五月の着物について語りたい
サツキ五月は曲者、真夏のような日差しがあったり、突然冬に舞い戻ったり、着物を着る方はこんな忙しい月はない
基本的に「立夏」から夏と考えられるので涼やかに単衣の着物を着てしゃららと動き回っても汗もかかず心地よいのっだが、いったん気温が下がるといきなり袷の着物がちょうどよくなる、実に紛らわしい季節でもある
袷の軽い着物は出しておく、そういう日々に向けて補欠要員。ところがこの補欠の着物を悉皆屋に出すのを忘れて次のシーズンまでおいておくので、悉皆屋さんに
「生き洗いはダメだね、解かなくちゃあ」
と諭される。置きっぱなしはいけないのねと思うのだがついつい忘れてしまいがち
一昨日までの一週間は30度とか26度などあり、昨日は20度今日は19度と一気に冷えている
長襦袢の半襟を単衣用の絽縮緬や楊柳に取り換えてしまったので、また袷の長襦袢に塩瀬羽二重の半襟をつける
しかし五月は湿気がないので袷の着物を着ていても蒸したりしない、ここが梅雨時の高温と違うところだろう
五月の単衣は地厚の着物がいい、裾さばきはよくないけど紬は肌に心地よいかも、チャ子ちゃん先生は五月の単衣は大島紬が一番いいと思っている
裾さばきもよく春雨に濡れても安心。袷にしておけばこういう二十度を切るるような日にはもってこいかもしれないけど、袷にすると重いのだ。人間の体は不思議で、若くて肌がぴんぴん張っているときは、大島紬の袷を軽いと思っていた。ところが今は重いとかんじる
体が衰えるということはこういうことなのだと納得
大先輩の着物研究家の方と3泊4日の講演旅行に出たことが在る。その時も5月だった。私は単衣と袷を用意していたが、先輩はずっと単衣
「あなたはお若いのねまだ袷を着られるのね」
とつぶやかれたけどその意味が解せぬひよっこだった(何言ってんだろう、気温に合わせるんではないの?)とおもっていた
またその先輩は真冬でも厚手の単衣を着ていらした。それでも大汗かいていてらしたので
「暖房消しましょうか?」
「あなたがよかったら暖房緩めてくださいね」
宴会では浴びるようにお酒を飲んでいらしたので、美しく着物を着るには食生活もきちんとしなければということを学んだ
- 五月は単衣と袷の混合ダブルスだ