怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

小川洋子「口笛の上手な白雪姫」

2024-11-01 17:06:45 | 
私の好きな作家のひとり小川洋子さんの短編集です。図書館で見つけてまだ読んでいないので早速借りてきました。

一読して今までの小川さんの小説とはちょと趣が違うような。
短編小説なのですが、伏線と言うか含意がいろいろあって、読んでからあれどうだったのかともう一度読み直すことが何回もある様な作品ばかり。決して小難しいものではないのですが、寝転がってテレビを見ながらではなくちゃんと集中して読まなければいけない本です。
表題の口笛の上手な白雪姫の主人公は公衆浴場の隅で入浴中の母親のために赤ちゃんの面倒を見ている小母さん。浴場裏の庭の奥の小屋にいつの間にか住んでいる。その小屋は白雪姫が小人たちと一緒に暮らした家そのもの。小母さんは母親にとってはなくてはならない存在で、誰にも聞こえない小さな口笛を吹いて赤ちゃんをあやしている。どうやって生活しているのかどういう人生を送ってきたのか全く分からない不思議な存在なのだが、誰も気にも留めない存在。小母さんを通して赤ちゃんの無垢でかわいらしさを改めて気づかされる。
亡き王女のための詩集では子どもが出来たと聞くと必ず出産祝いのよだれかけを贈る主人公。注文するのは必ず「りこさんの店」。分厚くて重い刺繡図案集からデザインを選ぶのだが、選ぶのは「ツルボラン」冥界の地面に咲いている花。りこさんとは子どもの時に服を仕立ててもらいウインドウの一番目立つ場所に飾ってもらって以来の50年近い付き合いなのだが、最後まで読んで、あれはとまた戻って読み直してしまいました。
どの作品も含蓄が深く人生の来し方在り様をちょっと考えさせられます。

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