7/25月曜。昨日とは打って変わった快晴。今日は隣りの式根島でダイビング&温泉めぐりということで、連絡船に乗った。港まで送ってくれたロッジのおじさんは、「くれぐれも帰りの船に乗り遅れないで」と注意。連絡船は1日3往復。最後の船に乗り遅れたら、その日は新島に戻ってこられないのだ。
新島港から、浮き輪を持ったこども連れの家族や、多分ダイビング目的の外国人2人やら10人ほどと一緒に、式根島からやってきた人々と入れ替わりに船に乗る。約10分で到着。こんな小さな港なのに、パトカーが停まって警戒中。新島に着いたときも港にパトカーが停まっていて、「何警戒してるのかなー」と不思議に思ったものだ。
港にダイビングサービスが迎えにきているはずだが見当たらず、携帯から電話。前日の夜、携帯にショップのご主人から電話があって、今のうちに車にウェットスーツとフィンを積むからと、Yと私のサイズを訊かれ、そのときに「港に車が待っているから」と指示されたのだ。
電話には奥さんらしい人が出て、「あれー?朝の船だった?今、朝の予約客と潜ってる最中だから、私が行きますね」
おいおい、昨日船の時間伝えたぜ!だいたい早朝の客と一緒にスーツとか積んでったんだから、朝の便に決まってるじゃん。
すぐにやって来た奥さんの車で一旦ダイビングショップへ。と言っても普通の民家。庭に大量のタンクが並び、ウェットスーツが干されているのでそうなんだなーとわかるだけ。
庭のテーブルで申込書と誓約書に記入し、貴重品を預けて今度はダイビングする中の浦海岸へ送ってもらう。「もうすぐ上がってくるはずだから」と奥さんからご主人の写真を見せてもらい、急な坂を下りていくと、青い空、青い海、小さな海の家(つーかお店。パラソルのレンタルしたり、浮き輪とか軽食を売ってる)、数十人(と言っても20人くらいかね・・・少なっ)の海水浴客が見えてきた。こじんまりして隠れ家的ないい海岸だ。ただしトイレがあるだけで着替えやシャワーの施設はなし。地元の人とか泊まり客以外は使いにくいだろうなあ。
シュノーケリングやダイビングに向いている、砂の海岸からすぐ岩場になるビーチ。砂は真っ白で、まるで南の島のようだ。海岸に下りる道の途中に、ダイビングサービスの軽トラが置いてあったので、そこに服と靴を置いて(水着は宿から着てきた)海岸へ。暑い。昨日もそこそこ蒸し暑かったけど、ギンギンに太陽が照りつけて、焦げる!
7年ぶり(ログ・ブックで確認した。ログ・ブックというのは、ダイビングしたときに場所、気温、水温、タンク圧、潜水深度等を記録する手帳のこと)の海水浴&ダイビングっつーことで、まだ前の組が潜っている間にシュノーケルしよう、とマスクをつけてビーサンのまま水に入ると・・・。
「か、海藻だらけできしょい・・・」
とんでもなく大量の海藻が海岸付近に打ち寄せられている。いつもこうなのだろうか・・・と海岸あたりをうろうろ浮いていたが(もと水泳部のYはさくっと沖まで行ってしまった・・・)、水の中はキレイ。魚もいっぱい、青い小さな魚もいて、本州の海とは違って熱帯っぽい。
やがて前の組が上がってきたので、私たちもあとを追いかけて軽トラへ。一緒に潜っていたご主人の息子さんが車で彼ら(どこかの大学生のグループらしかった)を送って行き、私たちはご主人と一緒に潜ることに。ご主人は60歳過ぎだという。スゲー!日に焼けて筋肉もバッチリ、海の男って感じ。
海藻は天草(寒天のもとね・・・)で、先週の台風の影響で大量に打ち上げられているだけで、普段はこんなことはないという。そーか、昨日の夕飯のところてんの材料はこれか!ところてんは地元で作ったものだと言ってたもんな。
私たちは久しぶりのダイビングということで、体験ダイビングと一般のダイビングの中間、リフレッシュコースを申し込んでいたのだが、7年ぶりだと聞くとご主人は「それじゃあビギナー同然だな・・・」と、普通は湾の出口の遊泳限度のブイのところまで連れて行くそうだが、その手前までのコースをとった。これだと10メートルも潜らない。・・・あの、一応最初のライセンス取る講習のときでも15メートルくらい潜ってるんですけど・・・。
しかし、ダイビングをするとなぜ猛烈に尿意に襲われるのだろう・・・。毎度毎度必ずそうで、私はたいてい最後の10分くらいは「早く上がらせて~~~!」しか考えていないので、魚も何も見ていない・・・
というわけで、ダイビングが終了して帰るという段になって、てっきりまた奥さんが迎えに来るのかと思っていたら、ご主人は「じゃ、後ろに乗って」と言う・・・。は?この軽トラの荷台っスか・・・。タンクとかジャケットとかフィンとかウェットスーツとかごろごろしているのはまあいいとして、捕まるところなーんもないここに座って、あの坂を上るんスか・・・?
「うちらは小学生か・・・」
私の脳裏には、遊びつかれた孫たちを荷台に乗せて、田んぼの中の農道を走る、じいちゃんが運転する軽トラ・・・という光景が浮かんだ・・・。
「し~え~」
ジェットコースターの昇りのような坂道を、軽トラはアクセルふかして登って行く。「むしろ、この坂を車で走ることの方に驚くよ・・・!」とYが叫ぶ。
坂を上り切った車は狭い道を走り出す。照りつける太陽と吹きっさらしの風が気持ちいい。私たちは「これ、道路交通法違反じゃねーっ?」「もし事故ったら完全に投げ出されて死ぬね!」とげらげら笑いながら揺られていった。
ショップ(しつこいようだがただの民家)に着き、荷物を受け取った私たちは、庭の奥のシャワーブースで海水を流し、服を着替えた。と言っても更衣室があるわけではない・・・。シャワーブースにもカーテンはない。まあ家の陰なので道からは見えないけど、外ですっぽんぽんだ。完全に小学生が親戚の家で海水浴、というシチュエーションだな・・・。つか、恥じらいというものはないのか?!まあこの年になると結構どうでもいい・・・。それより、先のグループは男女混合だった(しかも若い)んだが、どうしたんだろう・・・。この島に泊まっているんだろうから、宿へ戻ってから着替えたのかな。
ご主人は、体験ダイビングほど手間はかからず、しかし通常のダイビングほど長時間ではなかったということで、料金を2000円も安くしてくれた。ラッキー
「これからどうするの?」という奥さんに、温泉めぐりをすると答えたら、奥さんは島の地図を持ってきてくれた。一応ロッジに置いてあったパンフレットを持ってきてはいたが、紙1枚の方が見やすいのでありがたくいただき、来る前はレンタサイクルを借りるつもりだったが、来てみたらほとんどの道が坂なので、徒歩で出発。まずは目的の、中の浦海岸とは逆の島の南海岸にある海中露天風呂へ向かった。その途中の「季節営業」の食堂に入る。
季節営業ということは、夏の観光シーズンにだけ営業しているのであろう。おじいさんが1人でやっている中華の食堂で、私はオムライス(中華、関係ない・・・)、Yは中華飯を食べる。他に客はなく、おじいさんは料理を出すと暇になって食堂の椅子に座り、N○Kの昼のドラマを見つつ、私たちにあれこれお話しかけたりなどする。そしてハエが飛ぶのが気になるのか、ハエ叩きを持ち出して狙うが、なかなか当たらない。一生懸命なので「今そこに留まってますよ」「あ、こっち飛んできたので無理です」と教えてあげる・・・。その甲斐あってか、私たちが食べ終わるまでに2匹とも仕留めることができたのであった・・・。
などとおじいさんと交流を深め、私たちは途中商店でカップアイスを買い、歩き食いしつつ(私だけだが。だって死にそうに暑くてたまらんかったんだもん!)、途中「真実の穴」ならぬ「湯加減の穴」(この温度で露天風呂の今日の温度がわかると言われている。中は蒸気が噴き出している)に、お約束で手を突っ込み、地鉈温泉到着。
ん・・・?ほんとは地鉈温泉ではなく、松が下雅湯に行くつもりだったのだが・・・?と地図を見直すと、「憩いの家」(公共浴場)のところで海岸に向かって曲がらなければならなかったのに、通り過ぎてしまったようだ。松が下には更衣室があるので、そこで水着に着替えるつもりだったのだが・・・。戻るのも面倒だ、と私たちは人がいないのをいいことに、公衆トイレの裏で着替え(いい年した大人がすることではない・・・)、海岸へと降りていった。
「暑い・・・」
絶好の海水浴日和と言うべきなのだろうが、山道を昇り降りするにはきつい。なにしろ小さな島だから、アップダウン激しいのだ。
地鉈温泉の名の由来、地面を鉈で真っ二つに割ったような、というそのままの光景。この海岸に温泉がわいているのだ。高い&遠い・・・。
たどり着いた海岸は、日射しだけでなく岩までもが触れないほど熱くて、このまま全身こんがり焼き鳥になりそうだ・・・。岩が熱いのは地熱のせいもあるのかもしれない。私たちが行ったときは干潮で、満潮だと海中に沈むこともあるとかいうから干潮がいいと思っていたが、とんでもない!湧き出しているお湯が熱すぎて、海水で埋めないと入れない!誰が置いたのか、バケツ代わりの塗料かなんかのでっかいプラスチックの入れ物があったけど、それで海水をせっせと汲むほどの気力はない・・・。
→手前にちょっと写っている黄色くにごった水溜りが温泉。もっと手前の温泉は岩が湯の花のようなオレンジ色の物質で覆われて、水ももっと濃い黄色。茶色い岩は温泉で染まったもの。満潮の時はいちばん海側の岩を超えて海水が温泉に混じり、入れる温度になると思われる。夜間はライトもつけられるので、満潮時に来るのもいいかもしれないが、道は超険しい。あと落石多し
あきらめきれないYは、「ここなら熱くないんじゃない?」とこのあと(写真参照)海に入っていたが、「ぬるいけど・・・日光で温められて温かいのか、温泉が温かいのかわからない・・・」と呟いていた・・・。
うーむ、がっくり・・・とまた崖を昇り、今度は隣りの足付温泉を目指す。地図を頼りに、多分行ける・・・と当たりをつけた遊歩道に入ったが、全く整備されていなくて「け、けもの道?誰も使ってないんじゃ・・・」と蚊に刺されつつ進む。
地図は正しかったらしく、ちゃんと着いた。こちらは人がけっこういて、大学生らしい男の子達が「熱すぎるよ!無理無理!」と楽しそうに騒いでいる・・・。
こちらは海岸からはちょっと離れた、一見すると潮溜まりみたいな、透明なお湯。たしかに熱めで、私は腰まででもう結構!という感じだったが、Yは「さっきのに比べると全然イケるよ」と肩まで浸かっていた。良かったね!無理やり連れてきた(この旅行、ダイビング以外彼女の希望は一切聞いていない・・・)甲斐があったというものだ。
地鉈温泉と足付温泉は天然の温泉だが、もうひとつの松が下雅温泉は、地鉈温泉からお湯を引いた人工の温泉で、更衣室もある。なのでそこへ行って着替えるか、それとも「憩いの家」へ行って着替えるかなのだが、とにかく暑くてグロッキーなので、涼める「憩いの家」へ向かった。
その道はとても急な昇り坂・・・。途中で立ち止まってペットボトルのお茶を何度も飲むワタクシ。やっと着いたら・・・あれ?「本日、介護サービスに利用のため休業」
島の地図にも「月曜休業」と書いていった・・・。休暇だから曜日の感覚なんかなかったよ・・・。
「どーしようか。あの坂を下りてまた上るのはやだよ・・・」
窓からヘルパーらしい女性の姿が見えた。Yはコンコン、と窓を叩いた。気づいた彼女にYは、外の水道を貸してほしいのと、着替える場所がないので、脱衣所で着替えさせてほしいと頼んでくれた。女性は上司らしい人に訊いて、入口を開けてくれた。
我々は外にある庭用の水道で体を流し、浴場の脱衣室で服に着替えることができた。頼りになるぜ、Y!・・・しかし、Yがこの行動に出たわけは、ひたすらあの道を戻りたくないためであった・・・。
またトロトロと歩いて昔の井戸の痕(今は新島から水道が引かれている)を見学し、喫茶店でカキ氷を食べ、島を縦断し、その途中で「新島に戻ったら商店行けないから」とペットボトルと酒(これは私だけ)を買い込み、北側にある遠浅の美しい白砂の泊海岸でぼーっと船の時間までを過ごした。
16時、式根島から連絡線で新島へ戻った。歩きでの帰り道、再び海岸の崖の上の待合所をちょうど通りかかったとき、車が次々と止まり、中からおばちゃんたちがポットやお盆(!)を持って下りてきた。そして待合所に座っておしゃべりを始めた・・・。
「ハッテン場じゃなくって、島民全体の井戸端会議場なのか・・・?」
Yの疑問が解けて良かったな!ちょっぴり残念だけど!なぜわざわざここに来るのか?という疑問は残ったままだが。
ロッジに戻り、早速私たちはお風呂へ。まだ風呂を張ったばかりのそこに入ろうとしたら・・・
「あちーっ!」
熱くて入れねえ!よくよく見れば、浴槽の上に蛇口は2つ。1つは水道、1つは温泉。貼ってある紙には「源泉は60度あります」60度・・・地鉈温泉といっしょだな!いや、そんなことより、今、水道からは全く水が出ていない・・・。おいおいー!!
うわーん、風呂に入らせてくれーっ、と、水をがんがん入れつつ、必死に湯をかき回す棒で混ぜまくるワタクシであった・・・。
タイトルに偽りありの1日を長々と済みませぬ。最終日はタイトル通りになる・・・はず、というか、ロケ地残り1か所!
おまけ。式根島の野伏港で、船が来るまでの間、道端で眠るY。体力の限界だったらしい・・・。どおりで「憩いの家」でがんばったわけだ。よほど坂道を戻りたくなかったのねー