映画公開を知ってすぐに「観なくちゃ」と思いながら前売券を買いそびれ、割引券を常に身近に持ちながらも先回しにしてしまっていたら、かかっている劇場も少なくなり、上映も1日1回になってしまっていた。今日でもよかったんだけど、予定を一つ諦めて劇場へと向かった。
『あぶない刑事』のTVドラマが放映されたのは30年前、僕が高校生の頃だった。『太陽にほえろ』とも『西部警察』とも違う、スタイリッシュさが新鮮で、すぐに虜になった。柴田恭兵さん演じるユージの、特徴的な銃を持つ姿をまねたりしていた。社会人になってからカラオケでよく歌ったのは、舘ひろしさんの『冷たい太陽』ではなく『泣かないで』だったけど…
彼らが乗っていた車は、ゴールドツートンの日産レパード。トヨタソアラの人気に隠れてしまったけど、美しい線で構成された憧れの車だった。広告に登場するダークブルーツートンを使わなかったというところにこだわりを感じたりもした。
舘ひろしさん演じる「ダンディー鷹山」と柴田恭兵さん演じる「セクシー大下」のスタイリッシュでお茶目なコンビの魅力はもちろんのこと、いつもはっちゃけている真山薫というキャラが好きだった。浅野ゆう子さんと共に「W浅野」と呼ばれた「トレンディさ」…って死語かな?…が魅力だったけど、この作品ではコミカルで可愛らしいキャラを楽しんで演じられていたようだった。『いつか陽のあたる場所で』や『学校のカイダン』など最近のドラマではシリアスな役柄を演じられることが多かったので、久しぶりにはじけた彼女が観られるのも楽しみだった。
ドラマはほとんど視ていたけど、映画は第1作しか観ていなかった。だから、熱狂的なファンという訳ではないけど、若い時に忘れてきたものを取り戻したいという気持ちを脇に置いてスクリーンを見つめた。
ところどころに理屈っぽさを感じるのは、以前のような無茶苦茶さが許されない時代だからなのだろうか。派手な銃撃シーンや凄惨な事件現場などを描くのと引き換えに入れられたような不自然さを少し感じた。
タカとユージのコンビはカッコよく、設定上の年齢、そして実年齢を全く感じさせない。「さらば」なんて言わずにいつまでも走り続けてほしいと思うものの、終わりが避けられないのならカッコいいうちの方がいい。
薫のはっちゃけぶりも期待通りだった。シリアスな浅野温子さんもいいけど、これからもたまにはこういう役を演じてほしい。
トオル課長は…やっぱり、課長といえば中条静雄さんが演じられた近藤課長だよなって思わせてくれたところが凄いと、改めて思う。
ゲスト的な位置付けの吉川晃司さん、この作品のためにバイクの練習を積みケガも負われ、それでもこの役を全うされたことをパンフレットを読んで知り、彼がこの作品に出てくれたことを嬉しく思った。
そしてもう一人、鷹山の恋人を演じた奈々緒さんはとても可愛らしかった。ちょうど前日にドラマ『怪盗山猫』の最終回で彼女の魅力に触れたこともあったけど… ネタバレになってしまうけど、彼女にはタカと結ばれてほしかったな。。
「さらば」というのは淋しいけど、この映画を観て『あぶない刑事』を同時代で楽しめたことの贅沢さを噛み締める。