須田 博
・祝ひくるる人の無ければ侘びしかり八十九度目の我が誕生日
・余生とは幾つを境に言ふならむ八十九歳の今にして思ふ
・卒寿来る我の余生に六年(むとせ)後の東京五輪の含まれ居るや
今野 英山
・熱中症につづいて大型台風の手荒な歓迎めんそーれ沖縄(うちなー)
・蝋燭の夕餉となりて原発の爆ぜしかの日々思ひおこせり
・大雨の特別警報つづく中つかのま明りて蝉鳴き初めぬ
開催日 平成27年11月8日(日)午後1時~4時30分
会 場 我孫子駅前 けやきプラザ8階和室
講 師 「新アララギ」選者 雁部 貞夫先生
内 容 短歌作品の批評、添削指導
会 費 1500円/月
10月29日(木)必着で歌稿(短歌3首)を提出してください。
☆見学もできます。(見学の場合は1000円/回) 事前に短歌3首を提出すれば批評・指導が受けられます。
☆雁部先生は全国で屈指の短歌結社「新アララギ」の編集委員・選者です。登山家としても知られています。
歌集「ゼウスの左足」で島木赤彦文学賞を受賞しました。
☆参加を希望される方は下記にメールしてください。
yohkuraq@gmail.com 手賀沼アララギ短歌会
新アララギ 2015年9月号より
・流山の富士塚高さ六メートル道は急なり火山岩敷く
・富士塚の道はゑぐれて危ふかり人には言はず手の平の汗
・木村和子もんどり打って落下せり命儲けぬ天佑ありて
・「天晴(あっぱれ)味醂」今に残れり甘き味江戸の女ら好み飲みしと
・幾十(いくそ)たび一茶はこの町訪れし豪商双樹をパトロンとして
・小さき街とあなどるなかれ呉服屋も菓子舗も国の有形文化財なり
新アララギ 2015年9月号より
・植物の好きな先生転校し学校園は荒れ果ててをり
・西角井教授に提出せし「年内立春歌考」その内容は思ひ出だせず
・薄くなりし髪に金かくるも勿体無しカットのみ千円の店にわが行く
・何を聞いても馬鹿の一つ覚えの「新三要件」国会における総理らの答弁
・猟銃にて応戦したりし民間人戦死にはならず殺人とさる
・防衛産業の社長が大きな鞄提げ総理官邸に入りてゆく夢
三谷和夫:三百人一日につくりし注連縄かその巨大なるを人らと仰ぐ(新アララギ2015.9)
佐々木フミ子:この土手に一茶の愛でし菜の花か咲きつぐ種のひとつ手に乗す(新アララギ2015.9)
木村和子:富士塚の急なる岩坂危ふかりふもとに友ら見えてふらつく(新アララギ2015.9)
千葉照子:庭無き家の軒擦れ擦れに建ち並ぶ漁師住む町佐渡稲鯨(いなくじら)(歌会2015. 9)
須田博:終戦を玉音に知り七十年忘るな戦火に散り逝きし人を(歌会2015.9)
今野英山:溶岩の流れし跡に白百合のあまねく咲きて夏は近づく(新アララギ2015.9)
高橋毬枝:市民寄り一日(ひとひ)に仕上ぐる注連縄の太巻五百キロ鳥居に祀らる(新アララギ2015.9)
小熊宗克:罹災者は煤けた顔に焼け焦げの布をまとひて東京捨てき(歌会2015.9)
山崎日出男:芋畠に隠れ見上げし蒼空にB29の翼煌く(歌会2015.9)
麦島和子:*古き世の農家を移築し蕎麦屋とし常陸秋そば出す店のあり(新アララギ2015.9)
岸野トモヱ:*ほおずきと梔子と生け紅白となりし今年の盆は変調(歌会2015.9)
大倉康幸:*反論が出来ねば前に進めない生きるためにはまずはスタミナ(新アララギ2015.9)
小那覇暁美:*手に触れる石肌ざらと粗けれど離したくない懐かしさあり(歌会2015.9)
前澤重成:*山小屋の一人住まいの我(われ)慕いアサギマダラは遊びに来たり(歌会2015.9)
相川盈子:*移り来てはじめての夏なつかしき蛍舞い込むわがログハウスに(新アララギ2015.9)
宮本通代:白亜紀の岩にしぶきの飛び散りて犬吠埼の白き灯台(新アララギ2015.9)
手賀沼湖畔の「文学掲示板」、10月は当短歌会の作品です
手賀沼湖畔文学の広場にある「文学掲示板」、2015年10月は手賀沼アララギ短歌会の歌が6首掲載されます。
・夏草の伸びたる家に灯が点り八幡の祭りに人もどりくる(館山 相川盈子)
・筑波嶺のくつきり見えて振り向けば雪をかぶりし富士全けし(我孫子 小熊宗克)
・若き日に心に誓いし事の有り果たせぬままに日々の過ぎゆく(我孫子 岸野トモヱ)
・ふり向きて声掛けくれさうなこの案山子野良着姿は亡き祖母に似て(取手 木下和子)
・活きの良き握りに熱きあら汁にて氷雨止むまで腰を据ゑをり(柏 高橋毬枝)
・魚釣りか雨なら折り紙孫と遊ぶ計画を練る夫と二人で(つくば 宮本通代)
日本歌人クラブ主催の「第36回全日本短歌大会」の「飛高 敬賞」(選者賞)に会員から次の作品が選ばれました
須田 博(我孫子市)
遠き日の銃執りし手に曾孫抱き齢(よはひ)九十生を噛みしむ