池上司 著 「雷撃深度一九・五」を読みました。
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昭和20年7月16日、110余名の乗員と人間魚雷回天を乗せた伊五八潜水艦が呉軍港を出港した。
フィリピン東方を通過する敵艦船をグアム―レイテ線上で撃沈せよとの特命を受けた倉本艦長は、宿敵マックベイ大佐と太平洋戦争における艦艇同士の最後の闘いに挑む―。
池上司の潜水艦を舞台にした作品を読むのは「ミッドウェイの刺客」・「無音潜航」に続いて3作目です。
この作品は映画「真夏のオリオン」の原案となったとのこと。
1945年、アメリカ本土から原爆を運ぶ米海軍巡洋艦インディアナポリスを、日本海軍の伊58号潜水艦が撃沈した史実に基づき、日米の双方の視点から描いたものになっています。
著者の後書によると、「半分が史実」、残り半分は架空の設定や筋運びであるとの事。
米軍側は史実の人物が登場し、日本側はほぼ架空の人物に置き換えてあるそうです。
制空権をもち優秀な対潜兵器を備えた巡洋艦に対し、潜水艦がいかに対抗するのか?
潜水艦においては限られた情報しか得られない中での判断が生死を分ける苦悩
狭くてろくに酸素が供給されない悪条件の艦内で長時間耐え続けなければならない苦しさ
伊58号潜水艦vsインディアナポリスの戦いの描写は迫真に迫るものがあります。
本作も期待通りの作品で面白く読ませて貰いました。