万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

暴露された隠し資産-共産主義の不可能性を率先して証明する中国共産党幹部

2014年01月23日 15時24分30秒 | その他
カリブに“隠し資産” 習近平氏・温家宝氏の親族ら 国際報道機関(産経新聞) - goo ニュース
 国際報道機関(ICIJ)の報じるところによりますと、中国共産党幹部の親族たちは、バージン諸島といったタックスヘブンにおいて隠し資産を管理しているそうです。公表されたリストには、習近平氏、胡錦濤氏、温家宝氏など、錚々たる中国共産党幹部の名が連ねられています。

 共産主義国家ほど、党幹部の私的財産が膨大な額に上ることは、何とも皮肉なことです(中国から2000年以降に流出した資産は、約104兆~約417兆円とも…)。共産主義の理想とは、私有財産制を放棄することで、各自が経済的に平等な社会を築くことであったはずです。旧ソ連邦が制作した宣伝映画などでは、資本家からの搾取から解放されたプロレタリアート達が、自発的、かつ、献身的に国家のために労働する姿が描かれています。しかしながら、この理想社会は、フィルムの中で演出されたものに過ぎず、旧ソ連邦の実態とは、党の幹部が特権を享受する著しい格差社会であったことは、よく知られています。小平氏の下で市場経済を導入し、改革開放路線を歩んだ中国は、旧ソ連邦に輪をかけて莫大な利権が共産党幹部の懐に転がり込みました。この時、小平氏が述べた「先に豊かになれる人が豊かになり、豊かになった人は他の人も豊かになれるように助ける」という言葉もまた理想に過ぎず、中国の共産党幹部たちは、国民の見えないところで私腹を肥やし、海外で私財を貯め込んでいたのです。

 もとより共産主義思想には、個々の利己心を完全に無視しているという重大な欠陥が指摘されていましたが、共産党幹部が自ら率先して共産主義が不可能であることを証明している現状を、中国国民はどのような顔をして眺めているのでしょうか(不正蓄財情報が完全に統制されているとも思えない…)。

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コメント (5)
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