怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

池田清彦「バカの災厄」

2023-05-11 22:31:02 | 
題名は友人の養老先生の大ベストセラー「バカの壁」の二匹目のドジョウを狙ったような感もありますが、池田先生、矢鱈とバカを連発して世の中のおかしなこと、間違っていることと考えていることををぶった切っている。

それだけ日本の現状に苛立ちを感じているんでしょうけど、ちょっと上から目線が気に障ります。
その点は本人も自覚していて気に障るなら読まなくてもいいよと書いていますけど。
ところでこの本でのバカの定義は「概念が孕む同一性は一義に決まる。」と思い込んでいる人です。
何のこっちゃと思うのですが、かみ砕いて言うと「この世界には最終的な審理があり、その認識を共有しないものは許せない」と思っている人だそうです。それなら最初からかみ砕いてよと言いたいのですけど。
ここでいうバカは知的レベルや社会的な一般常識、教養などは一切関係なく、自分の考えていることこそが正しいので、他の人も当然同じことを考えていなければおかしいと思い込む人々のことを言っている。自分が考えている「正義」というのは絶対に正しいので、他の人も同じような正義を信じていなけれないけないと思い込んでいる。
自分が絶対に正しいと思っているので多様性を認めることが出来ない。世の中にはいろいろな人がいると言うことが許せない。当然ながらコミュニケーションが成り立たないので往々にして暴力的な対応になる。
しかし概念というものは本来非常に恣意的でいい加減なもので、おおざっぱな基準で無理やり同じとみなしている。世の中には絶対的に正しいことなんかないというのは世の中の現実を見てみると当たり前のこと。複雑な問題を二元論でとらえ、断罪する。世の中いろいろな人がいて複雑なな問題が錯綜していることが分からないからバカという。
自分が絶対に正しいと思っているから、正しいと思っていることをするとドーパミンが出て快感を感じる。なんとかモンスタークレイマーの類とかネットの世界で跋扈するネトウヨとかマスク警察とか気に入らない運転手を懲らしめようと無茶苦茶な運転をするあおり運転とかもっと極端には障碍者無差別殺人とかきりがない。
しかし卑怯なことに彼らの攻撃対象は自分より弱いやつ!ネットの世界では匿名性に隠れて自分は安全地帯にいて攻撃する。あおり運転でもダンプカーに仕掛ける奴は聞かない。無差別殺人については開いては動くのもままならぬ障碍者。誰でもいいから人を殺したかったと小学校を襲った奴も大学の運動部にはには行かないし、暴力団の事務所には寄り付きもしないだろう。マスク警察にしても反論して攻撃しそうな人には黙っているのでは。
攻撃されたらどうすればいいかというと謝らずに煙に巻く。モンスターの類はそれでゃ快感がえられないので自尊心も満たされず面白くないので立ち去るでしょうと言うのですけど、そこまでには結構自己抑制が必要かも。
ではどうしてこんなにバカが跋扈するようになったのか?
池田先生曰く教育が悪い!確かに日本の特に初等教育は「みんな一緒」「みんな平等」と叩き込まれ自分の頭では何も考えられない「羊の群れ」を作ろうとしている。状況に応じてとか臨機応変よりも規則を墨守することを優先している。と言ってもその規則には法的根拠も科学的根拠もなく合理性もないものが多い。誰がどうして決めたかもわからないままの「バカなルール」が何となく続いていることのなんと多いことか。
結果として自分の頭で考えない黙って規則に従うことを刷り込まれた「従順な大人」が出来上がる。多様性を欠いた教育は多様性を認めることが出来ないバカを量産する。
そうは言っても日本人の同調圧力の強さは、中野信子さんによれば徳川時代の長き太平の世が続いた結果だそうで、戦後教育の画一性というのは、江戸時代から連綿と続いた同調圧力の強さかかも。それが敗戦によって一度リセットされたのが戦後の高度成長の源だったかもしれないけど、江戸時代から続く日本人の同調圧力の強さは簡単には立ちきれずに基底で復活してきたかも、
多様性を認めず型破りの人が出てこないところにはイノベーションは生まれ。ノーベル賞も過去の遺産で今受賞してるけど今後はない先細りになるだろうと言われている。
どうやればこの状況を変えることが出来るのか池田先生も具体的な処方箋はイマイチ実現可能性はどうか。具体的には読んでください。
この日本、このままでは子や孫の世代にはどうなる…


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