手賀沼アララギ短歌会の講師、吉村睦人先生が歌集『動向』を出版しました。
これは1989年に出版した先生の第2歌集の文庫版です。
・うつ向きて黙々とデモし来たりし学生に機動隊は警棒をふりて襲ひかかる
・隠れゐる生徒を私服に教へゐる体育科教員をわれは見たり S学園
・図書館に通ひてわれは若き母が「青鞜」に書きし小説を写す
・煙草吸はず配給の煙草人に譲らず庭にて燃しし亡き父思ふ
・もの言ひていきいきとなる横顔を見しとき吾は心を決めぬ
・採点に区切りつくたび幾度も出で来て芽ばえし片栗を見る
・自分らに都合のいいやうに飴細工の様に教育を曲げむとする者ら
・人を騙すことを何とも思はざる者らふたたびのさばりてゆく
・野菜屑うめる穴のすぐそばに蕾数多持つエイザンスミレ
開催日 平成30年9月9日(日)午後1時~4時30分
会 場 手賀沼湖畔 アビスタ第3学習室
講 師 「新アララギ」選者・代表 雁部 貞夫先生
内 容 短歌作品の批評、添削指導
会 費 1500円/月
8月30日(木)必着で歌稿(短歌3首)を提出してください。
☆見学もできます。(見学の場合は1000円/回) 事前に短歌3首を提出すれば批評・指導が受けられます。
☆雁部先生は全国で屈指の短歌結社「新アララギ」の代表・選者です。登山家としても知られています。
歌集「ゼウスの左足」で島木赤彦文学賞を受賞しました。
☆参加を希望される方は下記にメールしてください。
eizan@plum.ocn.ne.jp 手賀沼アララギ短歌会・今野英山
< *印 新仮名遣い>
三谷和夫:わが家に飼ふ鶏と牛を加へうかららの干支に十二支揃ふ(新アララギ2018.7)
佐々木フミ子:人は何に人の創りし神崇む戦ひもテロも神ゆゑとして(新アララギ2018.7)
木村和子:三毳(かも)山にこの雑木ありて春の陽のひかりは注ぎカタクリが咲く(新アララギ2018.7)
今野英山:二十軒の醤油造りの並び立ち香りの中をさまよひ歩く(新アララギ2018.7)
高橋毬枝:淡々と君は代表辞任をいふ平成の三十年をつとめ卒寿のこの日 三谷和夫氏(新アララギ2018.7)
麦島和子:*傘の花咲かせし子らの通学路冷たき雨も時に華やぐ(新アララギ2018.7)
大倉康幸:*山の中にはいって行けばしがらみを忘れてしまう軽やかに行く(新アララギ2018.7)
相川盈子:*大英博物館入場待つ間に見かけたるハリー・ポッターと見紛う少年(新アララギ2018.7)
宮本通代:地元民の植ゑし桜は途切れなくつくばりんりんロード今花のとき(新アララギ2018.7)
葛岡昭男:*倒産の廃工場の庭池にカルガモ親子はしゃいで泳ぐ(新アララギ2018.7)
丸山さち子:*親さがすひな鳥のごとオカリナで「浜千鳥」の歌吹きくれしきみ(新アララギ2018.7)
立川多喜子:開発は限りなく続きこの十年もとの街さへ思ひ浮かばず(新アララギ2018.7)
戸田邦行:*妻と行く堤の桜は三分咲き眩しき春の陽射しを浴びて(新アララギ2018.7)
新アララギ 2018年7月号より
・米うまし空気が旨い水もよし会津の小屋に自炊たのしむ
・一株より一葉のみ採れ片栗のこの群生地は友の持ち山
・牧水は何処の山の片栗を酒菜とせしや雪残るころ
・片栗の若き芽うでて和布あへ今宵のさかなにこれが絶品
・戊辰戦より百五十年経て今宵読む「会津殉難者名簿」を第一丁より
・家老屋敷に老武士付きそひ族(うから)らの死を見届けて自らも死す
新アララギ 2018年7月号より
・海沿ひの砂畑に作りし玉葱と今年も一箱送りたまひぬ
・このあたりに在りたる筈と思へども七味唐辛子屋はつひに見当たらず
・他の人の作品ならば認めます自分の作としては認められません
・蛇屋といふがありてショーウィンドーに必ず蝮が蜷局(とぐろ)巻きゐき
・石に彫る「内に誠実外(と)に努力」父の作りし校歌の一節
・こんな家がまだあつたのかと立ち止まる漆喰壁に重ね板壁