高野 和明 著 「幽霊人命救助隊 」を読みました。

受験を苦に自殺してしまった予備校生の幽霊に神様が言います。
「49日以内に100人の自殺志願者の命を救うことができたら、天国に行かせてあげよう。」
頼みの綱は、3人の仲間と神様からもらったいくつかの小道具。
過酷なサービス残業を強いられてうつ病になった人、愛情に飢えたまま育ち、社会の欺瞞や批判から自分の心を必死に守る人、消費者金融に手を出して借金地獄に陥った人、銀行の貸し剥がしに合い会社が倒産して莫大な負債を負った人・・・。
一人、また一人と苦労して助けていくうちに、幽霊達自身も、孤独・貧困・いじめ・借金苦・失恋など人が死ぬ数々の理由や、人間の弱さや強さ、命の尊さに気付いていく・・・。
救助隊のメンバーが予備校生、ヤクザの親分、中小企業の社長、暗い雰囲気の若い美女の幽霊。
しかもそれぞれ生きていた時代が微妙に違うので、話がかみ合わなかったり、なつかしい流行語が飛び出したりと笑える場面がたくさん出てきます。
そんな、あり得ない設定の中に、自殺志願者の動機および背景などの現代の世相がリアルに浮かび上がってきます。