あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

種の保存

2009-02-05 07:39:43 | 本を読む
先週、ある本を買い求めに行くと、大崎善生さんの新刊本が並んでいて、迷わす手にとった。

『ディスカスの飼い方』は、表紙を飾る熱帯魚の飼育法に関する本ではない。もっとも僕は、手がかかるとか、お金がかかるといった理由で、ペットは飼わないことにしている。その一番の理由は、他の生き物の生に責任を持ちたくないからだ。

『パイロットフィッシュ』では、細かな熱帯魚飼育の描写が、物語全体に染み渡る効果を持っていたが、この作品ではもっと深く、ディスカスという飼育が難しい、だからこそ人々の意欲を掻き立てる魚の飼育について丹念に描かれている。それは、「そんな魚がいるのか」という程度の僕にも図や写真がなくても何となくわかるくらいのものだった。が、飼育の解説書ではない。

何かを極めていく中で、様々なことが見えてくる。主人公は、ディスカスに深く関わっていくことで失ったものを、ディスカスの飼育を究めていくことで強く認識した。

僕は何かを究めたという経験がない。いつも引き返す道を探し、それがあることで安心している。他の生物の生に責任を持ちたくないのも、そんな自分が選んだ立ち位置によるのだろう。好きな人の心を引き寄せたいという望みも、いや、好きな人が誰かすらも見えない気がする。まあ、それは大きな視点から見れば「種の保存」に適ったものなのかもしれない…
コメント
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