怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

「ヤクザと憲法」

2021-02-19 06:49:13 | 
東海テレビのドキュメンタリー番組「ヤクザと憲法」は深夜に放送。世間的にはあまり知られていなかったと思うのですが、少なくとも私はまったく知りませんでした。
その後、編集をして映画「やくざと憲法」として上映されたのですが、この種のドキュメンタリー映画では1万人も入ればヒットと言われるのですが、この映画は4万人以上の入館者とか。結構話題作と言うことで私もこの時点で聞いたような気がします。
この本は、番組のプロデューサーとディレクター(映画では監督)がその制作過程を明らかにしたものです。

ディレクターは思い込んだらまっしぐらのタイプみたいで、ヤクザを取り上げた番組を作りたいとなるとめげずに何度でも訴える。プロデューサーは正直おっかなびっくりで、そんなことを番組として取り上げていいものかと煩悶しつつ押し切られていきます。
今は「やくざ」という言葉自体が放送界ではグレー。一般的には「暴力団」に置き換わっている。石原裕次郎主演の「嵐を呼ぶ男」のテーマソングの歌い出しも2010年のCМで舘ひろしがカバーした際には「ヤクザなドラマー」が「やんちゃなドラマー」の変わっていた。こうなると男はつらいよの主題歌の「どうせおいらはヤクザな兄貴」という部分も放送的にはNG?
暴力団対策法ができ、続いて暴力団排除条例が出来て以降、ヤクザは暴力団=反社会勢力となり、暴力団構成員は社会から排除され、銀行で預金口座を開設することはできず当然ローンも組めない。不動産を借りることもホテルに宿泊することもゴルフ場に行くこともできなくなっている。ヤクザが子供の給食費の口座引き落としができなくて困っているなどという話まである。収入源も絶たれ暴力団は構成員を大きく減らしている。もはや絶滅危惧種になりつつある。
実は警察も暴対法以降、徹底的な抑え込みをする中でまともにヤクザと接触することはなくなってしまい、この企画を通すにあたって愛知県警のОBの知人に聞いているのだが、意外なことに「それは是非見たい」という返事。今の警察官はヤクザの実態について知らないし、情報をつかんでいないので捜査にならないとか。
とにかくやってみようとカメラを組事務所に入れ取材を承諾してくれるところがあるのかと探すと、いろいろ伝手を手繰り宮崎学の紹介で大阪西成の措定暴力団「二代目東会」の二次団体「二代目清勇会」を取材することができるように。
カメラマンと一緒に緊張の取材が始まるのですが、写真を見ると二代目東会二代目清勇会の川口秀和会長は精悍で61歳とは思えない。刑務所に22年入っていたとか。ちなみに刑務所に入る前の二十代は不摂生な生活を続けていたので刑務所に入っていなかったら今頃はとっくに死んでいたとか(本人談)
取材に入ってほぼ半年。事務所にカメラを入れ、構成員にインタビューをし、その日常が垣間見れるところまでになってくる。制約はあるが可能な限り警察の家宅捜査とか出所祝い、葬儀とかも取材している。
ついでにと言っては何だが、山口組の顧問弁護士にも取材している。
こうして出来上がった作品ですが、放送するにあたっては細心の注意を払っている。警察からの何らかの反応があるのかと思いきや、中部ローカルで舞台が関西と言うことでノーリアクション。映画が評判になった時点で大阪府警からお話を聞きたいという電話があったそうですが、弁護士を通じてお断りしたらそれまで。
暴力団とかは本当に忌むべき存在で存在はしてほしくないのですが、社会として清く正しくだけで生きていけない一定のはぐれ者をどう対処するればいいのか彼らの人権をどう考えるのかと言うことは考えさせられます。
この本を読んでみると映画を見てみたくなるのですが、今は上映していないか。
もう1冊は内館牧子さんが還暦すぎてから取り組んだ自炊生活について書いたもの。
初めて知ったのですが内館さんは還暦直前に心臓疾患で救急搬送されて手術を2回、4か月ほど入院生活を送っています。50歳を過ぎて身長165センチに対して体重68.5キロ。BMI指数は25超の立派な肥満。これではいかんとダイエットを始めてもリバウンドもあって61キロあたりに。当然と言うか不摂生の代償は大きかったのです。
厳しい食事制限を経て「一本の点滴より一口のスープです」と言われ、「食」に対する認識を一変させ、家にいる限り3食自炊生活に。
それまでは自分で料理はすることなく、忙しさもあって暴飲暴食のほとんど外食生活。
還暦すぎての自炊生活を持続させるために、完璧を求めず楽しく料理して楽しく食べる生活のコツを縷々吐露。
おすすめレシピも載っていたりして、これから一人暮らしもありうると思えば参考になります。
男子も還暦すぎて、否が応でもチューボに入らなくて行けないかもしれませんから。酒の肴だけは何とか自分でやろうとは思うのですけど、それだとすぐに救急搬送…

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