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食文化の転換か「培養肉」の世界

2019-07-03 10:36:04 | グルメ
今後地球は人口100億人時代を迎えるといわれ、もうこのままでは肉食を続けることはできないと予測されています。

そこで新たな技術の開発が進んでいるのが、「培養肉」という技術です。世界の人口が70億人を超え、中国など新興国で食肉の需要が増加するなか、懸念さているのがタンパク質の危機です。

近い将来肉の需要に生産が追い付かなくなる恐れがあります。また家畜を出荷するまでには大量の餌が必要で、現在でも世界の穀物生産の約半分が家畜用飼料となっています。新たに農地や牧場を拡大することは、生物多様性の保全や温暖化防止という視点からも難しくなっています。

そこで新たな選択肢として脚光を浴びているのが、家畜の細胞を培養し食肉にするという「培養肉」です。

今年3月東京大学生産技術研究所と食品会社と共同で、牛の筋細胞を培養しサイコロステーキ状の筋組織を作ることに成功しました。培養肉は世界各国で研究されていますが、そのほとんどはハンバーガー用などのミンチ肉状のものです。

ステーキ肉のような構造を持たせるには、筋線維が束ねられた構造を再現する必要があります。研究チームは、細長いゼリー状のコラーゲンの中で培養した牛の筋細胞同士を融合させ、それを重ねていくことで、筋組織特有の構造を作ることができました。

培養肉を大きく育てるには、筋細胞に栄養を届ける仕組み、つまり血管のようなものを作る必要もあり、味という点では脂肪細胞も筋細胞も一緒に培養する必要があります。

こういった課題には、再生医療の技術を応用するようです。肉の培養で課題とされてきたのがコストの高さです。2013年にオランダのチームが開発した、世界初の培養肉ハンバーガーは研究費込みで1個約3500万円とされています。

その後各国の研究でコストダウンが追及されましたが、100gあたり数百万円かかっていました。こうした中日本では、驚異的なコストダウンとハードルの低さを実現しつつあります。

培養に多額のコストがかかったのは、培養液と成長因子(ホルモン)が高かったためのようです。そこで培養液を再生医療用のものから、スポーツドリンクやサプリメントなど市販のものに変え、成長因子に関しては還流培養という、人体と同じように細胞にホルモンを作らせてそれを筋組織に与えるという方法でコストダウンを実現しています。

こうした技法によりすでに100gを3万円以下で培養できるようになりました。これでもまだまだ高価な肉となっていますが、大量生産などによって通常の肉に近くなるのかもしれません。

大きな課題としてこの培養肉をいかに消費者に受け入れてもらうかですが、遺伝子組み換え食物での失敗の経験をうまく活かして、良い啓蒙活動をしてほしいものです。


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