先日、総務省情報通信政策研究所調査研究部というところから「ブログの実態に関する調査研究の結果」という資料が公表された。これによると2008年1月現在、日本語で提供されているブログサイト等を通じて公開されているブログの数が約1,690万件だそうだ。これを記事総数で見ると約13億4,700万件、データ量では42テラバイト、うちテキストデータが12テラバイトだという。このうち、月に1回以上、記事が更新されている「アクティブ」なブログは約308万件、記事総数5億6,800万件、テキストデータ量5テラバイトである。件数では全体の18%、記事数とテキストデータ量ではともに約42%である。世の中のブログ総数は増加を続けているが、アクティブブログは2005年半ばあたりから300万件前後で横ばいである。
約300万件というアクティブブログの数が多いのか、それほどでもないのか、見方は様々だろうが、そのなかに収益目的で企業が運営するものや、同様の目的で企業から個人に委託されたものが相当数あるはずなので、この「熊本熊的日常」のような純粋道楽サイトで、しかも毎日更新というのはそれほど無いと思う。よほどの変わり者でもない限り、何のインセンティブもなくこんなものを毎日書いたりはしないだろう。
世間の目で見て、とてつもなく馬鹿馬鹿しいことを毎日なにかしらやってみたいという思いが、何年も前からある。明らかに馬鹿馬鹿しいというのではなく、一見すると何の変哲もないごくありふれた日常生活のように見えて、実は、「何やってんだぁ!」という、微妙な外し方に憧れるのである。今、思い返してみて、印象深いのは、少し早起きして、出勤前に若冲を観に行ったことである。
「少し早起きして、出勤前に若冲を観に行く」と聞いただけでは、ただ「ふーん」と思われるだけだろう。しかし、当時、私は都内に住んでいて、その若冲展が京都の相国寺で開催されていたのである。これなら「何やってんだぁ!」と思われるだろう。この時は、東京発7時58分ののぞみ9号に乗って、京都へ行き、相国寺に着いてからチケットを買うのに30分ほど並び、入場までにさらに30分並び、会場に入場した後も所々の展示室前で入場規制が敷かれていたので、作品と対面していた時間は実質15分ほどだった。結局、京都発13時9分ののぞみ18号で東京へ戻り、午後4時の始業には間に合った。わずか15分ではあったが、その15分間は自分がそこにいることが、実にまっとうなことをしているように感じられて、愉快であった。
ところで、ブログのことだが、これは、とにかく毎日更新を続けたいと考えている。昔観た「フォレスト・ガンプ」という映画のなかで、主人公がひたすら走り続けて、ある時、唐突に走るのを止めてしまうという場面があった。あんな感じで、毎日更新を続けて10年くらいしたら突然止めてみたいのである。