『天と地の守り人 第二部』
上橋 菜穂子
3月に入ってから、何かと慌ただしく過ごしています。
いつもならブログを書くことでストレス解消をしている私も、書くと愚痴になりそうで、そう思うと書く気にもなれず鬱々と日々を過ごしていました。
そんなとき私の逃げ場になってくれているのが、この守り人シリーズです。
シリーズ8作目となる『天と地の守り人 第一部』を読んでから、もう一度はじめから読み直そうと『精霊の守り人』、『夢の守り人』、『虚空の旅人』、『蒼路の旅人』と読み返しながら『天と地の守り人 第二部』を読みました。
なんとまあ壮大なファンタジーでしょう!
理由あって幼いときに故国から逃れ、女用心棒として生きるバルサの視点と、皇太子として生まれ、己の自由より民の命を第一に考えるようになったチャグムの視点。今まではそれが別々の物語として語られてきましたが、ここにきて大きなうねりとなり、ひとつの大きな流れに向かっていきます。
シリーズ第一作となる『精霊の守り人』を書かれたとき、そこまで考えておられたのかどうかわかりませんが、すべての物語がこの終結へと向かっていくためにあったのか、と納得できるほどの構成力です。読み返して、改めて作者の持つ世界観の確かさを感じました。
そして現実逃避でファンタジーを読んでいた私が、主人公たちの逃れられない現実を疑似体験し、そのことが私に自分の現実と向き合う力のようなものを与えてくれるのです。
ああ、今日はもう疲れた・・と思ったときはこの本の中に逃げていきます。でも、そこで別の世界を体験したら、またこちらに戻ってこられるのです。それこそがファンタジーの力なのかもしれません。
ひとつひとつ目の前の困難を切り抜けていくチャグム。そんな彼を母親のような思いで守ろうとするバルサ。それぞれの国の思惑と駆け引きが絡まりあって、はらはら、どきどきの連続です。そして国同士の危機だけではなく、迫り来る異世界<ナユグ>からの危機。
それぞれに、どんな結末を迎えるのか、最終巻が楽しみです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます