昨日は電車の中でちびった鉛筆を手に一生懸命数字を書き直している小学生に出会った
最近はみんなスマホを持っている子供が多い中でびっくりして凝視した
その数字の修正がすむと今度は国語のノートを取り出し、文章を書き始める
大江戸線、光が丘行きの列車内
チャ子ちゃん先生は麻布十番から乗ったのだけどその時もう少年はカバンをひっくろ返し、フアイルを下敷きにしてノートを広げていたので、かなり前から乗っていたのだろう
濃紺のハイソックスは上に赤の編み込みがあり、白い半そでのシャツ、グレイの半ズボン、黒い靴、そして白い帽子をかぶっている
足元にはパンパンに膨らんだ黒い手提げ、ブルーのビニール袋その中には上着が入っているらしい
それにどういうわけか全く同じデザインの傘二本
黒地白の縁取りに親のセンスが見える
時々顔を挙げて鼻の穴に指を入れている、その指をなめる、きっと彼の癖なのだろう
斜め前の席に座った私と視線が合い、びっくりした顔で目を見開く、こちらがほほ笑むと安心した顔でまた作業に励む
よくよく見ると
鉛筆はUNi、消しゴムはMONO 三菱とトンボ、文具のブランド品鉛筆は5センチにも満たないほど使い込んでいる
少年の親の顔が見える
いいものを与え最後まで使い切るようなしつけ、昔の親がそうだった!
そのうち電車に揺られて立てかけていた傘の一本が床に落ちる
文字を書くことに集中している少年は気が付かない、ふと顔を上げたので指さして傘の現状を知らせる
小さなお辞儀をして、二本の傘をランドセルのひもにかけて落ちないように安定させ、私の顔を見る
オーケーと指を丸めて知らせると二っと笑う
「綴り方」の宿題なのだろうか、懸命に文章を書いては消したりしている
そして時々気になるのか私の顔を見る
その都度チャ子ちゃん先生はニコッと笑う
澄んだ目でじっと私を見て安心した顔でまた励む
私の降りる駅が近づき停車したのでそばに行き「えらいわねえ、ばいばい」というと恥ずかしげに笑った
スマホばかりしか触らな少年たちを見続けていたのでとても新鮮で、その少年のおかげで豊かな気分になった
ありがとう