あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

途を拓く

2012-09-18 06:22:37 | 前に進む
一昨日の午後、何気なくテレビをつけると映ったドキュメンタリー番組に釘付けになった。

その番組は、戦後の日中国交正常化のために奔走したある一人の日本人を紹介する番組で、5年前に放送されたものだった。

岡崎嘉平太というその人は、戦前は日本銀行を経て大東亜省という占領地を統治するための役所で働き、戦後は丸善石油(現在のコスモ石油)や全日空の社長を歴任されたそうだ。

当時の日本は、台湾との間で国交を結んでいたが、岡崎さんはそうした状況を憂い、「貿易」により国交を回復させようと、自民党の高碕達之助氏と共に中国政府との交渉に当たったという。

交渉は困難を極めたが、彼らは粘り強く交渉し続け日中貿易の道を拓き、その道は1972年の日中共同声明による国交正常化に繋がり、現在に続いている。その交渉の中で、当時の中国首相 周恩来氏と深い絆で結ばれることとなったそうだ。番組では、日中共同声明の席に招かれなかった岡崎氏を周氏が招き、ささやかな宴席を開いたというエピソードが紹介された。もはや、中国人、日本人という関係ではなかったのかもしれない。

その後、岡崎氏は頻繁に中国を訪れ、その都度「初めて中国に行く」という人を連れていくことで、人と人を繋ごうとされた。また、氏の思いを継ぐ財団がアジアを中心に留学生を受け入れる取り組みを続けている。

岡崎氏の故郷、岡山県吉備中央町には、氏の功績を後世に伝えるための記念館があり、また氏が眠る墓にお参りする留学生の姿も紹介されていた。人と人を繋ぐということは、こういうことなのだと思った。

今、人気を得ようとする政治家はいるが、真摯な行動から人心を掴む政治家はほとんどいない。だから、愛国心に訴えたりするのだろう。それは、対立する国の国民にとっては不幸なことだと思う。それをしっかりと見極め、本当に大切なことは何なのかを考えることが、今、僕らに求められている。せっかく拓かれた途を閉ざさないために。


コメント
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