ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

猛暑を乗り切る読書

2023-08-22 | 読むこと。
8月も下旬に入ったというのに、まだ猛暑が続いています。
東京の猛暑日が21日となり過去最多というニュースがありましたが、
私の住んでいるところはとっくにそれを超えまだまだ更新中・・・

暑さが大の苦手な私は、夏は家にこもっているので楽しみといえば読書です。
本に夢中になれば現世の暑さも忘れるというもの。
最近は老眼が進んだのか文字が読みづらく、以前のように長時間集中できないのが
残念なのですが・・・

猛暑を忘れさせてくれる本の条件は、とにかくおもしろいこと!
そして、できれば趙大作とかシリーズもので、その物語に長く没頭できること。

ということで、今年の猛暑を忘れさせてくれたのがこの3冊。







『村上海賊の娘 上・下』  和田竜

10年ほど前に話題になった作品で、機会があれば読もうと思いながら・・・
大河ドラマの『どうする家康』を見ていて、戦国時代を違う視点から眺めてみたいと
いうのもあって今回ようやく手に取りました。
が、読み始めて主人公・景のキャラが、なんというか、いかにも男性が描いた女海賊だな~、と
引いてしまって途中で読むのをやめてしまったのです。
でもまあ、せめて上巻だけでも・・・と数日後読み直したら、史実に基づいた設定で描かれた登場人物たちが
個性的でだんだんおもしろくなり、海戦の様子も迫力があって下巻は一気に読んでしまいました。

信長が手を焼いた大阪本願寺攻め、孤立する本願寺に兵糧を送るか信長につくか苦悩する毛利家、
村上海賊や泉州の海賊たちの駆け引きなどなど、戦国時代をこれまでと違う視点で読めたのも
おもしろく興味深かったです。
史実に忠実でありながらも登場人物のキャラ設定では遊び心満載で、これは映画やアニメに向いてるな~と
思っていたら、すでにコミックになっているようでした。納得。



『聖餐城』  皆川博子

90歳を超えてなお旺盛な執筆活動をされている皆川博子氏。
その彼女に興味を持って読んだのが本格ミステリ大賞を受賞した
『開かせていただき光栄です』のシリーズでした。
まず驚いたのは、18世紀のロンドンの様子をまるで知っているかのように詳細に描かれていたこと。
それと、(失礼ながら)彼女のお年と物語の内容のギャップにもびっくりでした(笑)

そして、この作品。
ひとことでいうと、ドイツの30年戦争を舞台に、自ら傭兵になることを選んだアディと
異形の宮廷ユダヤ人イシュアという、全く違う世界に住むふたりの友情と成長の物語、
ということなのでしょうが、もちろんそんなタンジュンなものではありません。
この作品もまた、その時代を生きてきたかのようなリアリティ溢れる描写で、
当時の様子ー財力で台頭するユダヤ人や、そのユダヤ人を利用する権力者、
様々なタイプの傭兵たち、差別される刑吏などが描かれとても興味深いです。
(つい、子どもたちの古い世界史の教科書なんぞを引っ張り出してしまいます)
これを読むと、あまりなじみのない30年戦争ですが、宗教の対立から始まった戦争が
結果的に周辺諸国の干渉によりドイツの分断、荒廃をまねいた様子が
とてもよく理解できます。

戦争が舞台なので、戦争のシーンはたくさん出てきます。
勝てば傭兵たちが略奪や暴行を繰り返すことが当たり前だった時代。
それがまたリアルで迫力があり、正直言って目をそむけたくなるほどでした。
以前なら、これは「物語の中のできごと」として読めたものが、今ではこの世界に
似たようなことが起こっているのだ、と知ってしまったからでしょうか・・・

それでも、その「当たり前」を拒み続けたアディと、そんな彼を一生支え続けたイシュア。
そんなふたりが歴史の舞台において淡々と描かれているのですが、う~ん、
もうちょっと深掘りしてほしかったかも・・・
あと、聖餐城の秘密や錬金術に関しても、少し物足りなかったかな。
とはいえ、読み応えのある壮大な物語で猛暑を忘れさせてくれました。



それにしてもまだまだ暑い日は続きそうです。
涼しくなったら読もうと、次の作品がスタンバイしているのですが・・・
いつになったら読めるかなー








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