今日聴いた落語会でも、冒頭に出演者全員によるおしゃべりがあった。落語会のなかで出演者たちの雑談のようなコーナーが入るのは珍しいことではない。会の最初にそういうコーナーが入ると、それぞれの噺ではまくらが短くなる傾向があるように感じていたが、今日はそれぞれの噺にもそれぞれにしっかりとまくらが付いた。まくらの位置付けは同じ噺家においてすら一様ではないのだが、まくらも噺も面白い噺家というのはそれほど多くない気がする。たいがいはまくらのほうが面白くて、噺に入ると「ん?」と思う。まくらもいまひとつとなると、「あなた、よくそれで高座に上がれますね」ということになる。堂々と恥をかくことができるのも芸のうち、と言われれば、そうかもしれない。
自分の人生が最終局面を迎えている所為もあるのだろうが、このところ連続性ということが妙に気になっている。自分自身はそう遠くない将来に生命活動を終わる。当事者としてはいろいろあった人生だとは思うのだが、傍目にはゴミとかホコリのような、あるいはそれ以下のようなものでしかない。つまり在ることと無いことの境目は実にあやふやなのである。最近、異常と正常とか、「自分」の領域だとか、本来境目のないものに領域を設ける概念について書かれた本を続けて読んだことも、連続性を考えさせる契機になっていると思う。
それで、噺のまくらだが、たぶん、それに続く噺と一体のものだと思う。かといって、あからさまに噺の伏線というのも野暮だ。なかなか感心するような連続性というものに出会えない。それでも、今日は新作の会だったので、全体としてはまとまりのよい会だったと思う。
本日の演目
三遊亭白鳥・柳家喬太郎・林家彦いち おしゃべり
白鳥:イイノホールでの喬太郎との二人会で出た弁当
丸ノ内線で霞ヶ関から池袋まで移動 膝に弁当 刺激臭
隣の席の人の怪訝な視線 やがて彼は立って別の車両へ
自分も臭いが気になって網棚に置く
銀座から乗ってきた乗客たちが臭いのことを騒ぎ出す 自分はしらんぷり
その臭いが気になって家で開けてみると、ナムルとキムチと糠漬けが混じっていた
でも、美味しかった
喬太郎:タクシーで、運転手は紳士的 運転手の携帯に電話 思わせぶりの会話
彦いち:大阪でタクシー 梅田ドラマシティへ
運転手はミラー越しにこちらをチラチラみる
彼の手元にはドラマシティの公演と出演者の一覧
楽屋口に着いて降りるとき「お客さん、アイーダ出ます?」
喬太郎:去年の今頃 都電に乗ったとき、面影橋付近に桜の綺麗な場所
一分間ほど停車して、すっと発車
かっこいい
三遊亭粋歌「すぶや」
三遊亭白鳥「結婚妄想曲」
まくら:高校の同窓会 高田にて
結婚していないやつが多い 嫁来ない一号、二号、三号、、、
ナンバーワン美少女だったクミコちゃんが出席
東京に出て帰ってきた 東京で「人に言えない仕事」
柳家喬太郎「落語の大学」
まくら:渋谷にはあまり来ない かつてカルチャーセンターの講師、ジャンジャン
学生時代は渋谷で遊ぶ 旭屋書店→大盛堂→三省堂
東横線 渋谷が終点でないといけない つながるとよくない
東横線といえば、高島町のような駅を大事にしないといけない
東上線なら北池袋、小田急線なら南新宿
学生の頃、実践女子の落研にナンパに行く 雰囲気をつかむため口演を聴く
高校部の落研の子が「子別れ」をやっているのを聴いて、衝撃のあまりそのまま帰る
林家彦いち「神々の唄」
まくら:昨日 昇太・喬太郎と三人会
白鳥うそつき 高田でのこと 家遠い 実はすぐそこ
自分の嘘懺悔 名古屋で乗変2回目 外人のふり
開演 14:00 終演 16:10
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール