あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

まほろば

2012-04-18 23:34:24 | 芝居に魅せられる
先週の木曜日、新国立劇場の舞台『まほろば』を観た。

ところは九州の田舎町。祭りの日に男たちは神輿を担ぐために家を出払っている。そして、その家には留守を守る女たち。
そこに、東京で一人暮らしをする40代の娘が帰ってきて、物語が動いていく。

登場人物は10代から70代までの6人の女性。それぞれの世代を凝縮したのかな…と思えるような、それぞれのキャラクターだった。

「祭り」が象徴する、男系社会や旧来的な考え方に対し、彼女たちは見えない糸で柔らかく、それでいてしっかりと縛られている…という重苦しさがどこか漂うように感じられた。それは、時に掛け合いのようなせりふ回しによる小気味良さと、そのせりふに込められた「毒」のようなものが放つ空気もあってのことだったと思う。

それは、子どもを産むか産まないかという選択に凝縮される。妻子ある男の子を宿した姪に対し「産むべきだ」と言う彼女は、「閉経だ」と思っていたのが実は自分も妊娠していたと知ると「産みたくない」という。娘に対し女手一つで子どもを育てる苦労を説く彼女の妹自身も、親のわからない娘を産み育ててきた。そんな彼女の言葉を受けた娘の気持ちを思うと、辛い。

そういう僕も、子どもが欲しかった。いや、今でも欲しいが、もうそろそろ諦める歳になってしまった。「子どもが欲しい」という言葉は自然な気持ちから出るものだと思うが、女性にとっては時に辛い言葉になる。飛び交うせりふの先に、先日観た映画『KOTOKO』の子育てに苦しむ主人公が重なった。

Wikipediaによると、「まほろば」とは「素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味の日本の古語だそうだ。男たちにとっては、祭りに興じ、その後酒を煽り楽しむその場所はまさにそうした所なのだろうが、一方、女性にとっての「まほろば」はどこにあるのだろうか。

まあ、そんな難しく考えずに、ざっくばらんにそんな話ができたらいい。子どもを欲しくない人に無理強いすることもないけれど、子どもが欲しい人には授かってほしい。それくらいなら、無言の圧力にはならないだろうと思う。何だか舞台の感想という感じではないけれど、まあ、ざっくばらんに…
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