熊本熊的日常

日常生活についての雑記

一期一会

2013年12月07日 | Weblog

噺を聴きたいから切符を予約してまで買うわけで、当然、そこには噺あるいは噺家に対する期待というものがある。期待に違わなければ、そこそこに良い心持ちで会場を後にできるし、そうでなければ、特に自分にとって足の便が悪い会場だったりすると、もう遠いところの切符は取らないようにしようなどと考えるものである。今日はそのいずれでもなく、満足を超越した喜びがあった。噺というのは、噺家の技量のようなものに左右されるのは当然だろうが、落語会というのは生身の観客のあることなので、観客の側の力量のようなものも問われることになると思う。あまり落語オタクのような奴ばかりでも気持悪いだろうし、「落語=滑稽話」という固定観念しかないような奴ばかりだと、そういう観客のなかのひとりに見られる自分が恥ずかしかったりする。うまく説明できないのだが、今日は舞台と客席の両方の取り合わせが良かったように感じた。出演した4人ともに熱演している雰囲気があったし、客席もそれに応える雰囲気があり、シンクロしている感があった。舞台から10列目くらいの壁際のほうで、隣の席の奴にいちいち噺の解説をしながら聴いている野暮天爺がいたが、そんな野郎も気にならないほどのいい空気が漂っていた。嬉しいことである。

本日の演目
 「辰巳の辻占」 柳亭こみち
 「三井の大黒」 入船亭扇遊
 (仲入り)
 「掛取」 古今亭志ん輔
 「転宅」 柳家小三治

開演:18時00分頃  終演:20時30分頃

会場:府中の森芸術劇場 ふるさとホール