熊本熊的日常

日常生活についての雑記

読書月記2019年1月

2019年01月31日 | Weblog

永田和宏『歌に私は泣くだらう 妻・河野裕子闘病の十年』新潮文庫

読みかけの本があったのだが、それを差し置いてこちらを一気に読了。歌という言葉のエッセンスを追求する世界の人の書くものに、言葉の無駄があるはずもなく、すっと引き込まれた。内容に関しては私のほうの言葉がない。自分は老妻と二人で日々を過ごしており、当然にどちらかが先に逝くわけだが、そのことについて何の心がけもできていない。ただただ残された時間の平穏を祈るばかりである。それではいけないとは思いつつ、何から手を付けてよいのかわからない。

 

河野裕子・永田和宏『たとへば君 四十年の恋歌』文春文庫

夫婦の相聞歌集。歌は制約も多く、三十一音で何を語ることができるのだろうと、私は思ってしまうのだが、そういうものではないらしい。約束事があるからこそ、三十一音は俗人の会話の三十一音とは比較にならないほどの豊穣な表現ができる、らしいのである。歌を詠む人ならば、本書を読んで、この夫婦の感情のやり取りが手に取るようにわかるのだろう。そこに感動もあるかもしれないし、表現上の勉強といった全く違った読み方もできるのかもしれない。私の場合は字面の表面を追うので精一杯だ。とりあえず、今回は置いておき、後日再読することにする。

それにしても、身近な人の看取り、自分自身の始末というのは日に日に大きな問題になりつつある。物心ついてから今日まであっという間のことだったが、ここからあの世までの距離はその半分あるかないかだろう。「たとへば君」どころではない。「おい君」「こら君」というくらいの切迫感だ。しかし、だからといって何か行動を起こすことができないのは、己の無能の所為だ。困ったものである。

 

斎藤茂吉『万葉秀歌(上)』岩波新書

万葉集から著者が秀歌だと思うものを取り上げて解説を加えている。一生懸命読んだつもりだが、何が良い歌で何がそうでないのか、というあたりが素人には皆目わからない。或る程度の知識とか経験とか感性があれば、いちいち成程と感じながら読む本なのかもしれないが、そういう人たちが当然に共有していると思われる決まり事のようなものを共有せずに結論だけ聞かされてもなんのことやらわからないのである。哀しい。しかし、しばらくは諦めずに食らいついてみたい。



あれから1年 デビットカードの二重引き落とし

2019年01月10日 | Weblog

1年前のことである。都内某所で或る食料品を購入し、デビットカードで支払いをした。店の人が端末操作で少しまごついて、カードを機械に読み取らせる動作を2度行った。しかし、こちらがサインをしたのは一回だけだったので、その場はそのままにして店を後にした。そのカードは決済の度にメールが届く。同内容のメールが2通届いた。家に帰ってからその銀行のサイトにアクセスして入出金を確認すると二重に引き落とされていたので、銀行あてに問い合わせのメールを出した。その返信は以下のようなものだった。

お問い合わせいただきまして、ありがとうございます。
XXX銀行カスタマーセンターでございます。
このたびはSSSS Bank WWWWWWのお引き落としの件で、お客様にはご心配おかけしております。
お問い合わせの件につきまして、回答させていただきます。
SSSS Bank WWWWWWをショッピングでご利用された場合、XXX銀行には、最初に「利用データ」が到着し、その後、請求金額が確定した旨の「売上確定データ」が到着いたします。
デビットカードの特性上、原則、「利用データ」が当社に到着した時点で、即時お引き落としを行っておりますが、なんらかの理由で加盟店にてお取引が不成立となったばあい、「キャンセルデータ」が当社に到着次第、返金処理をしております。
こちらで確認いたしましたところ、お問い合わせいただきました2018年1月10日の加盟店「ZZZZ」でのご利用分(承認番号:******)につきましては、本日(2108年1月11日)現在、「キャンセルデータ」ならびに「売上確定データ」は到着しておりませんでした。
二重決済などなんらかの事由により、お取り引きのキャンセルが必要となった場合、「キャンセルデータ」が当社に到着次第、返金処理を行いますが、加盟店によっては、「売上確定データ」をカード会社へ送信しないことで、お取り引きを不成立とする場合があり、その場合は返金処理までに日数がかかることがございます。
「キャンセルデータ」を送信しない加盟店において、お取り引きが不成立となった場合、当社では「利用データ」が到着してから、45日程度経過しても「売上確定データ」が到着しないことを確認のうえ、普通預金口座への返金処理を行っております。
お客さまにはお待たせすることとなり、申し訳ございませんが今しばらくお待ちいただくか、返金をお急ぎの場合は、ご利用の加盟店へ「利用データ(オーソリゼーション)」に対する「キャンセル(返品)データ」を送信いただくようご依頼ください。
何卒、よろしくお願いいたします。

以上から判明したことが大きく2つある。

1)決済時のサインは意味がない:本件について2重に伝票が出ているが、私がサインしたのは片方だけである。

2)データに不明な点がある場合、カード利用者よりも加盟店の利害が優先する。利用者は不審を覚えても、それをクレームしない限り取り合ってはもらえない。加盟店は自動的に入金を得る。

近頃、「キャッシュレス化」ということが喧しく言われるようになったが、当然起こりうる端末操作のミスなどで発生する事案に対してはどのような対応になるのだろうか。大前提として「機械は間違えない」という発想があるように思うのだが、機械を操作するのは人間だ。

結局、カード利用者としては、相手を見て決済手段を選ぶという自衛策しかないように思う。端末操作が怪しい相手なら、カード決済は即中止してもらって現金で払う。それが最も有効な対応だと思う。今回の事案の加盟店は、そこの製品を気に入って使っているので、この事案の後も相変わらずそこの製品を愛用している。但し、購入に際しては現金決済だ。

あれから1年。結局二重引き落としのまま現在に至っている。