『しゃばけ』
畠中 恵
ある日図書館のIさんが「これ、おもしろいですよ」と薦めてくださったのがこの本です。
私もIさんも梨木果歩のファン。
そのIさんがおもしろいと薦めてくれるということは・・・
時は江戸。
一太郎は大店廻船問屋長崎屋の若だんな。
一人っ子の跡取りともなれば両親から溺愛されているわけですが、どういうわけか小さいときから身体が弱く、そんな彼のために薬を求めるうち薬種問屋も営むほどに。
その若だんなの世話を焼くちょっと変わった手代、仁吉と佐助。
実は彼らは一太郎の身を案じた祖父が連れてきた妖<あやかし>だったのです。
ということで、この本にはそういった類のものたちがごく自然に出てきて(一太郎にしか見えませんが)、若だんなを見守っています。
この若だんな、身体は弱くてすぐ寝込んでしまうけれど、意外に機転はきくし性根もすわってて、なにより優しい。
妖たちは個性的で愛嬌たっぷり
内容は、偶然人殺しを目撃した若だんなが事件に関わっていくわけですが、実は狙われていたのは自分であり、自分の生い立ちまで関係していることがわかります。
早く犯人を見つけなければ次々と人が殺され、おまけに若だんなの身も危ない、ということで妖たちが聞き込みをしていくと意外な事実が・・・。
文章のはぎれがよく、犯人探しも一風変わってて、気軽に読める本です。
私はこういった「物の怪」とか「妖怪」なんかが出てくる話が好きです。
ホラーじゃなくて、日本古来からいたこういう異界の者たちに興味があるというか・・・。
たぶんほんの100年ほど前には、私たちの生活の中にこういったものたちがもっと身近にいたのではないかと思うのです。
今の世の中、夜になっても暗闇なんかなくなって、物の怪や妖怪たちの居場所(必要性?)を失ってしまったのでしょうね。
今でもこういうものたちが出てきたら楽しいだろうなあ、と思うのは私だけ?
*娑婆気・・・俗世間における、名誉・利得などのさまざまな欲望にとらわれる心
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