梅のシーズン
梅は花よし,実よし、青もよし、熟してよし、落ちてよし
梅の花は五枚だから五臓にとって良きかな、ということかなんて勝手に思う
一昔前の主婦は忙しかった
大体家の庭には一本の梅の木があり、まずは青梅を取って「梅エキス」を作る
大きい青梅を陶器のすりこぎですりおろす。これは大体子供の仕事(よくやらされた)すっても、すってもなかなか液はたまらない。途中で飽きて遊びに行ってしまう。そうすると誰かが変わりをやる(戦前の家庭には行儀見習いを兼ねた女中さんがいた家が多かった)
其の液は土鍋でぐつぐつチョコレート色になるまで煮る。それだけの話。
食べ過ぎた、風邪ひいた、熱が出たみんなこの梅エキスで治ってしまう。今考えると酵素なんだよな、だから免疫が上がる
ちょっと調子が悪いとか、旅行に行くときの携帯薬
程よく赤く熟した梅は「梅干し」になる
大きな樽の中に井戸の水を入れて梅を泳がせている。色がおいしそうなので目を盗んで食べる。青い梅は毒だが熟れた梅は大丈夫
青梅を食べて疫痢になり、危うく命を落とすところだった思い出も梅とともにある
木桶を持ち出し水気を取った梅をつける、木蓋をしてその上に重石を載せてしばしそのまま、液が上がると梅雨の晴れ間にざるに挙げて乾かす、そのころ裏の畑に赤紫蘇がいい感じで出番を待つ。それを井戸水で洗いすり鉢に入れ、塩をいれて手でもむと、手が真っ赤、一回目の液は捨てて、次は丁寧にもむとさらに美しい赤紫の色の液が出る
カメを出しその中に干した梅を入れ紫蘇の液を入れて混ぜる、そのままにして梅雨が明けたらざるに入れ梅の日光浴、つまり天日干し。その時一つ減り二つヘリというように誰かが通りすがりにひょいと口に入れていく、何回か繰り返すと梅はいい色に変身、日の丸弁当の主役
落ちた梅は松の葉っぱや楓の葉,榊の葉を拾ってきて梅をす巻き状態にして燻す、水をかけては燻すを繰り返すと真っ黒の梅になる。これがまた胃腸の薬
こんな事手間暇かけて家族の健康を守っていたのが一昔前のお母さん
自然と向き合うから自然の恵みをいただけるのね