ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

凛として

2007-03-11 | 日々のこと。



春のお出かけ第一弾ということで、志村ふくみさんの紬織りを見に滋賀県立近代美術館へ行ってきました。
行けるときに行っておかないと、と常々おとーさんから言われていたのですが、確定申告を提出し、次女の高校入試が終わってから、と心に決めていたのです。先週ようやくどちらも済んでやれやれ・・・と思う間もなく、次から次へといろんなことがあって、ブログも書く気になれないほど凹んでました。
このままではいけないなあ、と、気分転換のつもりでヨッコラショと重い腰を上げました。

京都行きの電車に乗ると、窓の外の風景が遠ざかるにつれ、さまざまなしがらみから開放されていくようです。

前日から風邪で熱を出しているおとーさんのことも(まあ37度台だし)、
次女の中学校最後の親子行事のことも(ペンキ塗りでしたが、去年は出席したし)、
期末テスト中の長女のことも(私の替わりに家事をやってくれたそう)、
わがままばかり言ってる介護の必要となった義父のことも(義母がいるし)、
明け方実家の父の電話で「母の具合がわるい」と言われたことも・・・(さすがに行くのをやめようかと迷いましたが、結局たいしたなくて安心しました)。
しかし、1日出かけるだけなのに、何と大変なこと。


滋賀県立近代美術館へ行くのは初めてです。なんとなく「琵琶湖の見える美術館」というイメージを持っていたのですが、残念ながら山の中。けれど、大学や公園、図書館もあるこの一帯はとても広く静かで、家族でお弁当持ってきてのんびり遊びたいような所です(実際そんな家族も見受けられました)。お天気がよかったので、美術館までの道のりも気持ちのよい散歩コースでした。

美術館自体も広々として、ゆったりした雰囲気。そこに凛とした表情で、志村さんの作品は展示されていました。
志村ふくみさんの紬織りを、こんなふうにまとめて見たのは初めてです。会期中2回の展示替えをされるらしく、第1期「源氏物語Ⅰ」、第2期「源氏物語Ⅱ」、第3期「桜の季節を迎えて」ということでした。私が見たのは「源氏物語Ⅱ」。

初期の格子などは素朴で愛らしい感じを受けますが、源氏物語に出てくる女性をイメージした作品になると洗練されててとても美しいものでした。「明石」は白を基調に水色を配し、海のイメージと明石の君の慎ましやかでどこか物悲しい雰囲気が漂います。「花散里」は薄いピンクと紫の微妙な色合いが美しく、見飽きることがありませんでした。

2月に「新日曜美術館」で紹介された作品もありました。「梔子熨斗目」の鮮やかな黄色。「蘇芳無地」の志村さんが「他の色を受け付けない」と言われた赤。こうやって見ていると、様々な色のなんと贅沢なこと。

ただ、期待していたよりも作品が少ないように思われました。見たかった作品もいくつか展示されてなくて残念。3期とも見ればかなり満足いくのでしょうが。
しかし、今回最近志村さんが始められた、はぎれのコラージュや屏風が展示してあり興味を惹きました。「新日曜美術館」でもそのことを取り上げ、ずっとしまってあったはぎれが新しい作品になったことの喜びを志村さんが語っておられたのです。そのコラージュはまるで現代絵画のようにリズミカルで楽しげです。80歳を超える志村さんに、こんな若々しい感覚がおありだなんて、と感心せずにはいられませんでした。

今は亡き洋画家の三岸節子さんも、ターシャ・テューダーも、そして志村ふくみさんも、私の好きな女性はみんな、年老いてもなお前向きで、自分の好きなことを一途に貫いて生きておられます。
そんな凛とした姿勢が生き方や作品にも反映され、こんなに人を魅了するのでしょうか。
帰りに志村さんのエッセイを一冊買いました。
これで元気になれるかな。
コメント (2)
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