ごっとさんのブログ

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   薬と猫と時々時事

宇宙の始まりの元素はわずか数種類

2022-01-16 10:29:18 | 化学
私は宇宙にほとんど興味がありません。もちろん子供のころは宇宙の神秘に憧れ、宇宙に出れば地球にはない多くのことが得られものと期待していました。

ところがいろいろ学ぶにつれ、物質の基本である元素が現在知られているもの以外は、どんな宇宙に行っても存在しないことが分かり、宇宙への興味が薄れてきたのです。

つまりどんなに宇宙旅行が進歩しても、宇宙での新しい発見はないということになります。もうひとつが生命の起源です。たぶん科学が発達してきた何百年も前から、生命の発生については研究されてきたはずです。

ところがこれだけ科学分野が発展した現在でも、生命の起源の仮説すら満足なものは存在していません。

原始の地球では生命の元となる有機化合物が非常に多くの種類で、しかも高濃度に存在していたはずですが、何故そんな状況になったかすら分かっておらず、宇宙にはそんな状態の星があるのかは全く分かっていません。

従って私は、地球以外に生命は存在していないと思っており、これも宇宙に興味が無くなった理由です。

さて生物は主に6種類の元素からできており、炭素、水素、酸素、窒素、リン、硫黄というなじみのあるものです。この生命の原料であるこれらの元素はどこから来たのかは、既に答えが出ており、現代宇宙論の偉大な成功物語とされています。

原子は陽子と中性子からなる核とその周りに電子がまわっている構造を取り、中性子が陽子と電子に分かれることで生成します。宇宙の始まりであるビッグバンでは、この中性子からできた塊となっているようです。

この状態は想像すらできませんが、短時間で核融合が進み陽子と中性子が結びつき、最初の原子が作られます。この時作られるものは約75%が水素(陽子1)、約25%がヘリウム(陽子2、中性子2)、それと微量の重水素(陽子1、中性子1)、リチウム(陽子3、中性子4)などとなっています。

これはビッグバンから1分半ほどでできるようですが、その後100万年かけてヘリウムから炭素と酸素ができ、その後若干加速されて硫黄やケイ素が合成され、最終的に鉄までに至るとされています。

この鉄原子(陽子26,中性子30)は非常に安定なため、核融合反応はここで一時停止するようです。その後恒星の質量が充分に大きければ、物質は猛烈な勢いで中心部に向かって落下します。

この過程で鉄より重い銅や金、銀ができ、最終的に現在知られているほとんどの元素ができてくるようです。ここまで分かっていてもここからなぜ有機化合物が作られるのかは、全く別の科学のようです。

宇宙開発が進んだといっても、まだ太陽系内がやっとですのでこれ以上の解明は私が生きている間では無理なような気がします。

老化マウスの認知機能を改善

2022-01-15 10:25:14 | 健康・医療
近年老化の研究は非常に活発になっており、老化細胞を除去する薬剤や老化細胞をなくすワクチンまで報告されています。

京都大学の研究グループが、老化と共に増殖力が低下して認知機能の衰えにつながる神経幹細胞を遺伝子操作で若返らせることにマウスの実験で成功したと発表しました。

神経幹細胞は脳にあり神経細胞(ニューロン)の元になり、胎児の時は活発に増殖してニューロンを増やしますが、成長と共に増殖能力やニューロン産生能力は低下します。大人の神経幹細胞でもある程度増えてニューロンを産生し、ニューロンは記憶や学習に重要な役割を果たします。

老化と共に神経幹細胞は増殖能力やニューロン産生能力を失い、その結果認知機能が低下するようです。研究グループは、胎児のマウスや老化マウスで多く発現する遺伝子をそれぞれ人工的に発現させたり、発現を抑えたりするなどして、胎児と老化した脳でそれぞれ働く遺伝子を詳しく調べました。

その結果胎児マウスでよく発現している遺伝子の転写因子80種類のうち、神経幹細胞を最も活性化する遺伝子の転写因子を突き止めました。また老化マウスの神経幹細胞で多く発現している遺伝子の特定の転写因子などを抑えると、神経幹細胞が活性化することも判明しました。

研究グループはこれらの研究成果をもとに、胎児マウスの特定の遺伝子をたくさん働かせ、一方老化マウスの特定の遺伝子を抑える手法を組み合わせ、神経幹細胞を活性化させる方法を開発しました。この方法を「iPaD」と名付け、老化マウスの脳をiPaDで遺伝子操作しました。

この方法が具体的にどんな操作なのかの詳細は分かりませんが、遺伝子操作の一般的な手法のようです。この操作をすると、老化して増殖能力をほぼ失っていた神経幹細胞を効率よく活性化し、若返らせることに成功しました。

さらに若返った神経幹細胞が3か月以上増え続けることを確認しました。このように遺伝子操作したマウスは老化していても学習、記憶能力も改善したことを確かめられたようです。

研究グループは、今回のマウスで確認したiPaDの方法が霊長類にも適用できるかを確かめる研究を続けるとしています。神経幹細胞を活性化させて新たな神経細胞を作り出す技術を応用し、アルツハイマー病などの脳疾患治療の開発につなげたいとしています。

私はこういった遺伝子操作がどんな手法で行われるのかよく分かりませんので、例えば脳を切開する必要があるのか、遺伝子操作した細胞を入れればよいのかなど理解できていません。

こういった神経幹細胞が活性化できれば単純な老化防止というより、いろいろな神経疾患の治療につながる成果かもしれません。

病院に行かない方が健康になるが新常識?

2022-01-14 10:25:18 | 健康・医療
このブログでは私の持論である高齢者の過剰医療、特に必要性の低い医薬品投与についてたびたび取り上げています。

アメリカの現状について「病院に行かない方が健康になる」という、私の持論のような研究が報告されていました。やや極端な展開となっていますが、紹介します。

いくつかの指標によると、医原性(医師の診断や治療が原因)の病気やけがは社会で人の命を奪う要因となっており、アメリカでは病院の内外で毎年5万人から10万人もの死者を出しているという見方があります。

ここでの医療過誤は、外科的ミス(手術で何かを残してしまう)、投薬ミス(薬を間違って投与する)などが挙げられていますが、実際は尿路感染症や手術部位感染、血流感染症など院内感染が頻発し、医原性の病を引き起こしています。

こういった感染症のほとんどは予防可能な消毒手順の失敗に起因しており、アメリカでは全体として入院患者の1%にもあたる患者が医療ミスで死亡している可能性があるとしています。

1%というのはあまりにも高い数字ですが、日本ではこういった医療ミスははるかに少ないと思われます。医療処置が悪影響を与える可能性を評価するために、医師がストライキをしたときのデータがあります。

1976年から2003年の間に、世界で医師が起こした9日間から17週間の5回のストライキを分析したところ、全体として死亡率はストライキ中も変わらなかったか、低下したことが判明しました。

死亡率低下の理由としては、不要な手術の遅れと医療過誤や負傷の減少であるようです。医師不在の病院で死亡率が下がっているというデータもあります。

年に2回の全米心臓病学会が開催されている間(心臓病専門医が少ない時期)に、心臓発作や心不全で入院した高齢者の死亡率を10年間にわたり調査しています。

その結果会議期間中に入院した数万人の心不全患者のうち17.5%が死亡し、通常期に入院した患者の死亡率24.8%を下回っていたのです。つまり心臓病専門医が治療にあたっていない時の方が、心臓病患者の死亡率は低くなっていました。

これはちょっと意味の分からないデータですが、専門医がいない方が良いというわけではないでしょう。2020年の春の間、患者を感染暴露から保護し急増するコロナ患者の病床を確保するために、病院は全疾患の選択的手術および急を要しない外来診療を延期しました。

軽症ならば受診しない患者も増え、医療過誤や過剰な治療による死亡は減少したことは確かです。患者のニーズよりも病院や専門医の財政ひっ迫という事情によって、リスクの高い手術が行われていると指摘しています。

以上のような主張がどこまで信頼できるかは問題ですが、こういった記事が掲載される様な状況になってきたことは確かなようです。

風邪を記憶した免疫がコロナを攻撃

2022-01-13 10:37:12 | 健康・医療
日本のコロナ感染者数は急激に増加していますが、海外の数10万人規模から比べるとまだまだ少なくなっています。

この理由のひとつとして風邪の原因となる従来型のコロナウイルスを記憶した免疫細胞が、新型コロナの感染細胞も認識して攻撃するという研究を理化学研究所の研究グループが発表しました。

日本の新型コロナの感染者数が欧米と比較して少ないのは、日本人特有の「ファクターX」があるのではないかと指摘されています。研究グループは特定の白血球型「HLA-A24」がファクターXのひとつである可能性もあるとしています。

免疫細胞である白血球にも型があり、ヒト白血球型抗原(HLA)で多型に富んでいます。このHLAは身体のほとんどの細胞表面から発現し、細胞性免疫を誘導する重要な役割を担うことが分かっています。

人間の身体は自然免疫と獲得免疫という2段構えの防御システムを持っています。ウイルスや細菌などの病原体が体内に侵入すると、白血球の1つである食細胞が攻撃するのが自然免疫です。病原体がここを突破すると、免疫細胞であるB細胞やT細胞が主体となって病原体と戦います。

ここでHLAは自然、獲得の2つの免疫に重要な働きをします。獲得免疫のうちB細胞は抗体を作ってウイルスと戦います。ヘルパーT細胞は獲得免疫の司令塔で、キラーT細胞に指令を出すとキラーT細胞が感染細胞を殺します。

T細胞は敵対したウイルスを記憶する能力があるのが特徴で、これらの仕組みを細胞性免疫とも呼ばれています。

細胞がウイルスに感染すると、「エピトープ」と呼ばれるウイルスの一部の分子が感染細胞の表面に出てきます。一方キラーT細胞の表面にはこのエピトープを認識するT細胞受容体(TCR)が存在します。

研究グループは、このエピトープに着目してHLAの型との関係を調べました。詳細は省略しますが、日本人に多いHLA型としてHLA-A24が知られており、日本人の6割が持っていますが、欧米人では1〜2割程度といわれています。

研究グループは新型コロナの表面のスパイクタンパク質を調べ、HLA-A24と結合してキラーT細胞を活性化するエピトープを見つけました。さらにこのエピトープの類似部位が従来型の風邪を引き起こすコロナウイルスにも存在し、このエピトープがHLA-A24に結合してキラーT細胞を活性化することを突き留めました。

つまりこの型を持つ多くの日本人は、過去風邪に罹っていれば、新型コロナやその変異株にも殺傷効果つまり「交差免疫」を持つことが分かったのです。

またこのエピトープを特定し、このエピトープは季節性(従来型)、新型コロナを問わずHLA-A24と反応することを確認しています。

研究グループはHLA-A24がファクターXと断定はしていませんが、ひとつの要因である可能性は高いとの見方を示しています。

寄生生物は共生の一種で保護が必要か

2022-01-12 09:18:44 | 自然
寄生生物というと宿主から一方的に養分を搾取しているだけではなく、共生的な関係や環境に重要な働きをしているという記事を見ました。

寄生生物を表すパラサイトという英語は、「並んで食べる」というギリシャ語からきているようですが、どうもあまり良いイメージはありません。

寄生という形態は、動物、植物、菌類、細菌そしてウイルスまで、あらゆる生き物に行きわたっています。寄生は2つの生物が密接に関係しながら生活をする「共生」の一種と言えます。宿主を必ず殺してしまう捕食寄生者を除き、多くの寄生者は宿主に大きな問題をもたらしません。

宿主を守る寄生者もおり、例えばある種のウイルスは細菌に寄生するとその菌を抗生物質の攻撃から守るといわれています。

世界にはどれくらいの種類の寄生生物がいるかは、はっきりしたことは分かっていないようです。一部の専門家は、寄生しない生物よりもはるかに種数は多く、寄生生物の大半はまだ発見されていないのではないかと考えています。

食物網や生態系のネットワークを作ってみると、種のつながりの半分以上が寄生生物で成り立っているという説もあり、生態系をまとめる接着剤の役割を果たしています。

寄生生物はただ宿主に寄生するだけではなく、宿主の生殖能力を低下させたり、免疫システムを乗っ取たり宿主自体を操ることすらあるようです。また寄生生物の中には、生態系に多大な影響を与えるものいます。

例えばヨーロッパ原産のイエローラトルは、周りの草から養分を奪う半寄生生物です。これは繁殖力の強いわゆる雑草に寄生しますので、もしイエローラトルが無ければ単なる草原となってしまいます。

ところがこれが寄生することによって雑草の生存力が弱まり、花を咲かせるような植物が育つようになり花畑ができてくるようです。この様にイエローラトルには、花粉を媒介する虫たちが活動する場所を作る役割もあり、その結果鳥類や両生類も集まってきます。

寄生生物は重要な役割を果たしているにもかかわらず、軽視されています。例えば寄生生物が保護プログラムの対象になることはありませんが、現在の気候変動で大きな脅威にさらされています。

急激な地球温暖化による影響は直接的で、過去には何度か大量絶滅の原因にもなっています。現在の絶滅危惧種にはほぼすべてに寄生生物がいて、同じ危機に瀕しているようです。

ただし寄生生物保護といっても、ヒトや家畜の寄生虫などは明らかに害をなすものであり、根絶させるべきものと言えます。このあたりが寄生生物の保護の難しさかもしれませんが、最近はこの保護活動に取り組むグループも出てきています。

どうも有害な寄生虫のイメージが残りますが、やはり残すべきものはしっかり保護する必要はありそうな気もします。