午後、出かけようと思ったら具合が悪くなり、諦めて横になっていた。是枝裕和監督と写真家の川内倫子さんとのトークイベントを楽しみにしていたのだが、映画『奇跡』を観て、それから行くには地震がなかった。
夕方になり、ふとあることを思い出した。昨年秋に『瀬戸内国際芸術祭』を訪れた際、大島に行く船までに時間ができたので、高松の栗林公園に行った。そこで、渡辺光朗さんという香川漆器の工芸士の方が実演をしていて、その作品のデザインに斬新さを感じて、しばし話をしながら作品を手にとってはじっくり眺めていた。結局買わずじまいだったが、「毎年、池袋に展示実演しに行く」と伺い、僕の住所を知らせその場を後にした。
先日、その展示実演の案内状をいただいた。先週初めに東武百貨店に用事があり、会場の全国伝統的工芸品センターに寄ろうとしたが、あいにく19時までで閉館してしまい、そのままあれこれ忙しさにかまけて半ば忘れてしまっていた。が、思いだすと体調はそっちのけで着替えを済ませ家を出た。
会場に入ると正面に渡辺さんがいた。すでに先客がいたところを「昨年、栗林公園で…」と話すとすぐに思いだしてくれた。先客の方は新潟から東京に来ていてたまたま昨日ここに寄り、渡辺さん作のぐい呑みを買い求めたという。そして、そのぐい呑みでお酒を飲んだらおいしかったということをわざわざ渡辺さんに報告に来たそうだ。
今日もあれこれ作品を眺めながら、「どんなものが欲しいの?」と尋ねられ、「日常使いができるもの」と伝えると、ぐい呑みを進められた。手に取ると、滑らかな手触りと軽さが気に入り、即決した。アテ用の小皿も一緒にいただくと、おまけにしゃもじをいただいた。
たぶん、次回の芸術祭は3年後になるだろう。その前にまた訪れたいと伝えると、ぜひ寄ってくれと笑顔で応えてくれた。大島の『カフェシヨル』にもまた行きたいし。まあ、その時も一人旅なんだろうから、気楽に行けばいい。