昨日質問をいただいたのでそれに答えて
「チャ子ちゃん先生は何を基準に着物を選んでいるのですか?」
ついてきましたね、核心を
着物を着て仕事を始めたのが今から50年前。当時は仕事場の主導権は男が握っていた。女は「女の子」という呼び方をされて、受付、事務整理、お茶くみ、タイプライター、使い走りなどの雑用を仰せつかっていた
そういう中で着物を着て仕事をするというのはかなりの勇気がいる、着物のページを作るという仕事だから着物を着て作業するのは自然なのだが、撮影の場所や、取材先、広告会社では怪訝な顔をされていた
もともと地方の産地取材で「着物のことを知るには着物を着なくてはね」という言葉を機織りをする女性たちから聞いて「そうだ!毎日着物を着てみよう」と思ったのが始まり
「仕事場の雰囲気を壊さない」
「男たちの中で目立たない」
この二つを常に頭に入れて着物を着て仕事をした
そのためダークスーツの中ではチャコールグレイ系の紬や紺系
取材先や撮影、着物や帯選びの場所ではちょっと明るいグレイや渋めのグリーンや黒系
つまり仕事仲間の中で一緒にいて色が目立ちすぎないという感覚なので、素材は紬または江戸小紋
それと撮影用の着物選びの時は選ぶ着物が主役なので自分自身は無彩色
少し偉くなり(エッヘン)
講演などを頼まれる場合はブルー系や黄色系そして生成りの地色やピンクで必ず自分でオリジナルの柄にした
地色を華やかにして柄をシンプルにしたかった。そうすると洋服の人たちとの間で違和感がない。しかも360度見られるので通常の常識的な柄付けでは着物姿が平面的になって面白くない。自分自身がまずうれしく、そして見る側も楽しくなければ、きものをきている意味がない
自分自身が大きく楽しみたいときは「バサラきもの」(鎌倉室町時代の武士の衣裳)にする。もちろん自分でデザインといっても染めることはできないので、あれこれ偉そうに注文して作る
渋い紬を着ることが多かったので帯は季節の草花や図絵、自然風景などを描いていただいている
基本はお人の中で目立たなくて印象に残って楽しさを与えられる
ということかな