熊本熊的日常

日常生活についての雑記

「今宵、フィッツジェラルド劇場で」

2007年03月08日 | Weblog
楽しいのに哀しい話だ。「老人の死は悲劇ではない」という台詞があるのだが、この作品を一言で表現するとこうなるかもしれない。この台詞が語られた時、映画館の客席全体が溜め息をついたような感覚に襲われた。平日の昼間、客席は8割ほど埋まっていたが、おそらくその殆どがシニア料金の人々だ。スクリーンの向こうとこちらが一体となったような空間が生まれたと感じた。コメディなので台詞にはジョークも多い。字幕はそれを巧みに訳出している。しかし、客席は静寂につつまれている。それがスクリーンで展開されている物語の哀しさを際立たせるのである。作品と客席が一体となって新たな空間を生み出す映画というものを体験できたことに感動した。