万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

景気回復後も怖い国債という魔物

2009年11月28日 14時49分37秒 | 国際経済
来年度税収、40兆円割れ確実=国債44兆円以下は堅持-野田財務副大臣(時事通信) - goo ニュース
 リーマンショック以来、各国とも、政府は、景気刺激策や不況対策を名目に、国債発行額を増やしてきました。ところで、景気回復後も国債のリスクから逃れられないところが、国債の恐ろしさなのではないかと思うのです。

(1)国債価格暴落の心配
 不景気であれば、民間の金融機関も、民間への貸し出しや証券の売買よりも、安定性の高い国債を選好する傾向にあります。しかしながら、景気が上向きますと、国債から民間投資へと投資対象が移行しますので、この時、国債価格が暴落する怖れがあります。

(2)長期金利上昇の心配
 景気回復局面であるほど、民間の金融機関は、国債の保有を控える方向に向かいます。民間金融機関が、国債の入札に応じなくなれば、景気が回復しても、長期金利が上昇する可能性があるのです。

(3)中央銀行の政策金利の心配
 不景気にあっては、中央銀行は、金融緩和策として、低金利政策を行います。景気が回復しますと、中央銀行は、政策金利を上げるという選択肢を持つのですが、ここで政府は、国債の金利上昇を心配せねばならなくなります。

 国債とは、民間金融機関にとりましても、その売却行為が、国家の財政破綻を誘発する怖れがありますので、換金性が低い債権と言えます。たとえ、景気が回復したとしても、国債発行額が多くなればなるほど、上記の事態を心配せねばならないのですから、政府は、できる限り、国債発行額を抑える努力が必要なのではないかと思うのです。

 よろしければ、クリックをお願い申し上げます。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする