鰯の頭
小鰯を近所の駐在さんに山ほど貰った。
「もう十分」と言っても、
「こんなに沢山持って帰ったら母ちゃんに怒られる!」と。
数百匹に鰯の頭と腹を次々と落とす。
手開きにし、洗いにし、すだちを添えて一皿。
私は、流しの前で仁王立ちのまま頬張る。
新鮮な洗いは少し甘みがあり、するりと喉を越す。
その後も黙々とビニール袋に頭を溜めていく。
一辺5ミリの三角形の一つ一つに澄んだ目がキラリ。
袋の中は三角キラリで満ちていく。
ふと、金子みすずの、鰯の弔いの詩を思い出す。
じっと、鰯を見る。
やっぱり私には彼らが葬式をする姿は思い浮かばない。
彼女の詩はなかなか良いと思うのだが、鰯に関しては少し考え過ぎではないかと思う。
翌日、少々藻塩を振った鰯を天ぷらにする。
貰い物の茄子やピーマン、じゃが芋もついでに。
たっぷりの大根おろしにすだちを添える。
揚げては食べ、揚げては食べ・・・
そうだ、隣の一人暮らしのバアチャンに持って行こう。
勝手口を出て三歩、バアチャンちの台所の窓を開ける。
あろうことか、バアチャンは風呂上り直後だった!
うーん、なかなかの・・・81歳。
こうして、数百匹の小鰯達は、いっぱいの三角キラリを残して去っていったのだった。
ふーーーー、転記ってつまらんなー
でも、乗りかかった船・・・
あ、自分の船か。
もう、交番は無人になってしまったし、
隣のバアチャンは子供に引き取られてしまった・・・
そして、くちかずこは、その7年の間に、離婚して再婚したのか・・・
ふーん、そーかー・・・
ご精読ありがとうでした。