チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

両国駅周辺

2012年05月17日 09時53分00秒 | 日記
五月場所のいま
両国駅に降り立つとどこからともなく鬢付け油の香りが漂ってくる
力士たちは国技館から徒歩で自分の相撲部屋に戻る
壮観だ
それぞれ好みの浴衣を着て
大きい男たちが道一杯に肩揺すって歩いている

「こんにちは」
というと驚いたように
「おっ」
と声にならない声を出す顔があどけない

一昨日は雨だった
どういうわけかチャコちゃん先生この時期必ず歯医者通いをしている
約束に時間に早く着いたので
国技館の法へふらふら歩いてみた
幕内の力士には付き人がついていて
言葉通り三歩下がって従い歩く

藤色や牡丹色の蛇の目を差している力士もいる
浴衣に蛇の目はなかなか絵になっている
「似合ってますね」
また声を掛ける
「おっ」
とにっこり笑う顔がまだ少年

人がたまっている場所があり
「何かあるんですか・?」
と尋ねると
「取り組みの終わった力士がここから出て来るんです」
と柵の中を見るとおりしもきりっとした力士が菖蒲色の蛇の目をさして
雪駄を引きずって歩いてくる
「あっ隠岐の海」
と出待ちのおじさんの声其れをきくやいなやチャコちゃん先生
ぱぱぱと隠岐の海に走り寄り
「しっかりやって下さいねずっと応援しているんですよ」
と名乗る
「おっ」と頭を下げてくれた

出待ちの人たちの冷たい視線を感じたので
「ゴメンナサイついーーー」
「いいのいいの」
と許してもらったがそのやりとりの間に
蛇の目と隠岐の海の写真を撮るチャンスを失ってしまった

タニマチが勝負にかけて菖蒲色の蛇の目を寄贈したのか
また自分で選んだのか
その辺を聞きそびれた

歯医者に行く道すがらたくさんの力士とすれ違う
ここだけちょっと違う世界だ

国技館を覗くとなにやらわくわくするお祭りみたいな高揚感が伝わってきた
9月場所は絶対に中に入ろうと
固く決心して枡席イス席などの値段も調べてきた

5月はもうすでに千秋楽まで満員御礼
相撲人気も戻ってきたようだ

コメント
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