熊本熊的日常

日常生活についての雑記

ポイントだらけ

2016年03月01日 | Weblog

世にポイントだらけだ。大型資本の小売チェーンから街の個人商店に至るまで、日常の購買行動にポイントが伴わないものがどれほどあるだろうか。ポイント、マイル、呼び方はいろいろあるようだが、利用頻度や売上の多寡に応じて販売価格を調整する仕組みだと理解している。そういう仕組みがなくとも、得意先やご贔屓には多少の優遇をするというのは、たぶん昔からあったことだろうし、一物一価でなければならない法などないのだから、そういう仕組み自体についてとやかく言うつもりはない。ただ、ああいうものをちらつかされると少しでも多く点を稼ごうと思ってしまう。点数に反応するというのは万物がデジタル化された近代社会に生きる人間の条件反射のようなものだろうか。その反射的行動が酷くなると中毒のような症状を呈し、必要でもないものをポイント欲しさに買い込んでみたりするようになる。

何を買うかにもよるだろうが、たぶん、自分の生活動線上にある顔見知りの店で買い物をしたとしても、世辞にのせられて余計なものを買ってしまったりすることはあるだろう。それでも、お互いに相手がどのような人なのかを見知っていれば、ポイントカードのような仕掛けを作らなくとも、繰り返し利用することになるのではないか。何事かをデータとして記録してしまうと自分のなかには記憶されないものである。ポイントという制度を作ることによって、買い物で商店の側の人間と客の側とが顔見知るという行為が外部化するのである。日常の生活のあらゆるものが、無機的なものになって背後にあるはずの関係性が乾いたものになっていく。その乾きがなんとはなしに不快なものに感じられるようになってきた。

昨年はSNSのアカウントを殆ど削除したら、気持ちがよかった。そこで、今年はポイントを一切気にしないことにしようと思う。いまのところは、やはり清々とした気分だ。