あしたはきっといい日

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口から出る言葉は

2015-12-08 23:31:25 | 本を読む
先日、劇作家 前田司郎さんのエッセイ集『口から入って尻から出るならば、口から出る言葉は』を読んだ。

今年1月から読み始めた東京新聞に、3月まで前田さんのコラムが連載されていて、興味深く読ませていただいていた。中でも、「暴力以外の解決を」、「お母さんを責める前に」、そして最終回の「せめて隣人を許容する」は、声高にではなくとも、読む者の心の奥に伝わるものだった。

この本は、東京新聞に連載されたコラムのほか、さまざまな媒体に掲載された前田さんのエッセイが集められている。その言葉は、作家によるものというよりも、僕らに近いものに感じられた。だからだろうか、時間はかかったものの、すんなりと読み進められたように思う。そして、彼が脚本を担当した『徒歩7分』などのドラマ作品の場面が頭の中でうっすらと重なった。

そして、「僕がカメラを集める理由」と題された「小説」を読んでいて、僕自身がカメラを購入した時のことを思い出した。この中に、僕も持っている「コンタックス」のことが書かれていたからだ。高校に入った頃、母に無理を言って買ってもらったのが「CONTAX 139 QUARTZ」というカメラと「Planar 50mm f1.7」という組み合わせだった。今も変わらずだけど、当時もカメラといえばニコンかキヤノンという中で、周りの人が持っていないということに対する優越感や「ツァイス T*レンズ」の描写力(というコピー)に憧れを感じた。そして、その前に使っていた、祖父からもらったカメラが、当時コンタックスブランドでカメラを製造していたヤシカ製だったということもあったと思う。

このカメラのことを更に書こうと思ったけど、それは別の機会に改めるとして、この話のほか、カメラに関する前田さんのエッセイを読んで、やはり彼が脚本を書いた『お買い物』を思い出し、こんなことを思う人だからこその作品なんだなと、改めて思った。

前田さんが創る芝居をまた観に行きたいと思いつつ、なかなかその機会を作れていない。でも、その時が来たら、僕の意識の底に定着したこの本のことが、何らかの化学反応を起こすんじゃないかと楽しみにしている。でも、実際に芝居を観るときには、そのことを意識しないでいたい。




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