昨日は単衣今日は袷と今の季節は忙しい
単衣を着ていて袷に移ると「へっ重いんだ、暖かいんだ」という感覚が戻る
裏生地がないだけでこんなに重さや感覚が違うのかと戸惑う。ぐらむにしたら50グラムであろうか
単衣の着始めは心もとない。座ったり立ったりの作法に裾が軽すぎてひらひらと舞う
椅子に座っていても上前がすぐ逃げるので布を引っ張っているうち上前が汚れてしまう
白い着物の多いチャ子ちゃん先生、手洗いは常に実行しているので、今回のコロナ手洗い修業は苦にならない、それでも上前は汚れやすい
それぞれお人で違いはあるけれどチャ子ちゃん先生の汚れをの順番を述べてみたい
1番目は上衿 あれだけ幼少のころから「黙って食べなさい」といわれているにもかかわらず、話に夢中になり手元がお留守、それどころかひどい時は襟に食べさせてしまっている(すぐに水を含ました布で汚れたところをたたく)「きちんとお皿をもって食べなさい」という母の声が聞こえてきたときにはすでにこぼしている
2番目は襟垢 首が黒いのよね、だからおしろいをはたく、一時は水おしろいをつけていたのだが(襟につかない)取り扱ってる店が閉店して断念。「襟元」というベンジン系の物で真綿に液を含ませて落とす。うっかりその作業を忘れているともう素人では落ちなくなる、悉皆屋さんに「襟垢として」と頼むと見事にきれいになる
3番目は上前 これは汚い手で上前を触るからで、コロナ予防のように手洗い、手袋は必須かも。さもなければ常に膝に当て布をするといいかも、花柳界の女人は行儀がいいのでよく膝に手ぬぐいを広げている。バックを膝にのせたりするとき注意をすれば汚れは防げる
4番目は袂 知らない間に袂が机の上の雑巾代わりになっていることがある、何事も袂をもって作業する姿勢が大事、ついうっかりがあるのでチャ子ちゃん先生は袂の丸みを三寸にしてできるだけ物に触らないように工夫している
5番目は袖口 ここも手首をきれいにしておけば幾分防げる、汚れを防ぐために長じゅばんを着ていること寸法が大事
6番目は裾 袖口も裾の汚れも軽いうちは襟元で落ちる、裾は切れてしまったらもう解くしかない。袖口も裾も「ふき」という小さな布をついているが、この布が汚れの防波堤になっている、感謝しかないな
そのほか振りがドアの取っ手に引っかかったり、椅子の背につかまって縫い目がほどけたりという経験もある、自分と着物の距離感をいつも感じていないと、「心ここにあらずっだよ」と着物が身をもって教えてくれるのだ
着物を愛おしんできている人の立ち居振る舞いが勉強になる