東 直己 著 「熾火」を読みました。
私立探偵・畝原は、足許に突然縋りついてきた少女に驚きを隠せなかった。
彼女は血塗れで、体中が傷ついていたのだ―。
言葉も発することなく意識を失った少女。
だが、収容先の病院で、少女を狙ったと思われる人物たちに、畝原の友人・姉川が連れ去られてしまう。
何かを隠すような警察の捜査と少女の疵跡は、何を意味するのか。
姉川を救うため、畝原は恐るべき犯人と対峙する。
探偵・畝原シリーズ。
これでもかと言うくらいに人間の汚い部分、組織の汚濁にまみれた部分を洗い出す。
幼児虐待やスナッフ・サイトなど人間の暗闇が日常を浸食することを。
そして市民の盾となるべきの警察の腐敗や不作為を。
重いテーマとあまり愉快でない描写が続く作品ですが、読み応えは充分です。