梁石日(ヤン・ソギル)著「闇の子供たち 」を読みました。
舞台はタイ。
ヤイルーンは8歳のときに、実の親に売られて、タイ北部の貧しい山岳地帯の村からバンコクに連れて行かれた。
両親は娘を売った金で冷蔵庫とテレビを手に入れた。
ヤイルーンは日本や欧米などの世界中の富裕層が集まる売春宿に連れて行かれ、大人たちの性的玩具にされていた。
1年後、エイズを発症したヤイルーンは商品としての価値を無くし、食事も与えられず、ゴミ袋に入れられて、処理場に捨てられる。
そして、ヤイルーンが売られたその2年後、今度は8歳になった妹のセンラーが売春宿に売られる事になる・・・。
この小説はタイを舞台に幼児が売春宿に売り飛ばされ、挙げ句生きたまま臓器売買されるというショッキングな内容と並行して、それを阻止しようとする現地NPO団体の苦悩を描いたものです。
アジアの最底辺で行われているもの。
後を絶たない人身売買や児童買春、そして臓器提供の真実。
一見残酷そうに見える一方で、明日の希望も見出せない人々の魂の叫び。
モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作です。