後れ蚊を 打ち払いつつ 幸祈る
柏手に 飛蝗飛び立つ 神社森
埼玉県名発祥の古社という前玉神社は、浅間塚古墳の中というか上というか、古墳と重なっているのである。神社のチラシによると
前玉神社は『延喜式』(927年)に載る古社で、幸魂神社ともいう。また、正倉院文書神亀三年(726年)の山背国戸籍帳には「武蔵国前玉郡」の表記がある。前玉郡の中心であった当神社の前玉から埼玉へと、700年代半ばに漢字の変化があったことから県名発祥の神社といわれる。
ということだ。
ここは国指定史跡の埼玉古墳群の一画にあり、近くにはさきたま史跡の博物館のほか復元整備された大小の古墳がある。そこが古墳と知って神社を建てたのかどうか知らないが、地上から見ると古墳というのは大きくて何かそれというものがないとわからない。今でこそ発掘調査などで古墳ということが判明したからそのような形に整備されているが、そうとは知らずに家を建てて住んでいたり、耕作のために墳丘を削って平らにしてしまったり、というようなことはいくらもある。このあたりの古墳を作った人々がどのような暮らしをしていたのかということについては何もわかっていないのだそうだ。古墳が発見されても集落跡が発見されていないのである。
今日はここに出かけてきた。これまでとは一転して今月から早い時間帯の出勤なので、普通に起床して新宿から湘南新宿ラインに乗って行田で下車。日に数本しかないバスをつかまえて古墳公園という経路だ。古墳公園で先の神社にお参りしたり、博物館を見学したり、古墳を巡ったりした。かなり暑く、虫が多い。足を踏み出すと足元からはバッタが飛び立ち、歩く側を蝶が舞い、気がつくと露出している肌に蚊に刺された痕が出来ているという具合だ。このあたりの実際の気温がどれほどなのか知らないが、体感温度としては30度くらいだろうか。
前玉神社入り口にある菓子屋でいがまんじゅうと塩あんびんを買い、公園のなかの休憩所でいただく。気をつけてみれば飲食店がみつからないわけではないのだが、食べるものは事前に調達しておいたほうがよい。
帰りは古墳公園から少し離れたところにあるバス停から秩父鉄道の駅のほうへ行くバスに乗って、その行田市駅周辺を散策する。バス停へ向かう途中に造り酒屋を見つけたので覗いてみる。店の人の話では安政年間に創業したそうだ。地元産の米を使った銘柄もあるが、遠方から取り寄せた山田錦を使った銘柄もあるそうだ。その山田錦を使って造った純米大吟醸を買って店を出る。自分は酒を嗜むほうではないのだが、人への愛想にするのに酒というのはちょうどよい気がして、こうして出かけた先で話を聞いて手土産にするようになった。この酒は誰かに贈るかもしれないし自分たちで呑んでしまうかもしれない。それは縁次第だ。
今日は俳句のようなものを詠んでみた。俳句のようなものが思いついたときはこのブログに書こうと思う。