万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

米中同盟論の行く先は日本の核武装?

2014年01月09日 15時37分36秒 | 国際政治
中国包囲網どころか日本包囲網 靖国参拝が示した国際情勢の大変化(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 軍事評論家の田岡俊次氏によると、安倍首相の靖国神社参拝時に示したアメリカの”失望”は、”米中同盟”への歴史的な転換点を画したそうです。それでは、冷戦の構図が時代遅れの過去のものとなり、米中同盟が成立するとしますと、日本国は、どのような政策を採ることになるのでしょうか。

 明確には記していないものの、田岡氏は、同盟国が仮想敵国と結んだ過去の事例として独ソ不可侵条約を挙げております。この譬えからしますと、日本国は、最悪の場合、第二次世界大戦時のポーランドと同様に、米中によって分割されることを想定していると推測されるのです。第二次世界大戦では、独ソの攻撃の矛先はポーランドに向かいましたが、地理的な条件に照らせば、米中の挟み撃ちにあうのは”日本国”ということになります。朝日新聞の記者出身である田岡氏にとっては、このシナリオは大歓迎なのでしょうが、日本国と日本国民にとりましては、極めて忌々しき事態となります。仮に、アメリカの既定路線が中国優先であり、中国もまたアメリカとの同盟を望むのであれば、安倍首相が靖国神社に参拝しようがしまいが、早晩、米中同盟は表面化したことでしょう(失望発言は、日本国と距離を置く口実に過ぎない…)。それでは、日本国は、米中の分割支配を受け入れるのでしょうか。如何なる国も自国の独立は何としても護ろうとするものですので(もっとも、マスコミの一部や田岡氏のように、”奴隷の平和”を容認する勢力もある…)、日米同盟消滅後の日本国もまた、自力で自国を護らざるを得ない状況に至ります。田岡氏は、アメリカは日本国の核武装を怖れていると指摘していますが、アメリカからの”核の傘”の提供がなくなれば、当然に日本国内では核武装論が提起され、戦闘機をはじめハイテク武器もまた持てる技術を総動員して自主開発に努めることになるでしょう(在日米軍も撤退…)。そして、アメリカに代わる同盟国を他に求めざるを得なくなるのです(もっとも、田岡氏によれば、日本は孤立しており、どの国からも見捨てられるらしい…)。

 田岡氏は、国際社会とは、”利害の打算や目先の利益”で動くものと見なし、”普遍的な価値”については一顧だにしていません(そうであるならば、国際軍事法廷やA級戦犯も無意味では?)。しかしながら、第二次世界大戦の連合国側の大義、そして、冷戦期におけるアメリカの大義が、自由と民主主義のために全体主義国と戦うことにあったとしますと、国際法を無視し、侵略と人権弾圧を繰り返してきた中国との同盟は、日本国のみならず、人類に対する裏切りとしか言いようがありません(失望…)。現実が米中同盟に動くならば、今度ばかりはポーランドを援けようとした”連合国”は存在しないのですから、日本国政府は、自国の独立を貫くための戦略を早急に立案すべきと思うのです。

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コメント (10)
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