フルール・ダンテルディ

管理人の日常から萌えまで、風の吹くまま気の向くまま

coming and going letter-7-

2010年06月13日 | テガミバチ関連

注意!!
①これはいわゆるボーイズラブというジャンルの女性向け小説であり、同性間の恋愛を扱っており、性的表現を含みます。このジャンルに興味のない方、そのような内容を苦手とする方はお読みにならないよう願います。
②テ○ミバチ「サンダーランドJr.Xゴーシュ」です。このカップリングやゴーシュ受が苦手な方はご遠慮ください。
③設定については大部分捏造しております。くれぐれも信じないように!(笑)
④文章の一部は、うっかり目に入らないよう反転させることがあります。反転箇所は携帯からは読めません。ご了承ください。


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 いやなときはいやだと言ってくれ、と言った私に、彼は「したこともないのにいやかどうかなんてわかりません」とむっとして言い返した。が、それが虚勢なことはすぐにわかった。彼の体は緊張のせいで冷たいままで、性器を愛撫しても感じてはいるようだが、なかなかきざしてこなかった。これではもどかしいばかりだろうと、途中でやめて彼の緊張を解すことにした。
 腕枕をして抱きしめた彼に、何度もキスをしながら、背中や腰をあやすように撫でる。そのたびにびくりと震えていた彼だったが、次第に慣れて硬かった体から力が抜け、体温も戻ってきた。
「……女性とも、したことはないのか?」
 彼はこくりとうなずいた。予想通りの答えだが、幼なじみのアリアとは仲が良く、はた目には恋人同士に見えないこともないので、ひょっとしたらとも思ったのだが。
「自分でするときは、ちゃんといける?」
 一応、確認する。そうでなかったら、医者としての私の出番だ。幸い、ゴーシュはうなずいた。
「……何度か、したときには……」
「何度か?」
「ええ。仕事に出かけなければいけないのに、どうしても治まらないときとか……」
 私は、驚きを表に出さないようにさりげなく尋ねた。
「性的欲求の解消のためにすることはないのか?」
「……そういうことがあるのは知ってますけど……」
 ゴーシュは言いにくそうに口ごもった。
「あまり…感じたことがなくて。大抵仕事で疲れているからベッドに入った途端眠ってしまうし、それに……」
「それに?」
「……心弾を撃つと、その……たまにあるそういう感じも、消えてしまって。……もしかしたら、いけなかったでしょうか?」
 私を見上げた彼の真剣な表情に、私は答えてやることができなかった。彼くらいの年頃の青年たちの持つ荒々しさや猥雑さが、彼に感じられない理由の一つを知った気がした。
 私には心弾を撃つ才能はないので、彼らの感覚はよくわからないが、熟練してくると、個人の癖や得手不得手はあるにしろ、どんな「こころ」を込めるか、コントロールできるという。するとゴーシュは無意識に、そういった自分の欲を心弾として、自分の中から抹消しているのかも知れない。彼が話してくれたヘッド・ビーになる夢も、彼の誇りや彼自身の生活を豊かにするためではなく、その動機は妹のためだ。すべては妹のために、もしかしたら彼は、性的なものだけでなく、彼自身の望みや欲を、そうやってすべて捨てているのではないかという気がした。
 そうだとすれば、彼が私に向けてくれた感情は、とても貴重なもので……初めて、彼自身でも捨てきれなかった想いなのかもしれない。
「ゴーシュ……」
 愛しくて、それ以上に彼が不憫でならなかった。私は、彼を力の限り強く抱きしめた。
「私は君が欲しい。心だけでなく、体もだ。君も同じように、私を欲しいと思ってくれたら嬉しい。だから、そういう欲求を必要ないものだとは思わないでほしいんだ」
「……わかりました、サンダーランド博士。心弾の撃ち方を変えるようにしてみます」
 本当にわかったのかわかってないのか、彼は神妙に答えた。
 私は体を起こし、向き合って横たわっていた彼の体の上に乗りかかった。本当は彼には快いだけの経験で終わらせるつもりだったが、やめた。「欲しい」という切迫した生々しい感情を、それを互いに向けられるのは愛し合っている者同士だからこそだということを、彼に知ってほしかった。
「……ゴーシュ、君に苦しい思いをさせるかもしれない。だが、私の正直な気持ちを感じてほしい」
「……ぼくは、最初から、そうしたいと思ってました、博士……」
 揺らめくランプの光に照らされた彼の表情は、天に向かって祈る女帝のイコンを思い出させた……。


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 反転ばっかになってしまう前に、切りました(笑)次回はやっと(?)Hに入ります携帯の方はすみません・・・

 この話には全く関係ない、役に立たない人物解説。
 ・・・とゆーか、全然話どころかひとコマだって出てこないゴーシュとシルベットの父親。
 ラグは父親がいない&不明でもしょうがない。ラグの母親はたぶん首都から逃げてきたみたいだからね。でも、あの兄妹の父親が全く出てこないのは恣意的な気がする。だって、アリアとゴーシュが幼なじみってことは、母親がシルベットを身ごもる前からのご近所づきあいの可能性が高い(もしかして、シルベットを身ごもった状態でユウサリに越してきた可能性も否定できないけどね・・・)。なのにシルベット出産のときに父親は不在、その後も登場せず。・・・アレか。父親は母親のところに夜這いしていただけかい。そうでなきゃどこかで逢引きしていただけか。うーむ、じゃあゴーシュとシルベットの父親が違う可能性もないとは言えないよなー。それともまさか、アルビス種は単性生殖なのか?!(冗談です・・・って、あながち冗談でもなく、政府が人工的に妊娠させていたという可能性はアリかも?)
 そもそもゴーシュは瞬きの日に「母親の記憶をなくした」っていうけど、「父親の記憶をなくした」とは全く言っていない、つまり、最初から「父親という存在が記憶にない」。となると、少なくとも確かなのは、
「母親は結婚せず兄妹を出産。ゴーシュは父親の顔を知らない。ゴーシュとシルベットの父親が同一かどうかすら不明。父親はもしかしたら多少は金銭的援助をしていたかもしれないが、母親死亡後はその様子はない」
 ということだけですかねー。
 あの世界ではあんまり人種の差がないような気がする(狭い世界だし、貧富の差はあっても文化的に差異はあまりなさそうだし・・・)のに、「アルビス種」だけ名前が出てくるってことは、相当特殊、あるいは希少と見なされているってことだと思うんですよね。ラグの母親は政府に連れされられ、ラグは「彼自身のものでない」記憶を大量に持ち、人工太陽は人々の「こころ」を食っているらしいと示唆され、ゴーシュは「瞬きの日」の光の中にいた、ただひとりの生存者(記憶は一部失ったけど)・・・と、どうもアルビス種は女帝制度や人工太陽に深く関係しているものと思われます。早くすべての謎が解明されないと、私はあーでもないこーでもないと予想しちゃーはずれたと言ってじたばたし続けるんだろうなー