万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

子ども手当よりも未来を拓く投資を

2009年11月16日 14時57分57秒 | 日本政治
世論調査―質問と回答〈11月14、15日実施〉(朝日新聞) - goo ニュース
 世論調査によりますと、予算の無駄を削除するという民主党の基本方針については、多数の国民が支持しているようです。しかしながら、削減の方針が打ち出された事業の中には、マニフェストに記載された政策よりも、遥かに重要性が高いものもあるのではないかと思うのです。

 その筆頭が、技術・研究開発の分野です。スーパー・コンピューターの予算削減が、仕分け人の独断で決定されたことに衝撃が走りましたが、将来性を無視した判断には疑問を感じざるを得ません。我が国が、天然資源に乏しいにも拘わらず、経済大国となるに至った最大の要因は、高い技術力にありました。技術力こそが、我が国の存立基盤であることを考えますと、その予算を削るということは、国力の衰退をも意味します。技術力に後れをとれば、将来的には雇用の減少を招くことになり、子ども手当を実施した結果、少子化傾向に歯止めがかかったとしても、職がなくては失業者となるだけです。また、日本国に研究の場がなくなれば、志を持った有能な人材は、海外に流出してしまいます。

 衆議院選挙における民主党のマニフェストには、研究・技術開発の予算を削減するとは一言も書いてありませんでした。有権者は、子ども手当といった諸事業と研究・技術開発の優先順位を決定する機会が与えられていなかったのですから、仕分け作業は、”後だしじゃんけん”のようなものなのです。日本国の将来を担う技術開発への予算削減は、ぜひとも、再考していただきたいと思うのです。

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コメント (4)
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