒伏の酷い田んぼがかなり目立ってきました
過日刈り取りし調製が終わった玄米を作業委託している法人のライスセンターから搬入しました。


搬入したのは、我が家郎党分、知人から依頼されている分、贈答用少々。
出荷する玄米は、法人のライスセンターから直接出荷します。
一番最初に確認するのは品質。高温障害が一番気になります。
昨年は出荷始め頃から1等米比率が下がっているとの報道がありました。
今年はそのような情報は聞いていませんが、自分で確認するまでは安心できません。
高温障害を受けると米粒が透き通らない白未熟米や充実度不足の玄米が多くなります。
出荷する玄米の等級格付けは水分含量と見かけの整粒で決定されます。
1等米は水分含量15%以下、整粒歩合70%以上です。
玄米をカルトン皿に取って確認。


一目見れば分ります。全く問題ありません。
整粒は昨年よりは若干落ちる印象ながら1等米は間違いないでしょう。


昨年よりも日照の少ないことが懸念材料でしたが、杞憂に終わったようです。
但し、出荷の等級は見かけだけで判定されるので、味の善し悪しとは別です。
我が家のコメを信頼し欲してくれる方がいるので当然味は気になります。
我が家の田んぼは強粘土質でミネラル豊富、里山の気候は昼夜の気温差が大きい。
よって、美味いコメという自負はあります。
しかし、まずは実際に食してみるのが確実。恒例になっています。
少しだけ焚いてみます。
古い釜ですが、やはり新米の炊き上がる時の香りは違います。


例年のごとく仏壇と神棚にお供えします。
茶碗によそってみました。


新米らしい光沢と香り、甘味や旨味も感じられます。強い粘りとしっかりとした歯ごたえが新米の特徴。
玄米を早速配るところもありますし、保管して置き必要な都度取りに来られる方もいます。
贈答用もいくつか作ります。
普通は10㎏袋。そして5㎏袋と今年は味見用に3kgも作ってみました。


宅配で贈るものは箱入りにします。


ほかに30㎏玄米袋をそのまま贈答にするものも若干あります。
今年は消費の末端で不足気味になり少々価格が上がっているので多少は有難味があるかもしれません。
しかし、昔は出荷時の玄米1俵2万円以上がごくあたりまえだったのです。
末端に届くまでには当然流通経費が加算されます。
小生は1食白米75g(1/2合)ですが、100g(2/3合)食べる人でも10㎏の白米なら100食分です。
適正価格はどのくらいと考える方が多いのか知りたいところです。




今年の稲刈りも無事終了

2024年09月18日 | 田んぼ

今年の稲刈りは思ったより遅れましたが、無事終わりました。
今年の我が家のイネは約半数の穂が出た出穂期が7月28日、9割の穂が出た穂揃い期が7月30日。
昨年と全く同じ。さらに、その後の気温経過も昨年と同様で異常な高温。
成熟が2週間は早まり、9月5日頃にはほぼ成熟期に達しました。これもまた昨年並です。
9月に入って珍しく好天が続いたため当地でも1週目の週末から稲刈りが本格化。
我が家のイネも一段と黄ばみ、すぐにも刈り取れる状態でした。


小振りに見えていた稲穂もさらに垂れ、悪くなさそうに見えてきました。


しかし、高温障害への懸念は穫ってみるまで拭いきれません。
秋雨前線の影響で雨の回数も多くなり、大分なびいてきた所があります。
酷い倒伏には至っておらず、刈り取りに支障を来すほどにはなっていません。


それでも、できるだけ早く刈りたいというのが正直なところではありました。


かつては全て自前でやっていたので気ままにできましたが、今は受け身。
作付も減り、今の我が家の規模では装備の更新は不可能。刈り取り調製の作業は委託しています。
頼んでいるのは懇意にしている農業法人。
当法人は当地方では最も規模の大きい法人の一つでライスセンターは大小6機の乾燥機を装備しています。


前代表が小生と同年代で現代表は息子さん。ご家族とは昔からのお付き合いです。
かえって遠慮する面もあります。
この時期忙しいのがよく分っているので、我が家のは何時でも都合の良い時でよいと話しています。
予定を連休に合わせてくれていたようなのですが、運悪く天候がよくありませんでした。
昨日は好天、前日にかなり降ったためスタートは遅れましたが、ようやく刈り取りしてもらえました。
コンバインのオペレーターは当法人の前代表。未だバリバリの現役でほぼ100%一人で刈っています。
そのテクニックは惚れ惚れするほどです。
今月に入り前半は気温の高い好天日が多く田んぼは乾きました。
コンバインは昨年更新したばかり、冷暖房完備のキャビン付き高速6条刈り。


メーカーの最上級クラス、価格は高級外車以上で聞いてびっくりするほど高い。
スピードは凄まじく早く、運搬や乾燥機への張り込みの方が追いつかないほど。


毎年、小生も法人の軽トラックで運搬の手伝いをします。
我が家の田んぼなどたちまち終了です。
休憩するのも惜しい様子ですが、何時も我が家で昼食をとって貰います。
刈り取りが終わったばかりの田んぼ。


例年よりはわだちが軽微。
大型機械の上にタンクには10a分以上の籾が入ったまま動き回るので、何時もはキャタピラーのわだちが酷い。
この程度なら可愛いもの。


田んぼにイネがなくなると雰囲気が変わります。これが寂寥感というものでしょう。


結局、刈り取り時期は例年より少々早い程度となりましたが、何はともあれ一安心。


イネはほぼ成熟し雑草の刈り払いを急ぐ(米不足考~追記)

2024年09月06日 | 田んぼ

今年の我が家のイネは約半数の穂が出た出穂期が7月28日、9割の穂が出た穂揃い期が7月30日。
昨年と全く同じで過去最速でした。
間もなく40日が経過します。一段と黄ばんできました。
未だ暑いとは言え、さすがに朝方は気温が下がるので露が上がっています。


通常、イネは出穂後45日、平均気温の積算で1,000℃が成熟の目安と言われています。
出穂後、お盆頃から天候が不安定になり日照時間は多くありません。
しかし、気温だけは高い。これが一番不安なところです。
今年は積算温度で計算すると38日程度で目安の1,000℃に達します。
日照の良くないことを勘案しなければなりませんが、数字上はすでに成熟期に達しています。


勿論、実際には圃場全体の穂を目で確認し成熟期を見極めます。
田んぼの水はすっかり落としていますが、必要がなくなってから雨が多い。
この田んぼは乾きが悪い。


この辺りが一番早く穂が出始まったところ。


殆どの籾が色付きました。
この辺りは青味が濃かったところ。少しなびいてきました。


これでも8割以上の籾は色付いたようです。
ただ、水口付近や日陰になるところはまだ少々青い。
当地の例年の稲刈りは秋分の日頃です。今年は2週間くらい進んでいると思われます。
この田んぼは中干しがきついくらいになりました、


中干しが効いたので少々雨が降っても乾きは早い。


今必要な作業は雑草の刈り払いです。
田んぼ周辺の畦の刈り払いが最優先。大きな土手や道路の法面は後回しです。
日中は出来るだけ避け朝夕。何れ汗だくになるので小雨程度なら良しです。
畦の雑草はかなり伸びてしまいました。


特に伸びているのはチガヤ。
刈り払いました。困っているのは田んぼの中まで蔓延ってきたイボクサです。


側溝の側2、30㎝は除草剤を使っています。これで作業時間はぐんと短縮できます。


刈り払いました。ここは幹線道路の法面まで終わりました。


田んぼ周辺はほぼ一段落。後はぼちぼちとやります。
刈り払いをしていると今目立つのはギボウシの花。正確にはコバギボウシか。


肝腎の作柄はどうなのか。
穂が小振りという印象は変わりません。穂数は確保されているので相殺か。
不安はやはり高温障害。白未熟米など品質低下はあるのかです。
経験上、過去に白未熟米が多発した年は日照不足でした。
昨年は日照が非常に多く回避できました。
今年は昨年よりはかなり少ない。前半良かったものの後半悪く相当微妙。
穫ってみなければ分らないというのが正直なところです。
当地方も今週末から本格的な刈り取りが始まるでしょう。
しかし、刈り取り期を迎える頃になると台風に秋雨前線、天候が悪くなるのは例年のこと。
昔は刈り取り調製も全て自前だったので自由がききました。今の我が家の規模で装備の更新は到底無理というもの。
今は刈り取り調製作業を委託しているので受け身です。
ところで、過日「米不足考」として以下を投稿しました。
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(再掲)
ところで、このところコメ不足が話題になっています。
実際にスーパーの棚などから米が消えている現象が盛んに報じられています。
さすがに当地方のスーパーではそのようなことはないようですが。
小生は、「あるところにはある」という状況だと思っています。
平成5年のような大凶作では需要量に対して供給量が著しく少ないため不足するのは当然です。
しかし、今回は例年に比べ在庫量が相対的に少ないとはいえ需要量に対して供給量は十分確保されています。
しかし、在庫の余裕が少なくなってくると、JAや卸会社などの流通業者は大口のお得意様最優先で供給することになります。
結果的に最も小口の個人消費者への棚への供給は少なくなってきます。
そして、この末端の消費者は噂を聞くと一斉に同じ行動を取るため棚に物がなくなっていくのです。
たまたま今回は南海トラフ地震や気象災害への備えなどが奨められていたのでなおさらでした。
また、どうしても古米を必要とする需要者もいます。寿司には新米ならササニシキなど粘りの少ない米が適しますが、今の品種は粘りの強い品種が殆どです。
そうすると粘りが低下してくる古米の方が使い勝手が良く、早めに手当てしていたことでしょう。
業務で必要な需要者は長い期間の中で契約するなどし確保しているためあまり騒ぎにはなっていないはずです。
つまりトータルの供給量は十分確保されていると考えられます。
但し、農水省が発表している令和5年産の米作況指数100と実際の流通量に乖離があるのではないかと言う疑問は捨てきれません。
作況指数通りの出回りなら今回のような事態は考えられないからです。
国の米作況は実際に流通する玄米の粒径とは異なります。また、品質は加味されません。
したがって、実際に流通する米は国の発表する量より少なく、製品歩留まりも低下する可能性が高いのです。
さて、米の価格はどうなっているのでしょう。
消費者から見れば安いほどよいと考えるのは至極当然ではあります。
しかし、生産者の立場からすると昔に比べすでに十分過ぎるほど安くなっているという感覚です。
昭和の食管法の時代と異なり現在は殆どフリーに近い形で生産され、需要と供給のバランスの上で価格が決定します。
ここ2、3年は比較的ましな価格ですが、数年前にはかつての玄米価格の半値にまで値下がりしました。
ですから心ある生産者は自ら販売まで手がけ利益を確保するような努力をしています。
仮に店頭で売られている白米が従来10㎏3,500円(税抜き)のものが現在4,500円になっているとしたら、精米率90%で玄米に換算すると1俵60㎏当たり約19,000円が24,000円ですからかなり高いものです。
もっともこれは末端価格であって生産者価格はその70%程度でしょう。
では米をどのくらい消費しているでしょうか。現在は一人当たり年間約50㎏と言われています。
小生の場合、朝食はほぼ100%、3食でも米食が90%を超えているはずです。
若かりし頃は1合飯も食べた時代もありましたが、今は1食に白米で5勺(0.5合)、75gです。
これを我が家の玄米価格で換算すると1食20円です。
仮に年間900食食べたとして約67㎏。これは外食も含めたものなので自家では1俵と言ったところでしょう。
小生は米摂取率では最上位クラスと思うので一般家庭ではこの半量~2/3くらいのものではないでしょうか。1合飯を食べる人でも自家では60㎏くらいのものなのです。
1食あたり白米換算でも30~40円くらいのもののはずです。
特別の高価格米を食する方は別とし、おそらく自家で1ヵ月に2,000円分の白米を消費する人はそういないような気がします。
ただ家族単位では数や構成の違いで印象が変わるかもしれません。
小生はほぼ毎日晩酌をしますが、あっさりと白米代の数倍から十倍になってしまいます。
外で飲めば白米1ヵ月分程度で済むなら可愛いものです。
主食に費やす経費はそんなものなのです。
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(追記)
以上のことは何も変わっていません。
状況に少し変化があったことについて少々追記します。
備蓄米についてです。
大阪府知事が備蓄米の放出について要望し、農水省は慎重な対応という結果です。
そもそも備蓄米は不作などによって需給バランスが崩れたときのためのものです。
昨年の全国の作況指数100からすると供給は十分確保されていると考えなければなりません。
今回は客観的に見て理屈上は農水省に分がありそうです。
まず、前記したとおり「あるところにはある」と言う状況だからです。
業務用は当然として、末端の消費者間でも余分なくらい保有している人が相当数いるはずです。
一方、出来秋が近づくと新米がよいと古米の保有はギリギリに絞りカラになって慌てる人も多いかもしれません。
大都市ではそれが非常に偏ってしまうのでしょう。
とりわけ大阪のオバチャンの行動力は広く知られていますから。
大阪府知事も何もしないわけにはいかないのでしょう。人気を挽回するにはパフォーマンスが必要ですから。
しかし、タイミングがあまりに遅すぎます。これが7月中くらいなら評価される場面もあったかもしれません。
仮に備蓄米を放出するとして、手続きを踏み製品になる頃には新米が沢山並んでしまいます。
もっとも実際には備蓄米は別の用途に回り、そのまま店頭に並ぶようなことはないでしょうが。
近々新米が出てくれば余裕があるくらい持っている人は必要ないので必ず落ち着きます。
但し、それには今年度産米が十分供給されることが前提になります。
農水省は8月30日に8月15日現在の作柄概況を発表しました。それによると青森県が作況指数106~109の良、11道府県が102~105の「やや良」、31都府県が99~101の「平年並」、3県が95~98の「やや不良」となっています。
ちなみに当県を含む他の東北5県は「やや良」となっています。
全体の作柄は示していませんが、「平年並」以上と言うことになりそうです。
すでに備蓄米が話題になった時には、農水省ではこの辺の情報がほぼ纏まっていたものと推察されます。
仮に備蓄米を放出した挙げ句、豊作だったりすれば値崩れは確実ですから。
次回の作況指数の発表は9月25日現在で、ほぼ確定に近い数字になるはずです。
前記したとおり、作況指数は品質は加味されず、実際の出荷基準とは異なる粒径を用いて算出されます。
それが生産者の実感と異なったり、流通量との乖離が生じたりして議論になるところなのです。



イネの登熟は一段と進み水は全て落とす(コメ不足考)

2024年08月26日 | 田んぼ

イネの穂は一段と色付いてきました。


田んぼは全て水を落としました。
今年のイネは昨年と同様、7月中に穂が出揃いました。
すでにその時点で例年より数日から1週間早まっています。
その後、お盆中から天候は不安定でしばしば強い雷雨がありました。
水口の入水は止めていたもののトータルすると100ミリを超える雨が降ったため水が結構残っていました。
今度は排水口を開放したので、もう水は見えません。


相変わらず気温は高く、穂もさらに垂れてきました。
色付きも進み、日中晴天時に見るとより色付いて見えます。


穂が出揃って約25日、その姿からはすでに30日は経過したように見えます。
もう水を溜める必要はなく、土に残っている水分だけで十分です。
この田んぼも一段と色付いてきました。


この辺りが一番早く穂が出始まったところ。


8割方色付いたような穂も散見されます。
この辺りは青味が濃かったところ。


この1週間くらいでぐんと進みました。
それにしてもこの暑さは何時まで続くのか。
例年ならこの時期になれば夏日になることは少なく。朝方の最低気温は20℃を下回ってきます。
今年は依然として夏日で熱帯夜に近い夜温です。
さすがに里山の当地は朝方には冷気を感じますが、やはり昼夜ともに高い。
どうしても高温障害の懸念が拭いきれません。
昨年いわゆる白未熟米の発生を免れたのは日照が非常に多かったためと考えています。
今年は昨年ほどには日照条件が良くないのです。
この田んぼも大分黄金色になってきました。


この田んぼは中干しが効き過ぎたくらいになったので、先週は少し水を溜めておきました。


今は全て排水され、中干し時の亀裂が未だ確認できます。


畦の草もかなり伸びてきたので、間もなく刈り払いの作業を始めないといけません。


どうも今年の穂は小振りのような気がします。
穂が大きい時は畦に着くくらいまで垂れてくるものです。
いずれにしても、積算温度から推定すると成熟まであと2週間程度でしょう。
例年より10日以上進んでいる計算です。
もっとも9月になると秋雨前線や台風の襲来で、結局のところ刈り取りは毎年あまり変わらないことが多い。

ところで、このところコメ不足が話題になっています。
実際にスーパーの棚などから米が消えている現象が盛んに報じられています。
さすがに当地方のスーパーではそのようなことはないようですが。
小生は、「あるところにはある」という状況だと思っています。
平成5年のような大凶作では需要量に対して供給量が著しく少ないため不足するのは当然です。
しかし、今回は例年に比べ在庫量が相対的に少ないとはいえ需要量に対して供給量は十分確保されています。
しかし、在庫の余裕が少なくなってくると、JAや卸会社などの流通業者は大口のお得意様最優先で供給することになります。
結果的に最も小口の個人消費者への棚への供給は少なくなってきます。
そして、この末端の消費者は噂を聞くと一斉に同じ行動を取るため棚に物がなくなっていくのです。
たまたま今回は南海トラフ地震や気象災害への備えなどが奨められていたのでなおさらでした。
また、どうしても古米を必要とする需要者もいます。寿司には新米ならササニシキなど粘りの少ない米が適しますが、今の品種は粘りの強い品種が殆どです。
そうすると粘りが低下してくる古米の方が使い勝手が良く、早めに手当てしていたことでしょう。
業務で必要な需要者は長い期間の中で契約するなどし確保しているためあまり騒ぎにはなっていないはずです。
つまりトータルの供給量は十分確保されていると考えられます。
但し、農水省が発表している令和5年産の米作況指数100と実際の流通量に乖離があるのではないかと言う疑問は捨てきれません。
作況指数通りの出回りなら今回のような事態は考えられないからです。
国の米作況は実際に流通する玄米の粒径とは異なります。また、品質は加味されません。
したがって、実際に流通する米は国の発表する量より少なく、製品歩留まりも低下する可能性が高いのです。
さて、米の価格はどうなっているのでしょう。
消費者から見れば安いほどよいと考えるのは至極当然ではあります。
しかし、生産者の立場からすると昔に比べすでに十分過ぎるほど安くなっているという感覚です。
昭和の食管法の時代と異なり現在は殆どフリーに近い形で生産され、需要と供給のバランスの上で価格が決定します。
ここ2、3年は比較的ましな価格ですが、数年前にはかつての玄米価格の半値にまで値下がりしました。
ですから心ある生産者は自ら販売まで手がけ利益を確保するような努力をしています。
仮に店頭で売られている白米が従来10㎏3,500円(税抜き)のものが現在4,500円になっているとしたら、精米率90%で玄米に換算すると1俵60㎏当たり約19,000円が24,000円ですからかなり高いものです。
もっともこれは末端価格であって生産者価格はその70%程度でしょう。
では米をどのくらい消費しているでしょうか。現在は一人当たり年間約50㎏と言われています。
小生の場合、朝食はほぼ100%、3食でも米食が90%を超えているはずです。
若かりし頃は1合飯も食べた時代もありましたが、今は1食に白米で5勺(0.5合)、75gです。
これを我が家の玄米価格で換算すると1食20円です。
仮に年間900食食べたとして約67㎏。これは外食も含めたものなので自家では1俵と言ったところでしょう。
小生は米摂取率では最上位クラスと思うので一般家庭ではこの半量~2/3くらいのものではないでしょうか。1合飯を食べる人でも自家では60㎏くらいのものなのです。
1食あたり白米換算でも30~40円くらいのもののはずです。
特別の高価格米を食する方は別とし、おそらく自家で1ヵ月に2,000円分の白米を消費する人はそういないような気がします。
ただ家族単位では数や構成の違いで印象が変わるかもしれません。
小生はほぼ毎日晩酌をしますが、あっさりと白米代の数倍から十倍になってしまいます。
外で飲めば白米1ヵ月分程度で済むなら可愛いものです。
主食に費やす経費はそんなものなのです。